フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第六話

アスランたちの前で執務室のドアが開いた。秘書官らしき随員と言葉を交わしていたデュランダル議長がこちらに目をやり、カガリの顔を認めると、柔和な笑みを浮かべて歩み出る。

 

「やあ、これは姫。遠路お越しいただき、申し訳ありません」

 

「いや、議長にもご多忙のところをお時間いただきありがたく思う」

 

カガリは顔に出す事はなかったが、フロンタルと同じ声を持つデュランダル議長に内心で警戒する。

そんなカガリの背後ですばやく室内の危険をチェックしたアスランはふと視線を感じた、

 

(・・・・なんだ?)

 

アスランは内心不安を覚えながらもその視線の先であるデュランダル議長に目を向ける。

普通、VIPは随員になど視線をやらぬものだ。今はアレックスという偽名を名乗り、顔を濃いサングラスで隠してはいるが、ここはかつて自分が属した場所だ。今の議長とは面識などなかったはずだが、メディアなどでアスランを見知っている者は多い。

それに現議長のことギルバート・デュランダルはフル・フロンタルの旧友だという。

もしかしたらフロンタルに自分のことを聞いている可能性もないことはないだろう。

戦後 、アスランはアレックス・ディノと名を変えてオーブへと渡った。その手続きをしたのは意外にもフロンタルだ。

アスランの脱走、反逆罪の追求などはせず、オーブへ去るがままにされたのはフロンタルにとってアスランは、本国にいては面倒な存在だったのだろう。

その半年後、モルゲンレーテがデルタカイのデータを解析したことによって再び顔を合わせることになるとは思いもしなかったが。

デュランダルは、アスランの視線に気づいた様子もなくカガリに向き直り、ソファを勧める。

 

「お国の方はいかがですか?姫が代表となられてからは、じつに多くの問題も解決されたようで」

 

「・・・まだまだ此方も至らぬことばかりだ」

 

議長の言葉に、カガリは苦いものを含んだ口調で答えた。

あきらかにデュランダルはカガリの様子を窺っている。

今現在、オーブとプラントの仲はあまり良くない。だからこそその仲を改善する為にここに赴いたのだ。

 

「───で?この情勢下、代表がお忍びでそれも火急なご要件とは、いったいどうしたことでしょうか?」

 

デュランダルが上滑りに聞こえるほど快活に訪ねる。無論、こちらの用件など聞く前から知っているどころか向こうの方から提示してきている上でこのような聞き方をしているのだ。

此方の口から用件を言わせたいらしい。

 

「我が方の大使の伝えるところでは、だいぶ複雑な案件とご相談───ということですが・・・?」

 

カガリは強い目で相手の端整な顔を見つめたあと、ふいに、脱力したように低く呟く。

 

「・・・・私には、そう複雑とも思えぬのだがな」

 

そして投げやりにさえとれる挑戦的な口調でこう言った。

 

「だが、いまだにこの案件に対する、貴国の明確なご返答が得られないということは、やはり複雑な問題なのか?」

 

「ほう・・・?」

 

室内にいる双方の随員たちが、彼女のケンカ腰な物言いに緊張した表情になるが、デュランダルは気を悪くした様子もなく、興味深げに首を傾げる。

 

「わが国は再三再四、あの件で流出することになったわが国の技術と人的資源の、そちらでの軍事利用を即座にやめていただきたい」

 

大戦の際、地球連合軍の侵攻に伴い、オーブに安住していた人々はプラントにその行き場を求めた。

そしてその人材と件の件で流出した技術をプラントは軍事利用している。

本来であれば国を見限った国民が他国でなにをなそうと、こちら側が口出しできない。だが、各国が軍備増強に歯止めをかけていない今、自分達が滅びかけたその恐怖を忘れてその火を手放そうとしないそんな世界の流れを押し留めたいとカガリは強く願っている。

そんなカガリに執務室の扉が開く。

その入ってきた人物にデュランダルは“旧友と話すような感覚で“部屋に入ってきた人物に言った。

 

「だ、そうだ。“フロンタル“、君はどう思う?」

 

その人物の名にアスランとカガリは身体を強張らせた。

 

「まず、アスハ嬢の願いについて答えよう。オーブの技術を使うなと言うが君達オーブが我々の技術を盗難しようとした実歴がある時点で君達の願いを聞く義理はない。それに君達オーブの技術に関してはそちらが許可したのだろう?勝手に使われるのが嫌ならあの時、アカツキ島を私に渡していればこんな事にはならなかったものを」

 

二人は振り返る。

そこには二人の護衛をつけた一人の男がいた。

 

フル・フロンタル。赤い彗星本人がそこにいた。

 




機体説明

ガンダムデルタカイ

トリトマがDESTINY編序盤から中盤にかけて搭乗するモビルスーツ。

デルタカイには n_i_t_r_o ナイトロ/nEWTYPE iNJECTION tRACE rEFOMED oLDTYPE というシステムが搭載されており、本来の使用用途はニュータイプ能力を持たない者に擬似的にその能力を持たせることが出来るシステムである。
が、実際にはそんな生易しいものではなく、ナイトロは搭乗者の脳を強制的に書き換えてニュータイプにする(実際は強化人間にする)代物であり、その書き換え能力はナイトロ初期の物は精神が燃え尽きるほどのものであった。

ならなぜそんなシステムを組み込んだモビルスーツをトリトマが乗っているのか?

それはユニコーンの強化プランであるアームドアーマーシリーズのゼノ・コネクトにそのシステムの末端が使われていること。
そしてもう一つがトリトマのニュータイプ能力の覚醒を早く促すことである。

フロンタルさんからしてみれば自分はもう長くないと把握しているので、オリジナルフロンタルが出てきた際、止められる存在が必要不可欠になる。その役割をトリトマや彼女の中にいる彼等に頼みの綱をかけている
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