フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
「あ、お疲れ様です隊長」
フロンタルが執務室に戻ると、部屋の隅でトリトマがお茶をしていた。
「出撃前の続きかね?」
もぐもぐとお菓子を頬張る彼女を見てフロンタルはそう問うと、トリトマははいと頷く。
実力はあるんだけど本当に好きにやるからなぁ。
流石モビルスーツの操縦と戦闘以外は士官学校で壊滅的な成績を出した彼女である。フリーダム過ぎる。
フロンタルは何も言わずに放置しているが、隊長の執務室でこんなこと他の隊でやったら即左遷モノである。
本人曰く、護衛も兼ねているらしい。まあ、アンジェロみたいにねっとりした感じがしなくて気楽で良いのだが。
「隊長も食べます?」
どっさりと机に置かれたお菓子の山とそして並べられた茶器。そしてカップの中で琥珀色に光る香りが良い紅茶。
その茶を見てフロンタルは言った。
「では茶を頂こう」
そう言うと、彼女はすぐに茶の準備を始めた。
ティーポットからトクトクと注がれる香りが強めの紅茶。彼女が趣味で集めていると言っていたが、紅茶があまり好きではない彼でも飲みやすい物を選んでくれている。
「どうぞ」
「頂こう」
スッと出された熱めの紅茶を少し口に含む。
紅茶特有の独特な香りと味。だが、悪くない。
「悪くない」
「そうでしょう?私のお気に入りです」
自慢するように彼女は笑みを浮かべる。
そんなトリトマにフロンタルは茶器を自分のデスクにまで持っていく。そしてお菓子を頬張る彼女に言った。
「トリトマ。私は今からハインラインとの打ち合わせをする。菓子は食べていても構わないが、あまり騒がしくしないように頼む」
「りょーかいです」
軍人の目で見たら駄目だけど最近はめっちゃ忙しいから彼女見てるとすっげえ癒やされるわ。
ある程度察してお茶の準備もしてくれるし、ホントにええ子や。
たまにとんでもないことすること以外は。
そんなフロンタルはすぐに切り替え、ハインライン社に通話を繋げる。
数度のコールの後、アルバート・ハインラインの顔が画面に広がった。
『四分ほど予定より遅かったですね、フロンタル隊長』
相変わらずめっちゃ早口。この人と話していると早送りで聞いてるみたいだからたまに聞き逃すんよね。
いつもと変わらない彼にフロンタルは言う。
「すまないな。少しお茶をしていてね。最近は食事以外に碌な休憩もしていないのでゆっくりしてしまった」
そう言うフロンタルにハインラインはなるほどと言う。
『お互い多忙な身ですからね。特にフロンタル隊長は他の無能な部隊長とは違い、議員やパイロットや指揮もしているのであれば尚更です』
無能言ったよ!?この人、他の部隊長のこと無能って言ったよ!?
前から思ったけど、当たりが強いな!?平然な顔で毒を吐いたよ!?
この人がフリーダムとジャスティスを作った人だから周りの人からすれば孤高の存在なんだろうけど、この人からしてみればほとんどのコーディネイターが無能な人間に見えているのだろう。
技術スタッフが反乱を起こさないのは、アルバート・ハインラインが天才だから。それに尽きる。さ、流石は実力主義国家、恐ろしや。
「それで今回の件だが───」
『ええ。シナンジュの開発予算が出ましたのでその打ち合わせを。後、フリーダムとジャスティスのテストパイロットを一名、貴方の隊から出していただきたい』
え?フリーダムとジャスティスのテストパイロット?クルーゼ隊じゃなくていいの?
「クルーゼ隊ではいけないのかね?」
彼処は赤服───エリート揃いの筈だがそれでもウチの隊を推薦したということは何か理由があるのだろう。
『最初は考えましたが、フロンタル隊でそのエリート達に圧勝した方がいると耳にしましたので。それでこちらから推薦したまでです』
「・・・なるほど」
トリトマの事じゃねえか
確かにあの子、アスラン達を模擬戦でブチのめしてたのたまたま視察した時に見てたよ?しかも二分でイザーク達含めて五人まとめて。
しかもおっそろしいのが、あの子の動き。
アレ、一年戦争の時のアムロだもん。
相手が撃つ前に回避するし、アスラン達相手に後ろにも目をつけた方が良いですよーとホントに意味分からんアドバイスをしてたの未だに俺覚えているし。
『それで推薦は受けてくれますか?フロンタル隊長』
「ああ、ではトリトマをそちらに送ろう」
執務室の隅で私?と自分で指を指しながら首を傾げる彼女。
でも絶対にトリトマはハインラインと相性が悪いんだよなぁ。
何故かって?
だってトリトマ、操縦や戦術がヤバい感覚と直感型のお馬鹿さんだもん!!
プロフィール4
フロンタルはシナンジュ製作の際にかなりの無茶振りをアルバート・ハインラインにしたらしい。
どんな無茶振りかって?
アムロがアストナージに頼んだことをした