フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
「高熱源反応の接近を確認!数は五!急速に近づいてきます!」
「アークエンジェルへの反転離脱を命令!第一戦闘配備!」
接近する五機のモビルスーツにネルソン級一隻、ドレイク級二隻の乗組員達が慌ただしく動き始める。
「ミサイル及び、アンチビーム爆雷の装填!状況はどうなっている!」
「熱源反応はミサイルではなくモビルスーツのようですが・・・デブリの中を・・・・」
困惑の声を上げるオペレーターに艦長が問い返す。
「どうした!全て報告しろ!」
慌ただしい艦内で叱責する艦長にオペレーターは一機のモビルスーツの動きにありえないといった声で言った。
「あ、ありえない!先頭の一機は後続機の───さ、三倍の速度で接近中!!」
「なっ───!?」
その報告に艦橋にいたクルー達は驚愕の声を上げた。
◇◇◇◇◇
「まずは新型艦と新型のモビルスーツを黙らせる。取引きは我々の安全確保を済ませ、最低でもネルソン級一隻を鹵獲出来た後だ」
『了解です』
短いやり取りでフロンタルは小隊とのやり取りを済ませる。
トリトマが落とされる心配はまずない。だってあの子、シミュレーションとはいえ、私が計算して狙ったアムロと同じ置きバズに初見で反応してジンを小破判定で済ませたんだぜ?
盾持ってたらガードされてたと思うと、もうお前がシャアを名乗っていいよと思ったくらいである。
フロンタルが駆る赤いシグーはそのまま一直線にアークエンジェルへと突き進むと、二機───アークエンジェルから出撃した機体の姿が確認出来た。
ストライクとメビウス・ゼロ。
その二機を見て、フロンタルは笑みを浮かべる。
「お出ましか。キラ・ヤマトにムウ・ラ・フラガ。悪いが私はクルーゼのように甘くはないぞ」
フロンタルに転生して初っ端の戦闘が覚醒ユニコーンとバンシィ・ノルンだったんじゃ!
あのオカルトじみた機体共を相手をしたせいでこの世界じゃ今、敵無しなんだよ!
まあ、だからといって主人公をブチのめすのもどうかとは思うが。
「だが、こちらも時間をかける訳にはいかんのでな。アークエンジェル共々、無力化させてもらう」
キラ君との戦いを楽しみたい!と思いつつも、フロンタルは彼等を全力で叩き潰しにいった。
◇◇◇◇◇◇
「当たらないッ!?」
キラは正体不明の赤い機体を相手にコクピットの中でそう叫ぶ。
あの機体は一度ヘリオポリスで戦ったことがある。あの時は白色のタイプだったが、この赤いタイプはあの時のとは全く違った。
不規則で読めない高速機動に徹底的な不意打ちと精密な長距離狙撃。
あの時とはまた違った強敵にキラは焦りを見せる。
そして赤いその機体はキラとムウの二人を相手にしながらも、アークエンジェルに搭載された武装を一つ一つ丁寧に手にしたライフルで潰していくのを見て、更に焦りを加速させる一方だった。
「クソッ!あの機体、俺達は眼中に無しかよ!」
ムウが自分達を相手にしながらもアークエンジェルに攻撃をしかけるシグーに対し、何もできていないことに悪態をつく。
「早くしないと!」
この赤い機体を倒さないと合流予定の艦が落とされる!
頭にそう思い浮かべたのと同時───ムウが乗ったメビウス・ゼロが赤いシグーに狙撃された。
「しまった!?」
「くっそおおおおッ!」
スラスターを撃ち抜かれ制御が出来ないメビウス・ゼロはアークエンジェルのカタパルトに不時着する。
「・・・・ッ!」
ムウが駆るメビウスが離脱し、残されたキラは機影ロストした赤い機体を探す。
が、見つからない。
センサーの熱源反応にも引っかからない。
と、後方のアークエンジェルの対空砲が爆発した。
「これ以上、やらせてたまるか!」
彼処には仲間がいるんだ。こんな所で落とさせる訳にはいかない。キラの頭が一気にクリアになる。そしてそのまま身を隠そうとする機体にビームライフルを向けた瞬間───
『あー、あー。聞こえますかね?コレ?交戦中の敵機、聞こえますかー?直ちに攻撃を中止せよ。私達フロンタル隊は連合の艦三隻を鹵獲し、捕虜にしています。繰り返し言います。私達は連合の艦三隻を鹵獲し、捕虜にしています。直ちに攻撃を中止せよ』
三隻の艦隊を制圧したという通信がオープンチャンネルで放送された。
「さて・・・ようやく話が出来る。アークエンジェルの艦長。マリュー・ラミアス、ナタル・バジルール」
制圧したという通信を聞き、フロンタルは仮面の奥で小さく笑みを浮かるのだった。