フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
今年は暑いすねー・・・夏バテになりそうです
数知れぬデブリの漂う空間に、紅の機体が浮かんでいた。
その形状は細部まで“ストライク"そのままで、ただ赤と淡紅色のツートンカラーだけが異なっている。
MBF──02 “ストライクルージュ"───オーブから部品のまま持ち出し、宇宙で組み立てた機体だった。大破した“ストライク"の補修の際、モルゲンレーテで大量の予備パーツを使い、エリカ・シモンズらはクサナギの中で一機のモビルスーツを組み立てたのだ。
機体フレーム、武装はストライクと同一で、現在はエールストライカーを装備している。
だが、この機体は本来のストライクとは違い、パワーエクステンダーという強化型バッテリーが搭載され、運用時間、PS装甲の強度が格段に向上していた。
今のこの状況はいうなれば、完成した機体の慣らしによる運転と自身も前線で戦うと言ったカガリの練習でもあった。
「デブリに気をつけて。加速するとぶつかるから」
少し離れたところに滞空する"フリーダム"のコックピットで、キラは心配そうに紅の機体に声をかける。
すると威勢のいい声が返ってきた。
『これくらい平気だ!バカにするな!』
この”ストライクルージュ”は彼女の専用機として造られたものだった。だが彼女は勢いよく付近に漂う廃棄された戦艦に突っ込みかけ、寸前で制動をかけて方向転換する。いつも以上のジャジャ馬ぶりに、キラはひそかに冷や汗をかいていた。
「・・・!危ない!」
デブリにぶつかりそうになるストライクにキラは思わず声が出たが、カガリが乗るストライクは寸前の所で方向転換するのを見て、思わず溜息が出てしまう。
『次は模擬戦だ!おーい、アサギ!』
キラの心配をよそに、カガリは新しいオモチャを与えられた子供のように浮かれた声で、付近で彼女の演習を見守っていたM1アストレイに向かう。
『どっからでもかかってこい!』
『ふぅーん、初心者のわりには悪くないかなー』
自身満々のカガリに対して、アサギがモビルスーツ乗りとして先輩の余裕を漂わせて茶々を入れる。
『初心者じゃないぞ!M1だって訓練は受けたんだからな!』
『まあ、訓練と実戦は別モノですからねー』
『そう言うなら負かしてみろ!』
『じゃ、お言葉に甘えて───行きますよォ!』
カガリとアサギが模擬戦を始める中、キラは近くに漂うシナンジュへと近づき、通信を入れた。
「・・・付き合わせてごめん。君もカガリの訓練に付き合わせてしまって」
『別に構わねーですよ。隊長からの命令ですから』
彼女───トリトマがシナンジュで出撃して訓練のお守りをしている理由は監視が目的だ。
同盟を組んだとはいえ、フロンタルは彼等を常に監視はしておけと出発前に言われ、常時監視出来る体勢でローテーションを組み、動いていた。
今回の模擬戦についてはフリーダムが出撃している事もあってか、フリーダムとやり合う事が出来るトリトマがシナンジュに乗ってカガリの練習及び、監視をすることになったのだ。
そう言う彼女にキラは言う。
「君達が僕達の事を信用していないのは分かってる。けど、今は───」
信用して欲しいと言おうとした時、彼女が口を開いた。
『わりーですが私は貴方達の事は信用なんてしねーですよ。私、バカですけれど貴方達が今までやってきた事は無責任過ぎだって思うくらいには分かってやがりますから。隊長は口ではあまり気にしていないと言ってましたけれど、こうして監視をつけるくらいには信用してねーと思いますよ』
信用して欲しいなら行動で示して下さいと言ってトリトマはキラとの会話を切る。
と、“クサナギ“と“ムサカ“から彼等に通信が入った。帰投をうながすキサカとキャプテンの通信にトリトマは言った。
『帰りますよ。明日、決戦なんでやがりますからヘマしねーでくださいね』
「・・・うん。僕達もエターナルに帰るよ」
先に戻るトリトマにキラはそう返事を返し、トリトマを見送った。
◇◇◇◇
「これが例の新型か」
クルーゼは格納庫にて一機の新型機を見上げた。
技官は十分なテストも終わっていない機体を引き渡すことに不安を感じているようだ。
慣らし運転さえ行なっていないこの機体には、ザフトが初めて導入した特殊武装が施されていた。
“ドラグーン“───正式名称は分離式統合制御高速機動兵装群ネットワーク・システムと呼ばれるものだ。
似たようなシステムはシナンジュのインテンション・オートマチックシステムが存在するが、アレはフル・フロンタルが一から再設計したものであり、サイコ・フレームありきの代物だ。
サイコ・フレームというオカルト的な要素を除いて似たような技術はこのドラグーンシステムとフロンタルが隠し持っている技術、サイコミュの二つだけだ。
「クルーゼ隊長はテストでも適性は充分という結果が出ていますから、なんの問題もないかと思いますが・・・」
「分かっている」
心配そうにくどくどと話を続けようとする技官にクルーゼは適当にあしらい、その機体を見つめる。
そして───
「扱ってみせるさ。あの男にできて私に出来ないはずがない」
フロンタル。貴様には協力はするが、私にはどうしても越えねばならない相手がいる。
決着をつけさせてはもらうさ。待っていろ───ムウ
トリトマちゃん 水着
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エムちゃん 水着
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おまけ 夏の三馬鹿
「良くヤツの長期休みが取れたな?デュランダル。フロンタルもプライベートで地球に来れるほど暇ではなかったろうに」
「その辺りはアイリーン・カナーバがしっかりしていて助かったところもある。フロンタルに仕事を任せきりだったのが、彼女にとって恥ずべき事だと前々から思っていたそうだ」
「なるほど・・・しかし良いビーチだな。青い空に」
「白い砂浜」
「「そして───」」
砂浜で遊ぶトリトマ達とシン達の姿を見て顔に笑みを浮かべようとした時、前に一人の男が立った。
「何をニヤけている」
狩人姿で肌を殆ど見せないフロンタルがいるのを除けば
そんなフロンタルを見てデュランダルとクルーゼは言う。
「せっかくのビーチまで来てなんだその格好は?見ていて暑苦しいぞ」
「いいから貴様も脱げ。フロンタル。今の貴様は見ていて暑苦しい!」
そう言う二人にフロンタルは言う。
「何を言っている?むしろ水着の方が危ないだろう。お前達は海というものを理解していない」
シーボーンとか魚人とか貝女とか海坊主とかゴースとか。
危険がいっぱいじゃないか
それはお前の間違った価値観だよ!馬鹿野郎!