フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
フロンタルさんと小説版フロンタルとアニメ版フロンタルの違いについて
アニメ版フロンタル
上司のパワハラや部下のわがまま、無理難題に何とか答えようとして、敵はなるべく殺したくない、むしろ対話による平和的な解決をしようとする苦労人。
実は最終決戦の時も最後までバナージの説得を諦めてなかった人でもあるのがアニメ版フロンタル
小説版フロンタルはシャアやサイド共栄圏を利用した復讐鬼。
だからバナージの説得が失敗した時、じゃあもういいよで引き金を引く辺り、ある意味ではシャアらしい。
フロンタルさん
元の成分にオリ主とウルピッピを更にプラスしたもの。
だから仲間に対するメンタルケアをしっかりする。
《小説版フロンタルは仲間のケアは一切せずに使い捨てにするが》
相手の意見をしっかりと聞きつつも、未来の予想図を組み立てていく。
(なお、同じ事しか言わない奴の言葉は途中で話を潰すが)
説得などに関しては失敗してもリトライを何度もしてくれるが、その説得が無意味と本人が断ずると全力で始末しにくる 。
(確定要素や不確定要素は徹底的に排除して計画に支障が出ないようにする為)
だからコイツの演じているフロンタルはアニメ版と小説版の中間+シャアの要素も若干混ざっている
なお、負けたとしても小説版とは違い、アニメ版の様にあっさり引いていくのも特徴。
後、コイツ自身はアニメ版や小説版に持っていないものがある。
それは人格を含めた完全なコピー能力と生身での戦闘がアホみたいに強いこと、そして絶対音感を持ち合わせているので作詞作曲が出来ることである
「感想。最近量産開発された機体だけあって機体スペックはギラ・ズールよりもいいものです」
エムは手慣れた動作で機体の立ち上げを完了させる。
ザクのエンジンが滑らかな駆動音をあげ、モニターに光が入る。そしてエムはザクの身を起こさせた。胸の排気口から熱された排気が噴き出し、機体の上に積もっていた瓦礫がばらばらと下に落下した。
スペックだけを見るならザクは確かに最新型で良い物だ。自分の隊で使われているギラ・ズールよりも出力や推力は高い。
だが、身を起こした際の動作がギラ・ズールよりも遅く、体感で立ち上がるだけでも三秒近く遅かった。
やはり数値には出ない部分がザクよりもギラ・ズールの方が勝っている。
「確認。システム問題無し。武装の使用に異常なし。駆動系システムにエラー無し・・・機体状況は正常」
あっという間に機体状況を把握したエムはまだ自分の存在に気がついていないガイアに目をつけた。
「戦闘開始。───エム。出ます」
その言葉と同時、エムはレバーを操作し、ペダルを強く踏み込んだ。ザクがスラスターの噴射と共にガイアへと突っ込んでいく。
そのスピードと不意打ちにガイアのパイロットは虚を衝かれたらしい。ザクのスパイクが付いたショルダーアタックをまともに受けて、背後にふっ飛ばされる。
エムの感想としては予想以上にパワーがあった。そんな簡素なものだった。
ギラ・ズールに搭乗していた時はそもそもこんな事をしなかったのもあり、素でこの出力を持っているのは意外である。
だが敵機はそれで引き下がってはくれなかったようで、すぐに立ち上がり、ビームサーベルを掲げて迫ってくる。
それにエムは素早く操作し、肩に装着されたシールドからビームトマホークを抜き放って応戦した。
相手のビームサーベルを肩に装着されたシールドで受け、ガイアの懐にめがけてビームトマホークをスウィングさせるが、ガイアも手にしたシールドでその刃を受け止めた。
その姿勢のままエムはふと自分が考えていた事をポツリと口に溢す。
「疑問。そう言えば・・・なぜ、ザクやギラ・ズールはシールドが肩に固定されているのでしょうか?」
戦闘をしているとは思えない割とどうでも良い疑問であった。
◇◇◇◇
「あれですね」
目の前に破壊された工廠と目標物をクラディアは捉えた。黒くほっそりとした機体が一機のザクウォーリアと交戦しており、ザクが若干、黒い機体を押している。
そちらを目指しながら、クラディアはザクの背後からカオスが接近しているのに気づいた。
あの機体も敵の手に落ちたものだろう。流石のザクのパイロットも新型機を二機、相手にするのは厳しそうだ。
カオスがザクの死角から踊りかかる。その寸前、ザクはトマホークをカオスに目掛けて“投擲“した。
予想外の攻撃にカオスは思わず動きを止め、防御の姿勢を取る。その隙を見てザクは二機から距離を取った。
「あのザクのパイロット・・・かなりやりますね」
咄嗟に出た行動としてはあまりにも躊躇がない武器の投擲にクラディアは思わず賞賛の声を溢した。
普通のパイロットであれば手にした武器を手放さず、防御の姿勢を取ろうとする。
だが、あのザクのパイロットはソレをしなかった。
数多くの戦場を巡ったのだろう、動きにも無駄がない。
クラディアは棒立ちになったカオス目掛けて、手にした大型のビームアックス《ファラクス》を振り下ろした。
「はああああッ!!」
振り下ろされたビームアックスがカオスのシールドに阻まれる。 そのままシールドごと叩き斬ろうとビームアックスの出力を更に上げるが、そう簡単に行くわけもなく、シールドが焼き斬られる直前、カオスの足からビームの刃が飛び出てきたのが見え、クラディアは後退した。
「・・・くっ!」
先程まで戦闘をしていたザクと肩を並べながらクラディアはザクのパイロットに通信を入れる。
「無事ですか?増援にきました!」
その言葉に対し、返ってきたのは意外な人物だった。
『感謝。増援、ありがとうございます』
その独特な喋り方にクラディアは聞き覚えがある。
そう。それはよく"お姉ちゃん"と一緒にいる───
「・・・エムさん?」
『疑問。・・・貴方は・・・クラディアさんでしょうか?』
お姉ちゃんを誑かす女だった。
おまけ
午前二時───
「・・・はぁ」
フロンタルは仮面を取り、椅子の背もたれに身体を深く腰かけ、目頭を押さえながら天井を見る。
蛍光灯の光が部屋を照らす中、フロンタルはゆっくりと身体を起こし、部屋の端に配置されたソファに目を向けた。
そこにはすぅすぅと寝息をたてながらトリトマとエムが眠っている。
二時間前までは起きていたのだが、寝ても構わないと言ったらすぐに眠ってしまった。
そんな二人を見て、フロンタルは椅子から立ち上がり、ポールハンガーに掛けられた自分のコートを二人にかけてやる。
これで風邪を引く事はないだろう。
フロンタルは二人にコートを掛けた後、先程まで仕事をしていた机に目をやった。
作業途中である程度散らかった机の上に一つの写真立てが立てられている。
写真の真ん中で笑顔でピースサインをしているトリトマとエル。その少し後ろで無表情ながらも楽しそうにしているエム。
その更に後ろで苦笑いするキャプテンとやれやれといった風に笑みを作る自分の姿があった。
その写真を少しの間、眺めた後、フロンタルは再び眠っているトリトマ達を見る。
そしてポツリと独り言を呟いた。
「・・・アムロ・・・バナージ君・・・あの世界の未来を知っている私が言うのもどうかとは思うが・・・お前達はあの世界の未来を知って人に絶望することなく、“それでも“と言う事が出来るのか?」
かつて自分に向けてバナージはそれでもと言った。
彼と会う前から人の抗う力がどれほどのものが“俺は“知っている。
テラの大地で生きていた時、ロドスにいたあのコータスの少女がそうだった。
歳はトリトマ達と同じくらいだったにも関わらず、あらゆる絶望を前にしても前を向き続けるあの少女はまさに真の戦士と言っても過言ではなかった。
その世界でも争いはあった。差別があった。
たとえ人は人である限り、人が争いをやめることはない。
そんな中でも"お前達“はそれでもと言えるのか?
「・・・いかんな。こんな事を考えるなど」
どうやら疲れで精神の方が疲弊していたようだ。
フロンタルは自分の椅子に腰を降ろすと、寝ているトリトマ達に向けて───
「おやすみ。トリトマ、エム」
そう言って再び仮面を被るのだった。