フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
フロンタルのエンブレムであるネオ・ジオンの紋章が刻印されたシールドがプロヴィデンスへと振り下ろされる。
その先端から吹き出す大出力のビーム刃による灼熱の粒子が機体を掠めた。
それはプロヴィデンスの特殊兵装であるドラグーンの一機を容易に融解させ、小さな爆発を引き起こさせた。
破散したドラグーンの破片を避けながらクルーゼは反撃へと移ろうとするが、その隙を埋めるように腕部からまるでトンファーのように突き出たビームサーベルによる斬撃がプロヴィデンスに見舞われた。
『チィッ・・・・!』
一基のドラグーンを機体と機体の間に挟み、盾にする事で機体への直撃を回避する。
そして舌打ちと共にクルーゼは距離を取ろうと後ろへと下がるが、機動力と運動能力の差で圧倒的なアドバンテージを誇るシナンジュにあっという間に追いつかれてしまい、今のプロヴィデンスが得意とするオールレンジ攻撃による制圧ができないでいた。
『厄介なヤツだよ、きみは!どうりであのフロンタルが隣に君を置くわけだ!』
「それはどうもです」
迫って来るシナンジュの四方からドラグーンによる射撃の包囲網が赤い機体を襲う。
が、その射撃がそこにくると分かっているかのように、射線の隙間を縫うようにしてシナンジュがビームサーベルを振りかぶった。
プロヴィデンスの眼前にビーム刃が迫る。
『チィッ・・・!』
それを皮一枚の差で躱した直後、シールド裏面に装備された折り畳み式のロケット・バズーカが火を噴き、射出されたその弾頭がプロヴィデンスの間近で起爆した。
『まるで未来を見ているようなその反応速度に凄まじい空間認識能力・・・これがあの男が言っていた”ニュータイプ”というものか!』
装甲にダメージが無いとはいえ、その衝撃波によって吹き飛ばされたプロヴィデンスに目掛けて巨大な鋏のようになっているビームソード・アックスの刃が繰り出される。
「・・・・"ニュータイプ“?なんでやがりますかソレは?コーディネイターと何が違うんです?」
トリトマの疑問の言葉と同時、そのビーム刃がプロヴィデンスが手に持つビームライフルを捉えた。
切断されたビームライフルを即座に捨て、左腕に装備された複合兵装からビーム刃を出力し振り被るが、上半身をいっぱいに反らせたシナンジュを掠め、虚空を斬る。
そしてそのまま後方へ一回転したその勢いでトリトマはプロヴィデンスの腹部に蹴りをいれた。
『グゥッ・・・!?』
下から上へと流れたその蹴りはプロヴィデンスの腹部にめり込み、蹴り飛ばされたプロヴィデンスはよろめくが追撃はない。
『・・・・?なんだ?』
追撃がないのに疑問を覚えたクルーゼがシナンジュへと通信を繋げる。
と、その通信からパイロットであるトリトマの声が聞こえてきた。
「・・・・ノイズが頭に響くッ」
そんな言葉と共に彼女の口はまるで誰かと話しているかのような口調で独り言は続く。
「・・・・もうすぐ撃たれる?ジェネシスが・・・?」
『なに?それはどういうことだ?』
彼女の口から出たその言葉にクルーゼは思わずそう返事を返してしまった。
そして次の瞬間───
「『ザフト軍全軍に通達!ジェネシスの射線上から退避せよ!繰り返す!ザフト軍全軍はジェネシスの射線上から退避せよ』!」
そんなレーザー通信がクルーゼに届いた。
『───なに!?』
その言葉にクルーゼは思わず声を上げる。
そしてその言葉をトリトマへと伝える前に彼女は通信をオープンにし、戦場にいる両軍へと向けて叫んでいた。
「皆さん!全員ここから下がってください!"ジェネシス"が発射されます!!」
おまけ
午後二時
「む?軍の食堂を使うとは珍しいなデュランダル?」
「逆に私からしてみれば君がこのような施設を使っているのが予想外だがね?フロンタル?」
食堂で元議長と現議長が顔合わせで座るとかいうとんでもない状況だが、気にしてはいけない。
「それで?普段は執務室に籠もっている君がこんな時間に食堂を利用している?」
「いつも通り書類に目を通していたのだが、トリトマにちゃんと食事をとるように言われてしまった」
「・・・彼女は君の母親か?」
エナドリキメてただけなのになんであんなに怒るんだが。
「最近、ちゃんとした食事をとっていなかったのもあって余計に言われてしまったよ」
「それはお前が悪い」
げせぬ
「そう言えば・・・最近、君の結婚話があったがアレはどうなった?」
「聞きたいのか?」
「それなりには」
俺も聞きたい!
「・・・結論から言えば話は無しになった」
「無しになったのか。それは何故だ?君なら沢山の候補はいるだろうに」
「トリトマが作ったシチューを食べてその日は一日中ソファから起き上がれなかった」
いやー、エムとエル達に介抱してもらってたけどアレはヤバかった。
あの後、トリトマも食べて動けなかったみたいだし
「いや待て。シチューを食べて動けなくなった?どうしてそうなる?」
デスシチューにどう対抗しろと?ある程度耐性ある俺でも無理だったんだぞ?
「今から作ってやろう。私が動けなくなった理由が分かるぞ」
「どんな味なのか気になるな。頼む」
「分かった」
その日、デュランダルの姿を見たものはいなかった
フロンタルさんがSEEDの海に放った怪物
【挿絵表示】
いやー・・・こいつ模写はともかく、色塗んのこんなにめんどくさいとは思わなかった