フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第百三十話

「───“ジェネシス“最大出力の六十パーセントで照射」

 

「ボアズに進行中だった地球軍艦隊は二割の戦力を喪失、自軍も一割ほど喪失と推定。ジェネシスは冷却開始します。照準ミラーブロック換装作業、はじめ」

 

ジェネシスという兵器の威力に唖然としていたオペレーター達が、我に返ったように報告を再開する。

 

「───なぜだ!なぜこんなにも被害が少ない!」

 

オペレーターの報告を聞いたパトリックは怒号を上げる。

味方ごと巻き込んだ攻撃だったのにも関わらず、地球軍の被害の少なさは想定外だと言ってもいい。

 

「フル・フロンタルめ・・・!」

 

何故、奴はいつもいつも私の邪魔をする!

最初はポッとでの小僧としか思わなかった。

だが奴はシーゲルの下へとつき、着々と実績を上げ、シーゲルの後釜の席へと腰を降ろした。

私がシーゲルと共に作り上げたこの土台へたった二年という短さで奴は辿り着いた。

奴の仮面越しの憎たらしい顔が脳裏へと浮かぶ。

 

「早く第二射目の準備をしろ!ジェネシスを破壊させるな!」

 

「は、はっ!」

 

司令室に響く怒号にオペレーターの皆々は急いで通信をいれていく。

だが、彼等は知らなかった。

ジェネシスを撃った際に発生した荷電粒子及び電磁パルスの影響により、大多数の電子機器にエラーがおき、正確な情報の伝達や無人防衛システムが正常に作動していなかった状態だったこと。

そしてヤキン・ドゥーエ防衛の為の大多数の戦力をジェネシスの防衛へと回したことでフロンタル達が乗った輸送船が潜入したことに誰も気づくことはなかった。

 

 

◇◇◇◇

 

 

「警備が薄すぎるな。何故、こんなにも警備が薄い?」

 

ヤキン・ドゥーエ近辺までやって来たフロンタル達だったが、周辺には見張りとなるモビルスーツが見当たらない。

 

「疑問。不自然なまでに見張りがいません」

 

エムもそう思ったようで周辺を確認するが、モビルスーツらしい形や影は一つもない。

 

ジェネシスみたいなタイプの破壊兵器や核を宇宙空間でぶっ放すと電磁パルスのせいで電子機器がほぼ全滅するんよね。

 

だから普通はあんな兵器をぶっ放した後は電子機器が回復するまで目視で徹底監視しなきゃいかんのだが・・・・

 

アイツ、やらかしたな?

軍事経験がほぼ無い奴が指揮取っているせいで警備も何もかもがガバガバじゃねえか。

 

テラ時代のドクターの方が戦術面はヤバかったぞ。

アレは俺でも容赦ないと思ったくらいだ。

だがまあ滅多にないチャンスでもある。

 

「・・・これはチャンスだな。今、ヤキン・ドゥーエの警備は薄い。監視カメラや防衛システムもジェネシス発射の際に発生した電磁パルスで使い物にならないだろう。エム、六番ドックへと向かえ。予定通りなら内通者が六番ドックの入口を開けてある筈だ」

 

「了承」

 

そう答えるエムに対し、アスランが言う。

 

「内通者なんて・・・一体いつの間に・・・」

 

「最初からだ。パトリックが私を信用していなかったように私も最初からザラ派は信用していない」

 

そう言い切ってフロンタルは座席に腰を降ろす。

 

「私達が中に入ったらパトリックの奴は詰みだ。まあ、その前に部下に裏切られて殺される可能性もあるが」

 

「父上が・・・殺される?」

 

訝しげな顔をするアスランにフロンタルは言う。

 

「独裁者が死ぬ大半の理由は革命による反乱、もしくは部下の裏切りによる殺害だ。奴はどのみち逃げ場を無くす。味方ごとジェネシスを撃った現状、奴はどれだけの反感を買うか理解していない」

 

そう言うフロンタルにアスランは薄ら寒いものを感じた。

 

それは純粋な恐怖。

 

その先、人がどういった行動をするかと淡々と語るフロンタルはまるで虚無そのものだった。




「やっぱり隊長の料理はおいひぃです」

「同意。ですが・・・」

「負けた気になっちゃうのよねー」

食堂でフロンタル特製のパエリアを頬張る三人と二人にフロンタルは呆れたように言う。

「トリトマ達は先週、料理を私に持ってきたから作ったが、何故お前達の分まで作らなければならんのだ」

三人の少し離れた席で同じ料理を食べていたデュランダルとクルーゼは言う。

「いや、君が久しぶりに作ると聞いてな」

「ならばそれに乗らざるをえないだろうに」

タダメシ食いに来ただけじゃねえか

「しかしパエリアか。アレを思い出すな」

「ああ・・・アレか」

フロンタルが昔、海老をセミっぽくない?と言って食欲が失せた事件である。

「うっ・・・」

「・・・思い出したら吐き気が」

反射的に食事の手が止まる二人にトリトマは言う。

「あれ?お二人は食べねーんですか?」

キョトンとした顔するトリトマに二人は自分のスプーンに乗る海老の身をじっと見つめる。
そして

「・・・トリトマ君。海老をよく見るとセミに見えないかね?」

クルーゼは一瞬考えて、過去のフロンタルと同じセリフを口にしていた。

「!?」

直後、トリトマ達は自分のパエリアに視線を落とす。

「・・・どうしてそういうことを言うんでやがりますか!」

抗議するトリトマちゃんは涙目だった。

「すまない。私達二人でトラウマを抱えたくなくてな」

「セミは美味いだろうに」 ※不本意ながら美味かった 作者談

「・・・!?」

フロンタルが追い打ちをかけていた。トリトマは思わずスプーンを落とす。

「と、トリトマちゃん。ほら、勇気を出して食べないと」

「補助。隊長も何か言ってあげてください」

「アブラゼミよりクマゼミのほうが美味しいぞ」※不本意ながら以下略

・・・・違う、そうじゃない。

その後、三人は黙々とパエリアを食べた。

なお、トリトマちゃんは海老をどけて食べていたそうだ。



【挿絵表示】


フロンタルさんとシナンジュ
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