フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
司令室へと向かう事が出来るエレベーターに足を踏み込み、フロンタルとアスランはパトリック・ザラがいるだろう司令室への階へとボタンを押す。
「オーブを・・・貴方は信用していないのですか?」
アスランの問いにフロンタルは「ああ」と短く答える。
「それは・・・何故?」
カガリの事もあり、アスランはイマイチ信用出来ない理由が分からないといった様子だったが、そんなアスランにフロンタルは言った。
「アスラン君。君は既に分かっている筈だ。ヘリオポリスでオーブは地球連合と極秘で何を開発していた?」
そのヒントを得てアスランは理解した。
「何を・・・!?五機の・・・新型モビルスーツの開発!」
「そうだ。あの国には前科がある」
そう言うフロンタルの言葉にはなんの感情も宿っていなかった。そのせいもあってか冷たい印象を感じられる。
「一度、その件についてウズミ・ナラ・アスハにも問い詰めた事がある。が、あの男はその話に関して自国防衛の為だと言って話題を逸らそうとするだけだった。その件もあって私は早い段階であの国との同盟を結ぶことはデメリットしかないと判断する事が出来た」
オーブと同盟を結ぶのはデメリットでしかない。
それどころか奴等は進んだ技術は模倣盗用をするから余計に信用はない。
そもそもの話、ウズミの時点で同盟どころかこれから先の友好条約すら戦争に加担する行為だとか言って自ら拒否したのだ。
その頑固な意志を引き継いでいる"アレ"も我々と手を取り合うつもりはないだろう。
「たとえ君がアスハ嬢の説得を試みようとしてもやるだけ無駄だ。向こうから協力関係を結ぼうと申してくるならまだしも我々が一度提案を断ったオーブに力を貸す理由はない」
「ですが宇宙に物資を上げる為にはマスドライバーが必要不可欠になる筈です!貴方もそれはご存知でしょう!?」
「マスドライバーに関しては問題ない。オーブが保有する一基が無くとも南アフリカの"ビクトリア”がある」
流石に東アジア共和国の保有する「カオシュン」はユーラシア連邦の持ち物で使うことなど無に等しく、南アメリカ合衆国の保有する「パナマ」に関して破壊されている。
それに南アフリカに関しては大洋州と同じく親プラント国家だった場所だ。まあ、パトリックがヘマやらかして撤退する羽目になったようだが。
後は問題点で言えばプラントの住民からは自分達コーディネイターを受け入れる数少ない国がオーブといった好印象なところがあるので同盟の際、何故オーブが入っていないのかと疑念されるところだろうか。
「だからこそオーブと手を取る理由が此方にはない」
ぶっちゃけ根切りにしてもいいけどそうすると彼奴等攻めてくるから手を出したくない。
つか、相手にするのが面倒臭い。
やるにしても彼奴等がヘマやって国際問題になった時くらいか?
「この話は終わりだ。君がどれだけオーブの肩を持ったとしても私は考えを改める気は今の所ない」
そう言うと同時───
ポーンという音と共に司令室がある階の扉が開く。
「行くぞ。アスラン君」
そう言ってフロンタルは司令室へと歩き始め、アスランも何が正しいのか分からないといった様子ではあったが、フロンタルの後を追う。
そしてフロンタルは司令室へと足を踏み入れた。
「ゴホッ、ゴホッ・・・!」
睡眠ガスが辺りに充満しているにも関わらず、一人の男が激しく咳き込みながらもその場に立っていた。
だが様子がおかしい。
何故ならその男の腕に血の跡がついていたからだ。
「ち、ち、うえ・・・・?」
アスランは愕然として構えていた銃を降ろす。
そんな彼に対し、フロンタルは違った。
「自らを撃つことでガスに耐えたか」
自分すら傷つけても奴の中にあるナチュラルへの憎しみが奴を動かすか。
それに対しては敬意を評するが、生憎とそれもここまでだ。
部屋に入ってきたフロンタル達にパトリックは目を血走らせながら地獄の底から訴えるような声で目の前にいる”敵”の名を呼んだ。
「・・・フル・フロンタル!!」