フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
フロンタルさんの解説コーナー
フロンタル「今日はジェネシスについて話そう」
トリトマ「ジェネシスについてでやがりますか?」
フロンタル「ああ。ジェネシスはガンマ線バーストを発射する戦略兵器だが、元々は外宇宙に進出する為に作られた加速装置に過ぎない」
トリトマ「アレが加速装置って信じられねーですけど・・・」
フロンタル「ソレを無理矢理兵器改造したのがアレだ。因みにだが、アニメの方では人体が電子レンジで破裂した卵のようなシーンだが、実際は骨だけを残して人体がゲル状に溶けるらしい。実際に見たことも体験した事もないので仮説にしか過ぎないが」
まあ、大量の放射線と熱の波だしな。どっちも正しいとは俺は思うぞ?
「何故だ・・・ッ!何故思い通りにいかん!」
言葉に滲ませた怒りを隠すこともなく、パトリックはヤキン・ドゥーエにある自室で現状の問題に頭を抱えていた。
まず一つがザフトの大多数の分裂だ。
自身がフル・フロンタルの代わりに最高司令官の座に座り、憎きナチュラル共を滅ぼそうと当初は計画していた。
計画は完璧だった。
そう。フル・フロンタルをザフトの最高司令官の座から引き摺り下ろすまでは。
そこから全ておかしくなった。
オペレーション・スピットブレイクの作戦失敗。フリーダムの強奪。ラクス・クラインの裏切り。そしてザフトの七割がフル・フロンタルを擁護し始めるようになり、私を無能な指揮官だと言い始めるようになった。
この原因である奴を始末しようと部隊を送ったが、たった一機のモビルスーツによって部隊は半壊し取り逃がすことになってしまった。
そして今、プラント内でもザラ派を訝しむ愚か者達が増えてきている。
「フル・フロンタルッ!!」
ダンッ!!とパトリックはデスクに拳を叩きつける。
奴だ。三年前、最高評議会の座に突如として現れ、その頭角を現した男。
シーゲルの信頼をすぐに勝ち取り、奴がシーゲルの代わりに評議会の流れを牛耳り始めた時からそうだった。
あの男がいる限り、我々の悲願であるナチュラルを滅ぼす事など夢のまた夢。
ヤツをなんとしても始末しなければジェネシスの使用もままならない。
パトリックの目はナチュラルとたった一人の男に向けた憎しみに燃え、血走っていた。
「逃げたヤツをなんとしても探し出せ!そして始末しろ!徹底的にな!」
「・・・・!ハッ!」
◇◇◇◇◇
ヤキン・ドゥーエ 内部
どこにでもある一室、男女が会話をしていた。
「どうやら議長様は相当お怒りみたいだぜ?ミーシャちゃん?フル・フロンタルを徹底的に探し出して始末しろーってさ?」
男はミーシャと呼ばれた女性に面白がるように話をしているが、当の本人は興味がないといった様子で、手元のタブレットに文字を打ち込む手を止めないまま口を開いた。
「興味はありません。そもそもあの無能に私達の隊長が殺される訳がないでしょう」
「そりゃそうだ」
パトリックの事を無能と言い切った辺り、彼等二人は紛れも無い裏切り者だ。
そしてそんな彼女に男は言う。
「ああ。あと一つ面白い事があってな?隊長、後半月もしないうちにプラントに戻ってくるってさ」
「・・・・隊長が直々に?」
眼鏡の奥に見えるその顔は凄まじく歪められていた。
だが、男は気にする事なく続ける。
「ああ。とうとううちの隊長も潰す気になったらしい。先に監禁されているアイリーン・カナーバを救出してからこっちにくるそうだ。そろそろ俺達も仕事しないといけねえよなって言いに来たんだよ」
「仕事をしていないのは貴方の方でしょう?ドリー」
冷たい声でそう言う彼女に彼は小さく肩をすくめて言う。
「俺はちゃんとお仕事をしていますよっと。隊長が何時でもこのヤキン・ドゥーエに来れるように話をつけたんだからさ」
「なら良いのですが」
そう言って彼女はタブレットに視線を戻すと、コーヒーを淹れ始めたドリーに向けて言った。
「・・・・そういえば聞き忘れました。今回、隊長はどの名前を使ってこのヤキン・ドゥーエに入るつもりなんです?クワトロ・バジーナですか?それともエドワウ・マスですか?」
そう言う彼女にドリーは首を横に振りながら言う。
「いや、全部違う。俺も初めて知った名前でさぁ。キャスバルって言う名前なのよ」
「なんですか?その名前は?」
名前をしょっちゅう変えては密航したりする隊長の名前を全て把握したつもりだったが、まだ別の名前があったらしい。
「さあ?俺も分からん」
「・・・本当にあの人は潜入が得意ですね」
「実際、隊長は俺達よりも潜入が得意だしなぁ」
そう呑気なドリーにミーシャは言う。
「なら隊長が密航される際、気をつけるように。尤もどう侵入するのかは分かりませんが」
「はいはい。お仕事はちゃんとしますよっと。せーっかく、あの議長を暗殺できるかもって期待はしたんですけどねぇ」
「喋り過ぎです」
「はいはいっと」
そう言いながらドリーは部屋から出ていった。
そして一人残ったミーシャもタブレットの電源を切り、部屋から出ていくのだった。