フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
デブリ帯の中を三機のギラ・ズールが航行する。
今回のザラ派残党討伐任務で予備隊として待機していた彼等はミネルバからの救難信号を受け出撃している。
「目標地点到着まで残り十五分。後少ししたら回線を切るぞ」
ミネルバ。それはザフトが誇る最新の強襲艦だ。先日の進水式の際、襲撃に遭い三機の新型を強奪されたと話に聞いている。
『しかし・・・ミネルバの連中は確か赤服揃いのエリートじゃなかったのか?あの艦には確かレオントッツォの妹も居た筈だろう?』
と、サルサからそんな話が上がった。
『レオントッツォの妹だからってあの子より強い訳ないだろ?あの隊長様は指揮官様と同じで規格外だよ規格外』
そんな通信を聞いている中、サルサは言う。
『今回の作戦、指揮官が直々に出撃しているが、司令官は本当に赤い彗星って呼ばれているのか?』
「指揮官の機体をお前も見ているだろう?信じてないのか?」
『いや、そういうわけじゃないんだがな』
言葉を濁す彼に隣を巡行するダコタが言う。
『まあ、最後にあの人が出撃したのは二年前の大戦の極一部。しかもあの大戦であの機体に乗っていたのはレオントッツォ隊長だ。実力を疑うのは無理もない』
「それもそうか」
あの人はそもそも前線にいて良い人物ではない。そもそも前線にいる方がおかしい人なのだ。
と、後ろから友軍機の反応があった。
「───なんだ?」
後方から高速で移動してくる友軍反応がある。
それも自分達がデブリ帯の中を巡行している速度より二倍、いや三倍も速い。
『誰だ?こんなデブリ帯の中をこの速度で移動するイカれた奴は?自殺志願者か?』
『レオントッツォ隊長・・・ではないな。あの隊は今、前線の筈。なら一体・・・』
と、カメラ範囲内にその機影が映り込む。
それは赤い機体だった。
「──────」
その機体を見た三人は言葉を失った。
デブリの中を高速で巡行する機体、それは先程話題にしていた自分達の指揮官フル・フロンタルが駆るシナンジュだった。
シナンジュはデブリを蹴りながらどんどん加速していき、あっという間に自分達を追い越していった。
『なあ、あれって・・・』
サルサが自分達を追い越していった見覚えのある機体を眺めながら呆然と呟く。
「・・・ああ、指揮官のシナンジュだ」
『・・・マジかよ』
そう呟くのも無理はない。デブリ帯という障害物だらけの宙域をスポーツカーで加速し続けるような自殺行為をあの人は平然と行っている。
そして何よりも───
『何でデブリを蹴って更に加速するようなやべえ事するんだよ?一歩間違えたらデブリに激突して死ぬぞ?』
そう。それから更に加速する為に自分からデブリに近付いて蹴る事で勢いを増しているのだ。
もはや人が成せる技術ではない。
「あれが・・・赤い彗星か」
自分達コーディネイターの上に立つ怪物に彼等は畏怖するのだった。
◇◇◇◇◇
「艦長!四番、六番スラスターが破損!小惑星にぶつかった事で身動きがっ・・・!」
恐慌の表情でアーサーが告げる。
敵の罠にまんまと引っかかるなんて!
グラディス艦長は今の状況に歯噛みする。
敵の策によって小惑星に艦をぶつけられ、ミサイルによる追撃で右舷スラスターが破損したらしい。前へは進めず、右には岩壁、後ろからは敵艦が迫る。スラスターが潰された以上、回頭も左方への移動もすることが出来ない。
「シン達は!?」
管制の少女は今にも泣き出しそうな表情で答えた。
「インパルス及びザクの二機はいまだカオス、ガイア、アビスと交戦中です!レイさんのザクもモビルアーマーと戦闘中!」
そちらの援護は期待できないだろう、とアスランは慌ただしくなる艦橋で思う。あの三機を相手にしては、墜とされずに戦い続けるだけでも困難の筈だ。
「この艦には、もうモビルスーツはないのか?」
突然、それまで黙って見守っていたデュランダルが問いを発し、アスランは考えから引き戻された。艦長は振り返り、無造作に答える。
「・・・・パイロットがいません」
アスランの心臓がビクリと跳ね上がった。隣のカガリがその言葉に弾かれたようにアスランを見る。
───パイロットならいる・・・ここに。
だが、アスランは言い出すことが出来なかった。
周りからの視線から逃れるように目を逸らしたその時───艦橋に男の声が響く。
『なら私が彼等の相手をするとしよう。グラディス艦長』
「──────」
その言葉と共にシン達の目の前に山吹色の熱線が横切った。
「なんだっ!?」
突然の狙撃にシン達が驚きの声を上げる。
「艦長!友軍機です。コード識別確認──えっ?この機体は」
メイリンは困惑の声を上げた。
無理もない。何故ならあの組織が立ち上げられてからあの男が前線に出ることは一度もなかったからだ。
デブリの中を深紅のモビルスーツがまるで彗星のように駆け抜ける。
「あれはっ!?」
「これは・・・まずいことになったな」
それぞれの指揮官はその機体に驚愕し、冷や汗を流す。
「さて───お手合わせ願おうか。エクステンデッドとエグザスのパイロット」
赤い彗星が───やってきた。
実はトリトマちゃん、フロンタルさんと結婚したりすると炭酸みたいに業務サボったりするようになる。今もサボったりはするけども。
そもそもトリトマちゃん真面目だけどアホの子なので炭酸化するのは仕方ない所はある。