フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第九十六話

キラはただ呆然とフロンタルの口から告げられた言葉を聞いていた。

 

「僕の・・・本当の父親・・・?」

 

あの冷却槽が自分を産み出したものだと───?

棚に並んだ標本───死んだ胎児達が、きょうだい?

あんなにたくさん───まるでもののように並べられ、うち捨てられて───

ぐるぐると目の前が回り始める。

その言葉はキラの胸に酷くのしかかっていく。

その反応にクルーゼから微かな羨望が混じった言葉が返ってきた。

 

「─────だろうな。知っていれば、君がそんなふうに育つはずもない」

 

「そんな・・・だって、僕は・・・なんの陰もない・・・そんな、普通の子供に・・・」

 

本当の親ではない───。

温和な父としっかり者の母の顔が、脳裏をよぎる。だが、その可能性はすでに考えたことのあるものだった。もしカガリとキラがきょうだいなら、どちらかの親───あるいは両方が、彼等を産み出した本当の親ではないということになる。そうでなくてはあの写真の意味がわからない。

もしかして、この人達は真実を知っているのか?キラと───カガリの出生の秘密を。あの写真の女性が誰なのかを。

吐き気がこみ上げるのを我慢しながらキラはクルーゼの話に耳を傾ける。

 

「アスランから名を聞いた時は思いもしなかったのだがな。───きみが、"彼”だとは・・・」

 

クルーゼは焦らすように言う。

 

「───てっきり死んだものと思っていたよ。”あの双子”───特に、きみの方はね・・・」

 

双子。アスランが戸惑いがちに口にした単語が蘇る。では、やはり自分とカガリは───

 

「───その生みの親であるヒビキ博士とともに、当時”ブルーコスモス”の最大の標的だったのだからな」

 

その言葉に耐えかねてキラはクルーゼに向けて激しく問い返した。

 

「ぼくがっ・・・ぼくがなんだって言うんです!?あなたは何を───ッ!?」

 

「先に私が言っただろう。君は最高のコーディネイターを作り上げるという人類の狂気の夢の果てだと」

 

そんなキラの言葉を遮ったのはフロンタルだった。

 

「人為的な遺伝子操作を受けて生まれた人類最初のコーディネイター、ジョージ・グレンがもたらした闇の一端の成功例が君だ」

 

フロンタルのその言葉に上乗せするようにクルーゼは言う。

 

「あらゆる容姿、あらゆる才能が、すべて金次第で自分のものになる。まるでアクセサリーのように。正確には自分の子供の───と言うべきかな?」

 

そう。人はより多くを求めた。自らの遺伝子を受け継ぐものに、自らが達しえなかった高みへのチケットを託した。

 

「しかし、上手くいくばかりでもなかったのだ・・・」

 

母胎の影響による欠陥、母胎との不適合、早産、流産──。

 

それはいくら遺伝子を操作しても当然あるエラーだった。

そしていくら優秀な母胎でも出産というものは身体にかかる負担はとても大きい。

だが、夢を目指した人はソレを考えない。

 

「───高い金を出して買った夢だ。誰だって叶えたい。誰だって壊したくはなかろう・・・」

 

そしてそれらのエラーを解消する方法を考えついた男がいた。

 

「胎児にとって母胎とは不安定な環境だ。それならば常時安定した環境を、自らの手で作ってやればいい・・・それがヒビキ博士が作り出した人工子宮というわけだ」

 

最高のコーディネイター──。すべてにおいて完璧な人間?では完璧とはなんだ?完璧になれば人は幸せになれるのか?

あたたかい母の体からではなく、命のない機械から生まれた子供が、自分の幸せを感じるのか?屍の山から生み出された命が、それらすべてと引き合うものか?

 

キラは呆然としたままだった。

ただ、キラは絶望に胸を塞がれながら思う。

───それでは自分は、何のために生み出されたのだろう?

 

「最高だと思わないか!フロンタル!ヒトと言うものは!」

 

よりよきものと人は望んだ。そしてその結果何を生み出した?新たな偏見、新たな差別、新たな対立───そして果てるとも知れないこの争いだ。

 

「そして妬み、憎み、殺し合うのさ!」

 

それは古来からずっと変わらず背負い続けてきた人の業。

 

「ならば存分に殺しあえばいい!それが望みならな!」

 

「ふざけるな、この野郎!そんな権利、あってたまるか!」

 

ムウがそう毒づいた。が、クルーゼから返ってきた次の言葉に流石のムウも釣り込まれる。

 

「覚えていないかな、ムウ。私と君は遠い過去───まだ戦場で出会う前、一度だけあったことがある・・・」

 

「なんだと?」

 

ムウは怪訝そうに、物陰からラウを見やる。

そして凍りつくような笑みを浮かべ、ラウは高らかに告げた。

 

「私はな、おのれの死すら金で買えると思い上がった愚か者───貴様の父、アル・ダ・フラガの、出来損ないのクローンなのだからな!」

 

「───な・・・!?」

 

予想していなかった言葉に、ムウは絶句した。

 

「お・・・親父のクローンだと・・・?そんなおとぎ話、誰が信じるか!」

 

ムウは激しい語調で否定するが、ラウが皮肉っぽく返す。

 

「私も信じたくないがな・・・残念なことにフロンタルも私がクローンだと知っていてね」

 

まあ、信じたくはないだろうな。

 

クローン。強化人間技術が発達した宇宙世紀では珍しいものでもない。

例えばプルシリーズ。

 

プルトゥエルブことマリーダを含めたエルピー・プルをオリジナルとしたクローン体。

プルツーですら課題点を超えられなかった時点でこういうのはアレだが、クローンというのは大概がオリジナルの劣化版だという事だ。

噂ではシャアのクローンもあったらしいがあっちはあっちで問題があったらしい。

 

「さあ、フロンタル!この真実を知った上で君は人の可能性とやらを信じるのかね!?」

 

その言葉にフロンタルは───

 

「信じるとも。人の未来とは人が作るものだ。私のように全てに絶望し、他人に求められるがまま人真似をする人形にそれでもと言った彼等の願いを信じてみようと思うくらいには」

 

「・・・なに?」

 

その言葉にクルーゼが戸惑いの声を上げるのを聞いた。

そしてそんなクルーゼにフロンタルは言う。

 

「一つ・・・君達に話しておこうか」

 

フロンタルは仮面を外しながらキラ達を見る。

 

「私がどういった存在であるかをな」

 

皆が望む理想のシャア

 

皆が望む理想の指導者

 

それらを良くも悪くも受け入れた他人が自分だと言うことを




フロンタル プロフィール

フロンタルさんの設定は一言で言ってしまえばシャアやフロンタルに乗り移った自分自身を見失った狂人。

コイツ自身は自分が主人公になる事はまず無いなとそう割り切っている。

だがコピー先によって主人公補正がかかったりするので、本人は主人公補正を持ったラスボスがお似合いだと皮肉っている

なので炭酸をコピーしたりすると五体満足、無傷で生還することも出来るらしい

コイツがフロンタルになる前は狩人。

武器は井戸の底にいた怪物が持っていた錨を強奪してハンターごっこをしていたらしい
そんな世界で本編狩人にはつけ狙われていたとか
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