フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
「皆様、お集まりいただけましたね?ではこれより最後の作戦会議を始めます」
キャプテンはモニターに映るラクス、マリュー、そしてアズラエルを含む連合の司令官達の前で仕切りを取っていた。
「作戦会議というよりも最終確認と言った方が正しいですが・・・その辺りは置いておきましょう。まず、アズラエルさんを含む地球連合の皆様には予定通りボアズへの侵攻をお願いします。ただ、侵攻の際気を付けて欲しい事は───」
『ボアズは決して落とすな、でしょう?分かっていますヨ。彼とは今後のビジネスの件もありますからネ。連合の方々も不満はあるでしょうが、連合のお偉いさん方にはこの方針で行くと決めていますので我々の支援に頼っている以上、言う事は聞いてもらいますから』
アズラエルの言い分に反論はない。
地球連合の実態を握っているのがアズラエルな以上、彼等は彼の言うことを聞くしかないのだ。
『それで?貴方方はどう動くつもりです?まさか我々を囮に使うだけ使って終わりだなんて事はありませんよネ?』
「ええ。それはもちろんです」
アズラエルの言葉にキャプテンは頷いた。
「連合の皆様がボアズにてザフトの大部隊を引き付けている間、アークエンジェル、ムサカの二隻は左右から奇襲をしかけます。奇襲の際もヤキン・ドゥーエへと撤退出来ないように誘導をすればザフト軍の注意は散漫するでしょうし、自然とボアズ本拠地へと撤退することになる筈です。その段階までいけましたら我々は出来るのであればヤキン・ドゥーエの制圧へと向かいますが、そうなってくると・・・」
『ジェネシスを発射される可能性がある・・・ですね』
ラクスのその言葉にキャプテンは頷く。
「ええ。なのでヤキン・ドゥーエは制圧せずにジェネシスの破壊を優先します」
『・・・へぇ?』
キャプテンの思いもしなかったその返答にアズラエルも思わず言葉を漏らしてしまう。
『そんな事が出来るのですか?フロンタル隊長からはジェネシスについて聞かされましたが、完全な破壊が出来るとは思えません』
そう。なんせ、本体はミラージュコロイドにて姿が見えない上、その装甲に使われているフェイズシフト装甲はビームをも弾くという。
そんな代物を破壊するとなると核くらいしかない。
「私は"ジェネシスの本体を破壊する”とは言っていませんよ?」
キャプテンのその言葉に周りは動揺する。
「私達が破壊するのは本体ではなく、発射口となるミラーです」
『ああ、なるホド。つまり、発射される前に設置される使い捨てのミラーを全て破壊すると。考えましたネ』
アズラエルは感心した様子だったが、キャプテンは苦笑しながら言った。
「私が考えた作戦ではありませんよ。フロンタル隊長がいくつか用意されたサブプランの一つです。もっともいくつかの作戦プランはラクスさん達をこちらへ引き込む前提で作られたものもありましたが」
その言葉に真っ先に反応したのはマリューだった。
『つまりフル・フロンタルは最初から私達を引き込むつもりで動いていたと?』
「まあ、どちらかと言えばラクスさんだけが目当てでしょうね。彼女はあのシーゲル・クラインの娘ですから」
『・・・私を使ってクライン派の支持を確実に得る為ですわね。父からクライン派の座をフロンタル議員に譲ったとおっしゃっていましたが、クライン派を支持する人達は古株でもあるアイリーン・カナーバを支持する方が大半ですわ。それを今回の件で彼女を救出し、私を次の議長の跡継ぎとして担ぎ上げる事でクライン派を引き込むつもりなのでしょう』
ラクスの言葉に怒りの声を上げたのはカガリだった。
『そんなのラクスが道具も同然じゃないか!ラクスはそれで良いのかよ!』
『・・・ええ。それで皆さんが平和に暮らせるのなら』
『・・・ラクス』
俯きながらそう答えるラクスに誰も彼女を慰める事など出来なかった。
そんな中、キャプテンは言う。
「話題を切り出し辛い状況になりましたが、作戦について話を続けますね。エターナルとクサナギはフリーダムと共にヤキン・ドゥーエの後方にある四枚のミラーの破壊をお願いします。もし、ジェネシスの本体を破壊を視野に入れるのであれば、エターナルに装備されたミーティアの全火力をジェネシスの発射口に撃ち込む事が出来れば理論上、破壊は可能です。作戦に参加してくれますか?」
『・・・分かりました。私達は参加します』
ラクスは参加すると決まった。
ならカガリは?彼女は中立国家オーブとしての立場がある。
だが───
ここであの男を否定して中立を維持しその結果、地球にジェネシスの発射を許したら私はオーブや国民達に合わせる顔がない。
だからこそ、カガリの返答は───
『私達オーブもこの作戦に参加する』
「ご協力に感謝します。作戦は二日後に実行となりますのでそれまではご自由にお過ごしください」
ボアズ侵攻まで 後、二日───