フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
「・・・仕事が終わらん」
デスクに置かれたパソコンの文字と永遠と睨めっこしていたフロンタルはふとそう言葉を漏らした。
時計に視線を向けると、今の時間は午前4時。
最後に時計を見たのが午後5時頃だったはずなのでほぼ半日以上、机の前に座っている。
流石に集中力が切れる。というか飽きる。
報告書、報告書、報告書、会議・・・あれか。私を過労死させるつもりだな?
どっかの過労死王になるぞ?
もし冥界があったらガチでツッコむぞ。
この世界に来てからやった事って仕事9.5割の0.5割はキチゲ発散だ。一、二年前にデュランダル達と行ったバカンスが昔のように懐かしく思えてくる。
まだテラやヤーナムにいた頃は基本現場仕事だったから、こんな事をしなくても良かったというのに。
「・・・寝よう」
さっさと寝よう。流石に目が疲れてきた。
報告書は明日でも出来る。今は眠気に任せて眠ろう。それくらいは許して欲しい。
そう言ってフロンタルは椅子の上で目を閉じる。目を閉じるとすぐに眠気が襲い、フロンタルはそれに身を預けるのだった。
◇◇◇◇◇
「──ねぇ、■■■君。■■■君ってば」
誰かが
「もう・・・もう下校の時間過ぎてるのに」
「どしたの?■■■?って・・・また■■■寝てんの?」
誰かが来たようだ。話の内容を聞く限り、どうやら誰か学校で寝ているようだ。
「うん。何回も揺すってるのに起きてくれなくて・・・」
「こう言うのはさ、こうすれば起きるよ」
どうするつもりなんだ?と疑問を浮かべたその瞬間───
ベチィィィンッ!!
「痛ったああああああッ!?」
思わず声が出た。
「あ、起きた」
「いきなり何しやがるんだ!!お前!」
思い切り張り倒したであろう彼女に俺は突っかかった。
「寝てたそっちが悪いんでしょ。■■■が起こそうとしてたのに、起きなかったから私が代わりに起こしてあけたんじゃん」
「だからってお前なぁ!」
「あ、あははは・・・大丈夫?■■■君」
「全然平気じゃねえ・・・」
叩かれた背中がヒリヒリする。クソッ、思い切り叩きやがって・・・
「ほら、早く帰ろ。今日の夜からお祭りの練習やるんでしょ」
ああ。そういえばそうだった。来月にある祭りに向けて、今年の番である俺と■■■は練習があるんだった。
「じゃあ、帰ろっか。■■■君」
「・・・おう」
下校中、俺達は話しながら家へと帰っていると、■■■が俺に言ってきた。
「ねえ、■■■君は今日の夜ご飯、何が食べたい?」
「舞とか練習があるからなぁ・・・つか、冷蔵庫に何があったっけ?」
「魚がなかった?前に■■■が釣ってきたヤツ」
「ああ、アレか・・・じゃあ、それでなんか作ってくれ」
「うん。じゃあ、帰ったら煮物にしよっか。■■はどうする?一緒に食べていく?」
「じゃあ、あたしも邪魔しよっかな。久しぶりに■■■の部屋でゲームしたいし」
「・・・オイ、お前も手伝えよ」
「えー・・・ダルいじゃん」
そう言う■■に俺はツッコみ、■■■は苦笑する。
こんな何気ない日々がずっと続くと───そう、思っていた。
◇◇◇◇◇
「待ってろ!■■■!今、船に上げてやる!」
荒れる海の中に俺達はいた。
あの時は確か・・・夜から天気が悪くなるからと、舞の時間を早めて行事をすべて終わらせた後の事だった。
一人の子供が面白半分で海に流す木船に乗った事を知らされて、俺達はその子を助けようと向かった時だった。
「■■■!■■■!手を掴んで!」
船の上で■■と大人達が海に落ちた俺達を引き上げようと必死になっている。
だが、荒れる海の波に俺達は成すすべもない。
だからこそ───俺は例え自分が死んででも、幼馴染である彼女だけは助けようとしようとした。
そして俺は力尽きる寸前、彼女は泣きそうな顔で俺に何かを言ったのを覚えている。
私■■■で■せ■■■■■。
だが・・・その内容は覚えていない。
そして次に目を覚ました時には俺だけが海から引き上げられ、■■■は何度探しても見つかる事はなかった。
そして■■■は悟った。
自分は奇跡など起こせない───と。
◇◇◇◇◇
「────長!起きてください!隊長!」
「・・・・───」
目を覚ますと、トリトマの顔が目の前にあった。
「ああ、すまない。寝ていた」
謝る私にトリトマは首を振る。
「いえ、隊長は私達よりいっぱい頑張ってやがるんですから寝るのは構わねーんです。ただ・・・」
「ただ?」
言いづらそうにする彼女にフロンタルはそう言い返す。
そんなフロンタルにトリトマは言った。
「寝ている隊長が魘されてたので・・・」
「・・・ああ」
どうやらまた魘されていたらしい。とは言っても、夢の内容など覚えてないが。
「気にすることはない。どうせ思い出せん夢の内容だ。大した事はない。それで?今日はどうしたんだ?トリトマ」
そう言うフロンタルにトリトマは笑顔で応える。
「はい!実はですね!新しい紅茶を仕入れてみたんですけれど、隊長も一緒にどうかと思いまして!」
「それはいい。ならエム達も呼ぼう。菓子も用意しなければな」
「はい!」
そう言って頷き返すトリトマにフロンタルも笑みを浮かべた。
何気ない日常。それがフロンタルの───凡人である■■■の求めたたった一つの望み。
実はフロンタルさん、テラでも大事な仲間を救えなかった。
代わりにドクターがその仲間を救ったことで、自分には奇跡を起こすことが出来ないと悟っている。