フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第二十四話

「索敵を急いで!シン達の座標は!?」

 

ドックを出るやいなや、タリアは命じた。のんびりと航海を味わっていられる状況ではない。索敵担当のバートが声を上げる。

 

「インディゴ五三、マークニニブラボーに不明艦一、距離、一五〇!」

 

近い。デュランダルが背後で呟きを漏らす。

 

「それが母艦か・・・」

 

「諸元をデータベースに登録、以降、対象を”ボギーワン”とする!」

 

敵を表す『ボギー』という単語を用いて、タリアは未知の艦にコードネームを割り振る。直後、モビルスーツ管制担当のメイリンがうわずった声で叫んだ。

 

「ど、同一五七マーク八〇アルファにインパルスとザクが交戦中!あと、正体不明の”モビルアーマー”が一機!」

 

「正体不明のモビルアーマー?」

 

メイリンのその言葉にタリアは眉間を寄せる。

 

「映像を映せるか?」

 

「は、はい!」

 

デュランダルの言葉にメイリンはキーボードを打ち付ける。

そして映し出されたモニター内の映像にアーサーは愕然と呟いた。

 

「あんなモビルアーマー、データにありました?」

 

アーサーの言葉に答えたのはデュランダルだった。

 

「あれは・・・確かフロンタルが開発している新型機か?」

 

「・・・フル・フロンタルの?」

 

タリアはその名前を聞いてデュランダルの方を見る。

 

「ああ。確かミネルバ開発の際、ミノフスキー・クラフトの技術を使わせてもらったのだが、その際にその技術を使って新しいモビルスーツを開発させろと言われた事がある。まさかアレがそうなのか?」

 

そう言うデュランダルにタリアは眉を顰める。

フル・フロンタル。プラントに住んでいれば誰もが知っている男だ。

前議長だった男だが、あの男には裏の顔がいくつもある。

元ザフトの総司令。プラント最高評議会の一角、ギラ・ズールを始めとした開発技術者、遺伝子学者、そして今は”袖付き”という部隊を率いた連合との共同部隊を仕切る司令官でもあった。

 

性格は厳格で冷静沈着でありながら部下の面倒見は良く、元々研究者という事もあってか頭のキレが凄まじい。

話で聞くだけだと人としても超人的で性格でも厳しくも好ましいと思える人物だが、実際会って喋ると聞いた話とは違うとなるだろう。

 

懐疑的で威圧的な物言いながら、頭のキレの良さによって相手の言いたい事を全て解読しながら相手を追い詰める。

たまにデュランダル議長やレイの保護者でもあるラウ・ル・クルーゼと絡みで馬鹿な事をする事はあれど、人付き合いとしてはあまり絡みたくない男というのがタリアの感想だった。

だが、今はそれどころではない。

タリアは素早く打つ手を定めた。

 

「”ボギーワン”を討つわ!」

 

その言葉にデュランダルはタリアに言う。

 

「彼等を助けるのが先じゃないのか、艦長?」

 

タリアは少々うんざりしながら振り返る。モビルスーツ戦に対して、艦砲をぶっ放して援護するわけにいかないくらい、わからないのだろうか。

 

「そうですよ」

 

タリアは内心の苛立ちをおくびにも出さずに説明した。

 

「だから母艦を撃つんです。敵を引き離すのが一番早いですから、この場合は」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「戦艦?」

 

ネオは”アーモリーワン”を回り込んでくるライトグレーの戦艦に気付く。港がもう復旧したのか?

だが現れた戦艦に気をとられたわずかな隙を突かれ、アリュゼウスのビームライフルがエグザスのブースターに直撃し融解する。

 

「チッ・・・!あの機体相手に油断するとすぐコレだ!」

 

あの馬鹿でかいモビルアーマーとのドッグファイトは神経を削りに削る。四基あったビームガンバレルは残り一基まで落とされ、メインブースターも被弾した。

それでいてあのモビルアーマーには攻撃を全て躱される始末。あれの相手はするだけ無駄だ。

 

「まあ、ステラ達も逃げ切れたことだし・・・それに」

 

ネオは遠方に見える《レウルーラ》とギラ・ズールを見て呟く。

 

「"袖付き"の皆様もご到着されたらもう撤退するしかないか」

 

ネオは潮時だと悟り、退却をしようとする。

巨大モビルアーマーはミサイルを六発発射してきたが、残りのガンバレルを使って撃ち落とすとその爆炎に紛れてあっという間に前線から離脱した。

その退却の際、アラームが鳴り響く。

 

「うおっ!?」

 

ピンク色のビームが機体を掠める。

爆炎で相手が見えていないにも関わらず機体を狙撃してきた。

 

「・・・おっかない相手だ」

 

あのモビルアーマーのパイロット、相当なやり手だ。

 

「もう相手はしたくないね。あのパイロットとは」

 

ネオはそう溢しながらガーディ・ルーを目指した。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「・・・チッ。仕留め損ねました」

 

トリトマはコクピットの中で軽く舌打ちをしながらヘルメットのバイザーを開ける。

《レウルーラ》と《ミネルバ》を見たのと同時に撤退したことから相手は勝てないと悟ってさっさと逃げてしまった。

引き際をちゃんと弁えているあたりかなりのやり手だ。

トリトマは少しだけ息を吸って吐き出す。

 

「・・・というか動きがおせーですよ。何をやってやがったんですか。本部隊は」

 

襲撃があってからモビルスーツを取りに基地へと向かって出撃をしたこちらが早いとか笑えない。

隊長が直々のお叱りが多分ある筈だ。

───と、ミネルバから発光信号が打ち上げられる。

 

「帰還信号?───また何故?」

 

このタイミングで帰還信号を上げるのは正直分からない。まあ、向こうの艦長は何かしらの考えがあるのだろう。

渋々帰っていく新型とザクを見ているとその中に見覚えのあるカラーリングのザクがいた。

 

「げっ・・・クラディアの機体がいるじゃねーですか。さっさと退避しねーとですね」

 

あからさまに嫌な顔をするトリトマが引き返そうとした時───

 

『そこの所属不明機のパイロット。こちらはザフト所属の強襲艦ミネルバの艦長、タリア・グラディスよ。所属と名前を言いなさい』

 

「あー・・・」

 

そんな通信が入ってきてトリトマはどう答えるか迷った。

面倒事は避けたいがあの艦にはクラディアがいる。

答えようが答えまいが面倒くさい状況でしかなかった。

 

「あー・・・私はザフトの“袖付き”所属、レオントッツォ隊のトリトマ・レオントッツォです。隊長・・・いえ、フロンタル司令官の指示でこのモビルスーツを自艦に運ばねーといけねーですので見逃してもらってもいいです?」

 

見逃してくれれば面倒くさい事にならなくてすむ。だから見逃してと思っていたトリトマだったが・・・

 

『それを決めるのはこちらで判断するわ。それにそのモビルスーツは軍管理のモノよ。勝手に持ち出されては困るわ』

 

向こうの艦長はどうやら許してくれないらしい。

めんどくせー事になりましたとそうトリトマは思うのだった。




フロンタル「ペーネロペーとオデュッセウスはエムにプレゼントする為の私の私産なんだが?勝手に軍管理にしないでくんない?」

ペーネロペー関連や今後出てくるユニコーン関連はフロンタルさんの私産です
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