フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
「キャプテン。今戻った」
ラクス・クラインを保護し、母艦であるナスカ級に戻ったフロンタルは艦長席に座っていた艦長に声を投げる。
その言葉を聞いたキャプテンと呼ばれたその男はすぐに椅子の向きを変えると、フロンタルに労いの言葉をかけた。
「随分とお早いお帰りで。無事にラクス・クラインを見つけたみたいですね」
「ああ。クルーゼが追っていた《足つき》にクライン嬢は保護されていたようだ」
「連合のあの新型艦にですか?よく無事でしたね」
驚いたように目を見開ける艦長にフロンタルは言う。
「あの艦にも話の分かる人物がいて助かった。偶然に通りかかった連合の艦三隻との交換で彼女を無事に引き渡してもらえたのはありがたい誤算だった」
「誤算・・・ねぇ・・・」
フロンタルのその報告に艦長は何処か訝しげだ。
「どうかしたかね?キャプテン」
だが、フロンタルは白々しくキャプテンに問う。
「いやですね?隊長のような人が誤算をするようなことがあるのかと思っただけですよ。ほら、出て行かれる際に戦闘になる場合もあると言って戦闘になった訳ですし。コレも隊長の計算の内ではないかと考えていただけですよ」
ホントにトリトマほどじゃないが勘が鋭いなこの人も。
この人もホントに怖いんよね。特に観察眼の鋭さが。
確かその観察眼の鋭さが原因で前の隊長と揉めてこの人、左遷させられてうちの隊に来たんよね。
そう思うとフロンタル隊、問題児ばっかりじゃねえか。
いや、袖付きもそうか。
「まあ、深堀りはしませんよ。流石に学習はしますので」
そう言って元の体勢に戻る艦長にフロンタルは言う。
「そういえば私が留守の間、何か連絡や変わったことはあったかね?」
こう見えて、コズミック・イラに転生してからクッソ忙しいからな。私が留守の間にこうして聞いておかないと面倒事が貯まりに貯まる。
たまにはダラダラしたいなぁ。時々フロンタルになる前が恋しくなる。
そんなことを考える彼に対し、艦長は口を開く。
「シーゲル・クライン氏からの次の議員の集会日と後はハインライン社から連絡が来ていますよ」
ゲッ、マジかよ!?もうそんな日か。前に参加した日からそんなに時間たったの?早くね?
後はハインラインってことは、シナンジュ開発の打ち合わせかな?なら、さっさとやっておかないといかんな。
「しかし、隊長もお忙しいですね。議員の会議にザフトの隊長としての仕事、挙げ句にはモビルスーツの開発と・・・掛け持ちし過ぎでは?」
「議員もそうだが、私は人々の代弁者として行動しているに過ぎない。ただ、議席で座っているだけの独裁者よりこうしてプラント全体の人々の内情を把握しなければナチュラルとの平和の道もただ遠ざかるばかりだ。だからこそ、誰かがやらねばならないのだよ」
流石にシャアみたいには出来ないよ?だって俺だし。
「もう貴方が議長になれば全てが解決しそうですが」
やめろ。政治家の時点で俺もいっぱいいっぱいの綱渡り状態なのに……更に危ない橋を渡らせる気か?勘弁してくれ。
「私では人々の先駆者にはなれんよ。その役割は私よりもカリスマ性がある人間がするべきことだ」
「私からすれば隊長も素質は十分ありそうなんですがね」
そんなことを言う艦長を横に、フロンタルはブリッジの扉を開く。そんなフロンタルを見て、艦長は言った。
「お休みで?」
「いや、今から私はハインラインとの打ち合わせをする。艦の指揮はキャプテンに任せるぞ」
「わかりました。行き先はプラントでよろしいので?」
「ああ。次の議会は私も参加する。今回のクライン嬢の件についての報告もしなければならないのでな」
そう言うフロンタルに艦長は苦笑いして答えた。
「わかりました。では、ごゆっくりと」
「ああ」
ブリッジから出ていくフロンタルに艦長はゆっくりとため息をつく。そして数名のクルーに言った。
「先の言葉通り、今からプラントに戻る準備を。まだ日はありますし、ゆっくりといきましょう」
「「了解」」
そして準備に取り掛かるクルー達。
そんな中、オペレーターの一人が艦長に言った。
「艦長」
「どうしました?」
「その・・・フロンタル隊長はいつ休んでいるのでしょう?いつも何かしているので隊長が休んでいる所を見たことがないのですが・・・」
ただ、単純な疑問。
それに艦長は───
「さあ?私もあの人が休んでいる所を一度も見たことありませんよ」
プロフィール3
フロンタルはフル・フロンタルの知識をフルに使ってサイコ・フレームを独自開発した。
だが、サイコ・フレームはあのアルバート・ハインラインがもってしても解析出来なかった完全なブラックボックスであり、フロンタル以外に製造も解析も碌に出来なかったという。
それは今後出てくるある機体に搭載されたシステムも同様である。
また、NT−Dについてもフロンタルは───