フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第百二十八話

数刻前───

 

ヤキン・ドゥーエの制御室に詰めていたパトリック・ザラとエザリア・ジュールの元にも、戦況がもたらされていた。

 

「フリーダムがジェネシスの照準ミラーブロックへと接近しています!」

 

「なにっ!?」

 

通信士のその報告にパトリックは焦りの声が出た。

まさかジェネシスの存在が知られていたのか!?

秘密裏に制作していたナチュラルに対する虎の子の兵器だというのにその存在がナチュラル共にバレていたとなればあの男が全て喋ったのだろう。

こんな所で虎の子であるジェネシスを破壊される訳にはいかん!

 

「迎撃出来んのか!」

 

「そ、それがフリーダムにはミーティアユニットが換装されており、迎撃が追いつきません!」

 

「・・・・ッ!ヤキン・ドゥーエに残存する全兵力を防衛に回せ!ジェネシスを破壊される訳にはいかん!」

 

「しかしそれではヤキン・ドゥーエの防衛が・・・!」

 

パトリックの指示にオペレーターはそう言うが反論が気に食わなかったのだろう。彼は怒鳴りつけながら銃を突きつけた。

 

「黙れ!私の言うことが聞けんのか!ジェネシスも最終段階への移行を早く済ませろ!そしてボアズへと攻め込んでいる隙をついて奴等を始末するんだ!」

 

パトリックのその言葉に顔を青くしたのはエザリアだ。

それは何故か?

そう。前線であるボアズには彼女の息子であるイザークがいる。

 

「待ってください!まさか味方ごと撃つおつもりですか!?」

 

ボアズにて防衛戦を行なっている同胞ごと撃てと言っているようなものである彼の言い草にエザリアは問うと、パトリックは言う。

 

「"それがどうした"?今、奴等の戦力がボアズに集中しているこの状況で撃たずにいつ撃つという?"ジェネシス"さえあれば奴等を滅ぼせることなどいくらでも出来る!」

 

「ならばせめて軍に退避命令だけでも!こちらの被害を最小限に抑えなければ防衛もままならない!」

 

退避命令だけでもと懇意するエザリアにパトリックはフンッと鼻を鳴らしてから言った。

 

「ならば早くすませろ!あと十数分で全てが完了する!」

 

その言葉にエザリアが緊張した顔を頷き、オペレーターに命令を下す。

 

「ザフト全軍に伝えて!ジェネシスの発射準備がまもなく完了する。射線上から退避せよと!」

 

「は、はい!」

 

慌ただしくなる制御室でパトリックは一人、不敵な笑みを浮かべた。

フロンタル。貴様の思い通りにはさせん!

 

「───我らの真の力、今こそ見せてくれるわ!」

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「皆さん!全員ここから下がってください!"ジェネシス"が発射されます!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

オープンチャンネルで戦場の全宙域にいる皆にトリトマの叫びが聞こえてきた。

 

「なんですって!?」

 

「なんだと!?」

 

「なんだって!?」

 

マリュー達も彼女の通信を聞いてそう叫ぶ。

 

「ザフト軍、撤退していきます!」

 

少し遅れアークエンジェルの艦橋でサイが慌てるように報告を上げる。

気づくと徐々にザフトの艦隊とモビルスーツがボアズ周辺から慌てて撤退していく姿を見て皆が血相を変えた。

そして突如、ヤキン・ドゥーエの後方に何かが揺らめいた。

 

「ヤキン・ドゥーエ後方に巨大な物体があります!」

 

陽炎のように揺らめきながら巨大な円形が反射光に浮かび上がり、そちらへとマリュー達は目を凝らす。

ヤキン・ドゥーエの後方───キラが向かった方角の遠方にソレはあった。

 

「あれが・・・ジェネシス?あんな巨大なもの、一体いつからそこにあったの・・・?」

 

茫然とするマリューに対し、ナタルは慌ただしく全軍に指揮をする。

 

「全軍、各個散開しながらジェネシスの射線上から退避!巻き込まれるぞ!急げ!」

 

『退避だってよ』

 

『退避つったってさぁ!どこに逃げるんだよ!』

 

『いいから急げってんだよ!』

 

早急な指示に連合軍も慌てて退避し始める。

そんな中、突如目の前に現れたジェネシスにキラは呆然と呟いていた。

 

「あれが・・・ジェネシス」

 

それはトリトマ達も同様だった。

 

「なんでやがりますか!?あの馬鹿でかいモノは!」

 

中破したムウのストライクを抱えながらトリトマはクルーゼとイザーク達と共に射線外へとスラスターを吹かせる。

 

『アレがジェネシスだ!極秘に進められていた最終兵器だと噂に聞いていたが、あそこまでのものとは俺も知らなかった!』

 

そんな彼等に対し、ヤキン・ドゥーエの司令室では粛々とジェネシス発射シークエンスが進められていた。

 

「フェイズシフト展開」

 

オペレーターの声とともに、暗い鉄灰色をしていた巨大なミラーが磨かれたように輝く銀に白く色づく。

 

『フェイズシフト装甲だと?』

 

「つまりさっきまで姿が見えなかったのは!」

 

『ブリッツから転用したミラージュコロイドかッ!』

 

連合のモビルスーツから得た技術をも惜しげもなく用い、あらゆる技術を結集したのがこのジェネシス。

 

「Nジャマーキャンセラー起動。ニュークリアカートリッジを単発発射に設定」

 

「全システム接続オールグリーン」

 

「───思い知るがいい!ナチュラルども!」

 

パトリックが勝ち誇った笑みを浮かべ、叫んだ。

 

「この一撃が、我らコーディネイターの創世の光とならんことを!───発射!」

 

その言葉とともに戦場へと、太く強烈な光が駆け抜けた。

その光を見てフロンタルは呟く。

 

「パトリック・・・お前達はやり過ぎだ。銃の引き金を引いたからにはお前達にはケジメをつけさせてもらう」




おまけ

「た、助けてください!隊長!?」

「今日はヤケに慌ただしいな?どうした?」

大粒の汗を流しながらゼーハーゼーハーと息を切らしているトリトマにフロンタルはそう聞き返すと、後から部屋へと転がり込んできたエムが言った。

「説明。基地の人達に担がれそうになったので逃げてきました」

「担がれそうになった?」

「は、はい・・・皆さん戦争が終わってから変なんです。私やエムさんを見るなり女神だとか変なことばかり言ってきて・・・なんなんでやがりますか!」

気持ち悪そうに腕をさするトリトマに対し、フロンタルは彼等がそう言うであろう理由をいくつか思い浮かべていた。

そりゃあまあ、ねえ?

ジェネシスの射撃をいち早く察知してザフトや連合問わずに退避しろって避難警告だしたし、戦後処理で沢山の民間人の救助や残党狩りで二人が活躍していたという話を耳にしたくらいだ。
最近、袖付きに入隊したいという連中もかなりの数がいるらしいが、キャプテン曰く、トリトマやエムが目当ての連中が多くて困っているらしい。後は・・・クルーゼ曰く、トリトマ達のファンクラブがあるとか聞いたような気がする。
噂ではその中にミーア・キャンベルの姿があったとかなかったとかも言ってたな?


「助言。何か対策はないでしょうか?」

「私にどうしろと?多少の対策はできるかも知れんが、ああいった連中は何しでかすか分からん」

一種のドルオタ集団みたいな感じになってるらしいし、ぶっちゃけこっちに被害がないなら関わりたくない。

「そんなぁ!あんなのがいても全然嬉しくなんてねーですよ!」

そのあんなのの中にミーアが入ってるんだぞ。
多分彼奴等は彼奴等なりなんとかするだろ。

多分。きっと。間違いない。
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