フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
デュランダルとフロンタルが通信する少し前───
「・・・・これでしょうね。作業員が乗った車。こいつを追跡できればいいんですが・・・」
若い情報士官は工廠に侵入した工作員が乗った車をディスプレイ上に流しながらフロンタルに報告する。
「警察や軍からの情報は?」
「まだですが・・・」
「奴等の仲間が捕まるまでアーモリーワンの港を開放させるな。どんな細かい動きでも報告させろ。こちらは奴等が出した被害で人手不足だ。少しは協力しろとな」
それに応じるようにようやく情報士官たちは部下を急かし始める。ったく、こいつらこんなんでホントに大丈夫か?もし俺があっちの指揮官だったらコロニーの換気施設に毒ガスぶっ込んで全員始末した後、モビルスーツや艦を奪ってるての。
フロンタルのその号令のあとは、ことは簡単だった。
アーモリーワン内にちらせてあった巡回部隊からの報告が次々とフロンタルに寄せられ、その中には工作員を確保した報告が入った。
だが、その頃には襲撃から三時間ほど時間が立っていた。
チッ。一人捕まえるのに三時間も掛かっちまった。多分あっち側もガーティ・ルーを追撃する頃合いだろうし・・・と、若い情報士官から声を掛けられる。
「あ、あの、フル・フロンタル隊長!」
「・・・なんだ?」
そう返事をすると、若い情報士官が口を開く。
「デュランダル議長から通信が・・・」
「通信?」
俺なんかしたっけ?
◇◇◇◇◇
「はぁ・・・」
フロンタルは大きなため息を吐きながら椅子に座る。
やーっと一仕事終わった。オデュッセウスのこともまあ解決したし、トリトマが迎えに来る前に捕虜さんのとこにいかねえとなぁ・・・。
とはいえ捕らえた捕虜に大した情報なんぞ持ってないだろう。そうなると“あの男“に頼る必要があるかもしれない。
アズにゃんに情報提供を頼むか?あっちもあっちでジブリールの件で苦労しているらしいし。
ムルタ・アズラエル。
ブルーコスモスの盟主及び、ロゴス代表になっている男で立場上敵対関係ではあるが、裏では個人的に繋がりがある。
なんせ先の大戦の後、プラントと一部コロニーの買い取りの商談の件で大西洋連邦の仲介役として立ったのがあの男だ。
正直な話、コーディネイターとの仲介役をやるような男ではなかったと記憶にしていたが、商人として"俺個人"に接触してきたのだ。
その際、俺の質問に奴が言ったことは覚えている。
『コーディネイターは滅ぼしたいほど嫌いですけれど、話が分かる貴方は別ですヨ。それにロゴスの年寄り達の中には貴方をこちらに引き込んだ方がメリットが大きいと言う者もいましてネ。個人的にも貴方のことは買っているんですヨ。どうです?ロゴスに入ってみませんかネ?』
まあ、そんな事もあってロゴスとも縁がある訳だ。
で、俺は立場的にコーディネイターだからジブリールにはクッソ嫌われてるわけで色々と圧力がかかっているんだけれども、アズラエルはアズラエルでそんなジブリールがロゴスの金を使って馬鹿みたいにモビルスーツを開発してブルーコスモス・・・というかユーラシア連邦にほぼ無償に近い形で提供しているのが気に食わない訳で、どっかのアナハイムみたいにもう彼奴等に兵器提供するメリット無くね?って感じでアズにゃんも今のブルーコスモスにあんまり興味がなさそうなのよね。
まあ、そもそもモビルスーツ強奪作戦なんぞしている時点で貧乏国家と言ってるようなもんだが。
多分今頼ったら代わりにジブリールを始末してくれない?って言ってくるかもしれん。
流石に個人的な理由で部隊を動かすわけにもいかんし、頼るのは後にしよう。
そう区切りをつけ、フロンタルは椅子から立ち上がり、捕虜の場所へと向かうのだった。
プロフィール
ムルタ・アズラエル
フロンタルさんの原作改変により生存した人。
コーディネイター嫌いは変わっていないが、フロンタルさんと話が分かる人物だそうで前よりは多少マシにはなった。
フロンタルさんほどではないが、この人も苦労人枠。
おもにジブリールのせいで。ジブリールのせいで!