フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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エンドフィールドが楽しすぎて時間が溶けてく溶けてく・・・


第十八話

かすかな、だが無視しがたい振動が踏みしめた仮初の大地から伝わってくる。それはスティング達にとって『時間切れ』を意味していた。

今もなお、目の前には白い新型と二機のザクが自分達の前に立ちはだかっている。獣型モードのガイアが翼部のビームブレイドをきらめかせて迫るがかわされ、アビスは両肩のバインダーからビームを一斉射するが、黒いザクは高く跳ぶことで避けられる。

 

「クソッ!いい加減に墜ちろよ!」

 

悪態をつきながらスティングはカオスが持つビームサーベルで斬りかかりにいくが、そのビームサーベルは難なくかわされ、相手のザクが持つビームトマホークが振り下ろされる。

 

「チッ!!」

 

ザクのビームトマホークをシールドで受け、脚部のビームサーベルを展開して強襲するが、一度見せた攻撃には当たらないと言わんばかりにさっさと後退して距離を取られる。

 

『スティング、さっきの振動───』

 

アウルも先ほどの振動に気づいたようだ。スティングは苛立ちもあらわに相手の台詞を先取りした。

 

「分かってる。『お迎え』の時間だろ!?」

 

『遅れてる。早くこいつらを始末しないとバス行っちゃうぜ?』

 

「わかってると言っただろうが!」

 

白い機体とガイアが離れたところをスティングは白い機体をビームライフルで狙う。がその瞬間、何処からともなくトマホークがとんできた。

 

「!?」

 

一瞬見せた隙にとんできたそのトマホークにスティングは機体を守ろうと咄嗟にビームライフルでそのトマホークを受けてしまう。

トマホークのビームによって斬り裂かれたビームライフルはカオスの至近距離で爆発した後、その衝撃が機体とスティングを襲った。

 

「クソッ!!うっとうしいヤツだなオイ!!」

 

ビームライフルを消失したのは痛手だった。

手持ちの射撃武器を失ったカオスに二機のディンが新型と二機のザクを援護すると言わんばかりに手にした突撃銃を撃ってくる。

そしてさらに奥には増援が見えた。

 

『スティング!流石にもう撤退しようぜ!こいつだってパワーがずっとあるわけじゃないし!』

 

通信機から流れ込むアウルの声に焦りが滲む。そしてスティングは状況が不利だと判断し決断を下した。

 

『離脱するぞ!──ステラ、そいつらを振り切れるか!?』

 

一番前線で戦っている彼女にスティングは叫ぶが、それらの声はステラの耳には届いているものの、その内容になど、もはや注意を払っていなかった。彼女は殺気立った声で言い捨てる。

 

「・・・・すぐに沈めるッ!」

 

ステラは憎々しげに吐き捨てた。彼女の視界は白い同系統機のみが占めている。さっきからどれだけ仕掛けても撃墜する事ができず、あまつさえこちらに痛い目まで見せてきた。こんな目障りな敵には会った事がない。コイツを墜とすまでは───退けない!

完全に頭に血が上ったステラは、ビーム砲を乱射しながらフルスピードで敵機へと突っ込む。

 

「こんなヤツにッ・・・私は!・・・私はっ・・・!」

 

『おい!離脱だ!やめろ、ステラ!』

スティングが怒鳴りつけるが、ステラはなおもサーベルを掲げて敵機に襲いかかっていく。

 

「私が、こんなァッ・・・!」

 

苛立ちに沸騰しそうな彼女に、アウルが皮肉げに投げつけた言葉が突き刺さった。

 

『じゃあ、"お前はここで死ねよ"!』

 

───死?・・・・死ぬ?誰が───?私が───?

 

氷のひび割れが全身に走ったように熱くなっていたステラの頭が真っ白になる。

全身を満たしていた自信が砕け散り、バラバラに抜け落ちていく。

 

『アウルっ!』

 

スティングが制止の声を上げるが、アウルは意地悪くステラに追い打ちをかけた。

 

『ネオにはぼくが言っといてやる───“サヨナラ“ッてなァ!』

 

───“死ヌ“・・・? 私?

 

慣性のまま無防備に機体が流れる。

 

───『サヨナラ』・・・?

 

急に攻撃を止めたガイアに白い機体が迫る。間一髪のところでスティングが割って入り、放たれたビームブーメランをはじき返した。

 

『アウル、おまえッ・・・!』

 

『だって言わないと止まんないじゃん。しょうがないだろ!』

 

『黙れバカ!よけいなことをっ・・・!』

 

仲間の言い争いさえ遠く聞こえた。呆然とすくんでいたステラは、スティングがカバーに入ってくれなければ、自分が死んでいたことを悟る。

そして彼女が忘れていた感情が突然、彼女を襲った。それは恐怖。その二文字だ。

 

「───いやあぁぁぁッ!」

 

彼女は絶叫し、必死になって機体を返す。

 

逃げないと!殺される!死ぬ───!

 

急加速でその場を離脱し、天頂方面へと目指すガイアに、舌打ちしてスティングが後を追った。

 

『な?結果オーライだろ?』

 

アウルはスティングにそう言うが、彼からはなんの返事も返ってくることはなかった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「疑問。あの機体、様子が変でした」

 

ザクのコクピットの内でエムは先ほどまでインパルスと戦っていたガイアの撤退の仕方に違和感を覚えていた。

最初は鬼気迫る戦いぶりを見せたかと思いきや、一瞬のうちに脱兎如く我先にと逃げていく。

そのあまりの変わり様は普通の"兵士"ではあり得ない。

"かつていた"施設では"完璧な兵士“として育てられた自分からして見ればあのパイロットは"何かしらの欠陥"がある。

 

「思考。・・・今、考えるのは後にしましょう」

 

考察については後でいくらでも考えられる。

まずは工廠と隊長、そして議長達の安全確保が最優先だ。逃げたあの三機については隊長の部隊がなんとかするだろう。

エムはそう区切りをつけて自分の仕事へと戻るのだった。

 




髪を降ろしたトリトマちゃん


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