フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第十話

ステラたち三人は、町外れの看板の前にいた。ここが待ち合わせ場所だ。電子ビルボードはザフトの徽章を大きく映し出したあと、宇宙空間に並ぶプラントの映像に切り替わる。ステラはしばらくの間ビルボードを見あげていたが、何度も同じ映像が繰り返されるばかりなのに気づいて、視線を空に向けた。

 

この空には太陽がない。

 

「なーんか、地球とあんまり変わらないよな。つまんねえー」

 

退屈そうにアウルが言い、ステラは黙ってコクリと頷く。

 

「でもプラントって毎日晴れでいいよな。天気予報いらねーじゃん?」

 

「バーカ、雨くらい降るさ。プラントだってな」

 

脇から口を挟むスティングにアウルは憤慨した表情になる。

 

「え、うそだろ!なんでわざわざ雨なんか降らさなきゃなんないんだよ!」

 

「さあな。いろいろとあるんじゃねえの?雨が降らないとさ」

 

「雨が降るなんてサイアクじゃん。服とか濡れるしさ。なあ、ステラ?」

 

アウルに同意を求められてステラは頷いた。

 

「・・・うんっ」

 

先程から腕時計を何度か見ていたスティングが、近づいてきた車に目をやった。バギーが一台、彼等の前に停車する。

前の座席にはザフトの軍服姿の男たちが座っていて、スティングの視線を受け、黙って頷く。どうやらコレが『待ち合わせ』の相手らしい。ステラ達も黙ってバギーの後部に乗り込んだ。

バギーは街から更に離れ、軍事工廠の敷地内へ入っていく。入り口のゲートで前の座席に座っていた男たちはIDを見せ、VIPを案内する係官であるかのように振る舞った。

VIPというのはステラ達のことらしい。彼等がザフトの本当の軍人なのか、それともステラ達のように偽の身分を名乗っている者なのか、わからない。そもそも、知る必要もなかった。

 

「では一度、目視での確認をさせていただきます」

 

と、警備員がそう言った。

 

「・・・何故だ?VIPの重要人物だと言っただろう?」

 

「そうは言いましてもね。”フロンタル司令官の命令で重要人物も全員顔と名前を確認するようにと連絡されていますので”」

 

その言葉に前席に座っている男は舌打ちする。

どうやら計画に支障が出たらしい。

 

「・・・おい」

 

スティングは前の座席に座る男に目をやる。

自分の考えている事に察したのか男は言った。

 

「チッ・・・分かったよ。ほら、確認しろ」

 

そう言って後ろの窓を開ける。

そしてスティングが顔出す。

 

「これでいいか?」

 

「ご協力感謝します」

 

警備員の男がそう言ってスティングの顔を探す為、視線をパソコンの画面に目を瞬間───

 

パンッ!!

 

乾いた銃声が鳴り響く。

スティングの手には拳銃が握られており、その銃口は煙が上っていた。

撃たれた衝撃で血を噴き出しながら倒れる警備員を余所にスティングは言った。

 

「すぐにバレる。早く行け」

 

そう言うと、バギーはすぐに走り出す。モビルスーツが歩き回り、見学客の姿も見える軍事工廠をバギーは走り抜け、ほどなくして巨大な格納庫の前で停車した。

キースリットにキーが通され重そうなハッチが上がっていく。

内部に駆け込んだ三人に案内役の男たちが武器を手渡す。スティングとアウルが慣れた手つきで銃に弾倉を装填し、ステラはナイフを鞘から抜き放った。

これからが本番だ。

彼女らはさっきまでのどかな会話を繰り広げていた者たちとは別人のように鋭い目で、建物の奥を透かし見た。薄暗い格納庫には、モビルスーツ運搬用のクローラーが並んでいるほか、その周囲には二十人前後の軍人の姿がある。この程度なら“いける“だろう。

スティングが目で合図をし、皆、一斉に物陰から飛び出す。誰も彼女らの侵入に気づかないうちに銃声が高い天井にこだまし、スティングの連射を食らった兵士達がなぎ倒された。

何人もの声は複数の銃声にかき消される。アウルが宙で側転しながら両手のサブマシンガンから弾丸をばら撒き続ける。

コーディネイターの兵士でさえその動きに眩惑され、やっとのことで構えた銃は虚しくなにもない空間を撃った。

ステラは兵士たちの中に声を上げて飛び込む。片手のナイフで一人の喉を切り裂きながら身を翻し、背後の兵士をもう一方の手にした銃で撃ち倒す。

 

「アウル、上だ!」

 

スティングのその言葉にアウルはクローラーの上から自分を狙う兵士たちに見向きすらせず、肩ごしに両手の銃口だけを向けて撃ち落とした。兵士たちは殆ど撃ち返す事も逃げ出す事も出来ぬまま、倒れていく。その中にはエリートパイロットを示す赤い服も見ることが出来た。

数分もせずに、格納庫の内部は制圧された。奇襲であったとはいえ、コーディネイターの兵士たちがたった五人の男女に敗北したのだ。

 

「スティング!“袖付き“の連中が来る前に急ごうぜ!」

 

「ああ。ステラ、行くぞ!」

 

「・・・うん」

 

スティングの号令と同時に、三人はそれぞれ三基のクローラーに飛び乗った。その上には鉄灰色の巨大な機体が横たわっている。彼等は開いたままだったコクピットに飛び込み、シートに着く。ステラはOSを起動させると、手元のモニターが明るくなり、OS名が浮かび上がる。

 

Generation

 

Unrestricted

 

Network

 

Drive

 

Assault

 

Module

 

“G .U. N. D. A. M──ガンダムとでも読むのだろうか?

 

『どうだ?』

 

通信機からスティングの声が届く。

 

『OK、情報どおり』

 

アウルが応じ、ステラも起動作業を続けながら答えた。

 

「いいよ」

 

エンジン音が低くクローラーを震わせ、横たわっていたモビルスーツの目に光が入る。三機のモビルスーツはクローラーごと起き上がり、その巨大な手足が力を得て緩やかに動き出した。

とその時、今頃になってけたたましいサイレンが鳴り始めた。だが、もう遅い。

三機の"ガンダム"は警報の鳴り響く格納庫に立ち並び、その異様でさえある姿を堂々と見せつけた。

 

 

◇◇◇◇

 

 

アーモリーワンの近くの宙域ではモビルスーツ搭載艦《レウルーラ》の巨大なスラスターが点火し、艦体が速やかに加速していく。

艦内では”袖付き“だけが保有するモビルスーツ〈ギラ・ズール〉がカタパルト内で一旦静止し、前傾姿勢をとって急発進する。

 

《レウルーラ》はフロンタル及びスティング達がいるアーモリーワンを捉えていた。

既にフロンタル隊のモビルスーツ数機は先行している。

そこにキャプテンからの通信が入った。

 

『──レオントッツォ隊艦長、サルビア・エルネスタからフロンタル隊への皆様へ通達します。現在、アーモリーワンの軍事工廠から新型のモビルスーツ三機が強奪されました。出来ることなら捕獲をして欲しいところですが最優先事項はその場にいるデュランダル議長及びフロンタル司令の安全確保、そしてコロニーの被害を最小限に抑えることです。敵に関してはシャトル一隻たりとも逃がしてはなりません』

 

フロンタル隊がアーモリーワンを囲むように広がっていく。

そしてその様子をガーディ・ルーの中で仮面の男が見ていた。

 

「流石”袖付き”だ。対応が早い。あれはステラ達でも対応が厳しいな」

 

そう呟き、仮面の男はふわりとエレベーターに向かって飛んだ」

 

「私も出て時間を稼ぐ。艦を頼むぞリー艦長」




フロンタルさんの勉強コーナー

フロンタル「今日はモビルスーツや艦に搭載されているミサイルの格納方法について説明する」

トリトマ「ミサイルでやがりますか?普通に並べて搭載されてるじゃねーですか」

フロンタル「最後まで聞きなさい。確かにザクファントムのような機体は一ダースにまとめられて搭載されているが、戦艦やペーネロペーは違う」

エム「質問。どう違うのでしょうか?」

フロンタル「戦艦などおもに縦幅の空間が取れる物は弾倉式が多い。だが、まれに戦艦でもペーネロペーのように横でしか空間を取るペースがないものはロケットペンシルのようなロケット型が多い」

シン「あの、質問いいですか?」

フロンタル「何かね?シン君?」

シン「ロケットペンシルってなんですか?」

フロンタル「・・・!?知らないのか?ロケットペンシル?」

シン「知りませんよ。ロケットペンシル」

トリトマ「・・・ごめんなさい隊長。私も知らねーです」

フロンタル「・・・そうか」
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