フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第百二十九話

トリトマの言葉に後退した彼等は、さっきまで自分達がいた空間を駆け抜けていったあまりにも巨大なエネルギーに愕然として目を見開く。太い光条は一部の地球軍と逃げ遅れたザフト軍を飲み込み、そこにあったモビルスーツ、艦艇、また宇宙空間を漂っていたデブリに至るまで、すべての物質を一瞬にして焼き払った。

破壊の光が去ったあとに残されたのは、無残に焼き尽くされた戦艦とモビルスーツの融けて熱を持った無数の破片と、直撃を免れた多くの艦隊だった。

強烈な電磁波により、ノイズに覆われた宙域ではすべての言葉が絶えた。敵も味方も関係なく、たった一発で戦艦と百を超える機体を消し飛ばした恐るべき兵器の威力にただ呆然とその惨禍に見入るばかりだった。

だが、これほどの破壊力と範囲を持ちながら地球軍とザフト軍を含め戦艦数隻とモビルスーツ百機程度で済んだのは幸運だと言ってもいい。

赤いモビルスーツのパイロットである少女があの攻撃がくると知らせてくれなければ互いに甚大な被害を被っていただろう。

 

「───こ・・・んな・・・・ッ!」

 

キラは声を震わせ、歯を食いしばる。なぜという思いが身体の中で渦巻き、胸を突き破って溢れ出すかに思えた。

 

「・・・・父上・・・・っ!」

 

ヤキン・ドゥーエへと向かうアスランは呻くように声を出す。

 

なぜ人は、こんなものを造らなければならなかったのだ?なぜ───!?

 

アスランの胸の中のその思いを見透かすように隣に立ったフロンタルが答える。

 

「アスラン君。君は何故、人はこんなにも敵を殺すものを作るのだろうと胸に抱いているだろう。それはな、人は自分と違う考えを持つ者が恐ろしいと思っているからだ」

 

「・・・自分と考えが違うことを恐れて・・・?」

 

「ああ。だからこそあのような事も出来てしまう」

 

フロンタルに顔を向けるアスランの表情は困惑の色を浮かべていた。

 

「アスラン君は今、お父上の事をどう思っている?恐ろしいとは思えないか?ナチュラルを滅ぼすことしか考えず、共存の道など以ての外だと切り捨てるパトリック・ザラに君はどう思う?」

 

「それは・・・」

 

間違っている。そう思っている。

あのような敵を殺し尽くすだけの兵器を使って敵を滅ぼせば平和になるという考えは───

 

「───ッ!?」

 

そこまで考えてアスランはフロンタルが言いたい意味を理解した。

そうか。これが自分達と違う考えを持つ者が恐ろしいということなのかと。

 

「どうやら自分でも理解したようだな?アスラン君。それが他人が恐ろしいということだ。クライン嬢は私の事を恐ろしい人と呼んでいる理由が今の君なら分かることだろう」

 

その言葉にアスランは何故、前々からフロンタルの事が心の片隅で恐ろしいと思っていた理由が分かった。

 

"この人は何故ジェネシスが撃たれても此処まで冷静でいられるんだ?"

 

フル・フロンタルが冷静沈着の男なのは前から知っていた。だが、この惨状を見てもこの男は平常でいられるのだろう?

 

まるで"この状況になる事を知っていた"かのような・・・

 

そこまで考えてアスランは首を横に振る。

いや、そんな筈はない。

人は未来を見る事なんて出来ないのだから。

この人が平常に見えるのも仮面で表情が分かりづらいだけだからだろう。

そう"自分の中で決めつけて“アスランは言った。

 

「・・・この先、貴方はどうするつもりですか」

 

その問いにフロンタルは答える。

 

「パトリック及びザラ派についた評議会の何人かはジェネシスを使用した責任として処分せざるを得ないだろう。最も作戦が成功すればの話だが」

 

ヤキン・ドゥーエに入る事が出来たら俺としては後は任せてもらえればいいんよね。

こういった潜入は得意だからね。

 

「とはいえ今は先の話より現状だ。今、ヤキン・ドゥーエの防衛の戦力はキラ君がジェネシスのミラーを破壊するのを阻止する為に手薄になっているらしい。駆け抜けるなら今のうちだ」

 

その言葉にエムは言う。

 

「急行。では急ぎましょう」

 

そう言いながら操縦桿を握り直すエムにフロンタルは言った。

 

「エム。お前の船の操縦技術、頼りにするぞ」

 

「了解」

 

そう返事を返すエムにフロンタルはヤキン・ドゥーエに目を向ける。

 

上手く行けば痛み分けで終戦出来るかも知れないだろうが、敗戦国扱いになるのだけは避けたい。

下手したら技術提供もインフラや医療技術提供だけじゃ向こうは満足しないかもしれない。

最悪な展開を考えながらもフロンタルはこの先の事も見据えていた。




おまけ

「提供。隊長、食べてみてください」

「急にどうした?エム」

突然オムライスが乗った皿を持ってきたエムにフロンタルは意図が分からずにそう言ってしまう。

「説明。トリトマさんと一緒に料理の練習をしていました。どうでしょうか?」

「ふむ」

見た目は良し。綺麗に出来ている。
だが問題は味だ。
トリトマの料理は見た目は良いが味はハッキリ言って食べ物のソレではない。
つーか劇物だったしなぁアレ。

「そう言えばトリトマはどうした?一緒に料理の練習をしていたのだろう?」

「説明。トリトマさんは自分の料理の味見をして倒れてしまいました。今は部屋で休んでいます」

いや何やってんのあの子?

「後で時間を作って見舞いにでも行こうか」

心配ではあるがぶっちゃけ気晴らしもしたい。
フロンタルはスプーンを手に取り、エムが作ったオムライスを一口分切り取る。
卵に包まれたその中には油でキラリと光る炒飯が・・・

「いや待て。なぜオムライスの中が炒飯なのだ?」

バターライスはまだ分かる。チキンライスは分かる。
なんで炒飯なんだ?

「返答。最初はチキンライスを作っていましたが、何故か炒飯になっていました」

「いやなんでだ?」

思わず素が出てしまった。
なんでケチャップ使って炒飯が出来るんだよ。
材料も全く違うのになんで炒飯になるんだよ?
訳わかんねえよ!

「食べてくれますか?」

無表情ながらも不安そうな顔をするエムにフロンタルは言う。

「ああ。せっかく作ってくれたものだ。いただこう」

食べてみた感想としてはうん。炒飯だったとだけ言っておこう。
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