フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

179 / 192
投稿!


第三十五話

───p.m 21∶54

 

ユニウスセブンコロニー残骸周辺───

 

 

 

『太陽風速度変わらず。フレアレベル3、次の到達まで予測三十秒』

 

『風』が吹いてくる。サトーはいまだ作業を続けている、モビルスーツと作業ポッドの仲間たちに、きびきびした調子で声をかけた。

 

「急げよ!九号機はどうか!?」

 

『はっ、先ほど作業を開始したところです!』

 

返ってくる返答も規律正しさを漂わせ、彼等の出自を窺わせる。

凍りついた海、白く立ち枯れた麦の畑、行き交う人波が絶えた街並み───宇宙空間にぽっかりと浮かぶ大地には、どこか侵し難い静謐が漂う。凍った大地の一角に、磨き上げられた美しいモニュメントがあった。そこに刻まれた文字は、ここで“ユニウス条約“が調印されたむねを記している。

そう、ここが悲劇の大地“ユニウスセブン“の残骸だった。砂時計の底にあたる大地は、急速減圧によって沸騰した形のまま凍りついた海に取り巻かれ、外壁を形作っていたハイテンションストリングスが、修復ガラスの残骸をわずかに纏わりつかせている。そのストリングスに、びっしりと無数のワイヤーが巻きつけられていた。各所に巨大なテンキーを備えた起動装置が設置され、作業ポッドによる入力が今も行われている。

死者の眠りを妨げるような自分達の行為に対して、サトーは心の中で頭を下げた。

だがこれは必要なことなのだ。この地で死んでいった彼等もきっとわかってくれよう。自分達こそが彼等の無念をもっとも理解する者たちであることを。

 

「なんとしてもあの“裏切り者“が来る前に終わらさなければ」

 

裏切り者───それは同じコーディネイターでありながら憎きナチュラル共の手を取ったクライン派とその後釜であるフル・フロンタルのことだ。

サトーは愛機ジンハイマニューバ2型を駆って、凍った大地の上空に離脱した。

最近、奴等に動きがあると耳に入っている。

近いうちにここは戦場となるだろう。

だが、このユニウスセブンを動かしさえしてしまえば私達の勝ちも同然だ。これほどの質量を破壊できるほどの武器を奴等は持っていない。

もし持ってきたとしても我々が命をかけてそれを阻止する。

そして奴等に知らしめてやるのだ。

 

「アラン・・・クリスティン・・・」

 

サトーの目がコクピットに貼られた数枚の写真に向けられ、その中で笑う男女の顔にとまる。

ザフトの制服に身を包んだ青年と、サトー自身と抱き合って笑う若い女性。

 

「これでようやく、俺もお前達に・・・」

 

写真の中の愛しい者たちは答えない。だがその笑顔が心底嬉しそうに見え、サトーも微笑んだ。

そして再びユニウスセブンの残骸───かつての犠牲者達の墓標を見て、再度決意する。

 

嘆きの声を忘れ、真実に目をつぶり、またも欺瞞に満ちあふれるこの世界を今度こそ我々が正すのだと。

 

その瞬間だった。

 

『うわああああッ!?』

 

通信越しに聞こえてくる悲鳴と共にユニウスセブンを動かす筈だったフレアモーターが巨大な爆炎を上げながら爆発した。

 

「なんだッ!?」

 

突然の出来事にサトーは驚愕の声を上げる。

そして通信が入ってきた。

 

『サトー!!“袖付き“の奴等が奇襲を──』

 

その瞬間、仲間との通信が途切れる。

だが、その言葉でサトーは全てを悟った。

 

「最初から我らの作戦に気づいていたのか!」

 

でなければフレアモーターのみを破壊するという芸当など出来やしない。つまり、我々はあの男の手の内で踊っていたのだ。

我々が奴等に気づいていないこと内心で笑いながら。

 

「だが、まだ予備はある!我らの思い、やらせはせんわ!」

 

怒りによって感情が高ぶりサトーは叫びを上げた。

“袖付き“など所詮偽善のぬるま湯につかって、安穏としているような者たちだ。

いくら機体性能に差があろうと若造に遅れをとる者は仲間にいない。そして、背負う信念の重さにおいても───。

 

サトーは奇襲を受けた味方の援護に向かおうとジンハイマニューバ2型を駆る。

 

「今度こそ我らの思いをナチュラルどもに知らしめねばならんのだ!」

 

 

『ならば───君達用済みの役者には退場を願おうか』

 

「────ッ!?」

 

その通信と共にサトーが駆るジンは山吹色の熱線によってコクピットを貫かれ、復讐に燃えた一人の男の人生は呆気なく幕を閉じた。





見下ろすフロンタルさん


【挿絵表示】



おまけ

フロンタルさんにいたずらをしてみてくださいpart3

エム「挑戦。私がやります」

トリトマ「・・・どうなっても知らねーですよ」



フロンタル「さて、久しぶりに寝る前に歯を磨こうか」

フロンタル「ん?」

―――グニュッ・・・

(・・・グニュッ・・・?)

おかしい。歯磨き中に出る音では無い。ていうか、何かコレ感触が変な上になんか臭えぞ?

「まさか・・・」

嫌な予感がしたので、自分が歯ブラシに塗ったモノの正体を確かめてみる。見た目は普通の歯磨き粉のチューブなのだが、少しだけ手に塗って触ったり臭いを嗅いだりして戦慄した。

妙に粘ついたそれと接着剤特有の臭い。

自分の推測と記憶が間違ってなければ、このチューブの中身は歯磨き粉などでは無い。どうやら何時の間か中身を変えられていたらしい。

木工ボ○ドに・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。