フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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次回は仕事の都合でゴールデンウィーク明けになるかもしれません。

投稿できたらしたいですけど!ネ!


第四十二話

「お姉ちゃ・・・いえ、"トリトマ・レオントッツォをこのミネルバへと移籍することは出来ませんか"?」

 

目の前に立つ白髪の彼女───クラディア・レオントッツォの口からそんな言葉がフロンタルに向けられた。

 

やーっぱりまだ諦めてなかったか。記憶喪失になる前のトリトマはこの子に何やったよ?流石にここまでくると引くわ。

 

ぶっちゃけ適当にあしらっても構わないのだが、こちらも一応は組織の長。それなりの大人の対応をしておかなければ組織の品性に関わる。

 

「何故、トリトマの移籍を望むのか・・・理由を聞かせてもらえないだろうか?」

 

正直な話、この手の話は無くはなかった。

トリトマの操縦技量は今、ザフトや地球連合にいるエースパイロットの中でも頭三つほどズバ抜けて高い。

以前、シミュレーションではあったが、ミネルバとインパルス含めた四機体を五分以内に撃墜判定を出すという目を疑うようなタイムを叩き出したとエムから話を聞いたこともある。

フロンタルのその問いにクラディアは閉じていた口を開く。

 

「それは"今のミネルバのクルーと私を含めたパイロットの今の練度では"あの新型を捕獲する事が出来ないと判断した為です」

 

この艦の問題を正確に彼女は弾き出していた。

 

「俺達が実力不足だって言うのかよ!!」

 

「そうだと言いました」

 

その言葉に真っ先に反論したのはシンだった。その反骨心は悪いものではないが、実際に彼女の言っていることは正しい。

彼女は物事を客観視して見ることが出来る。ソレをトリトマの時にも発揮して欲しいものだが、そうならないのは何かしら彼女に依存、又は執着があるからか。

とはいえ、自分を客観視出来ているのは戦術を考えるものには必要なものだ。

今回の新型捕獲が現状不可能と判断したのも周りを見てのことだろう。

 

「今のミネルバクルーや私達はエリートと評価されていても所詮はテストパイロットか新兵に毛が生えた程度の実力しかありません。そして今回の新型を強奪した相手はある程度場馴れした様子が何度か交戦した際に窺えました。それらを照らし合わせた結果、此方の犠牲を最小限に捕獲、撃破を考えると彼女しか候補がいません」

 

実に合理的な答え。

その答えにフロンタルは言った。

 

「確かにトリトマなら出来るだろう。だからこそ言わせてもらうが・・・彼女は移籍の件について"必ず断ると断言出来る"」

 

「・・・なっ」

 

トリトマの実力なら強奪されたあれらなどすぐに捕らえて見せるだろう。ならばなぜ、彼方此方が欲しがる場所があるというのにトリトマは袖付きから離れないのか?

それは旧フロンタル隊のことレオントッツォ隊はトリトマにとって一種のコミニュティの場と化して馴染んでしまったのが問題だった。

旧フロンタル隊は元々、真っ当な軍組織ではない。他の部隊に居場所がなく、左遷させられた者、フロンタルが潰しまわっていた兵士育成機関や実験施設から拾ってきた者たちの集まりが旧フロンタル隊であり、要は厄介払いされるような連中の溜まり場のようなものだ。

そして士官学校ではモビルスーツ操縦技術以外でほぼ最下位で浮いていた彼女を"偶然"通りかかってスカウトをしたのがフロンタルである。

 

元々士官学校で浮いていた彼女が浮いている者しかいない場所に放り込まれたらどうなるか?

純粋だったトリトマは影響を受け、そのまま成長してしまい、周りと同じように考え方が他とズレてしまったのだ。

 

だからこそトリトマは他の部隊に行ったら確実に孤立する。これを彼女自身もそれが直感的に分かっているからこそ彼女は"袖付き"───正確にはレオントッツォ隊から離れられない。

 

要は鉄華団みたいなものだ。

大方、トリトマと彼等の結束が強すぎたもんだから上司である俺の命令で彼女の移籍を狙っていたのだろう。

 

最初は試験であった時は上手に隠していたが、二度目は引っ掛からんぞ。私欲に塗れてるじゃねえかよ。

啞然としていたクラディアだったが、何かを言おうとした瞬間、フロンタルの後ろから叫び声が響く。

 

「あーっ!!やーっと見つけましたよ!隊長!」

 

そこにはフード付きの上着とシャツ、長スボンにスニーカーといった完全な私服姿のトリトマと同じく私服姿のエムがいた。

 

「存外、速かったな。もう任務は終わったのか?」

 

「はい。後はレウルーラの皆さんが後処理をやってやがりますよ。って、そうじゃなくてですね!隊長!言いてーことがあります!」

 

「なんだ?」

 

俺、なんか悪いことしたっけ?と思いながら聞き返すと、その隣にいたエムが言った。

 

「憤慨。隊長、レウルーラの艦長に聞きました。またパイロットスーツを着ずに出撃したと」

 

「いや、ふと思ってたんですよ。大体、前から私、隊長に言ってましたよね!パイロットスーツを着るようにって!なのに隊長は毎回毎回、着ないで───」

 

 

 

ア カ ン

 

 

 

これ長くなるヤツや。しかも皆の前で止めて。十七歳の女の子に長ったらしく三十二歳になる大人が怒られる図になるから。ホントに止めて?

 

前にもこんなやり取りをした覚えがあるぞとそんな既知感をフロンタルは感じながらその説教を聞き続ける羽目になるのだった。




Q.フロンタルさんって前はかなり頑丈だったと聞きましたが、どれくらい頑丈だったんですか?

A. 人間が爆散するレベルの物理攻撃を受けても気絶するだけですんだり、五百キロオーバーの錨を片手で持ち上げたり、船の分厚い甲板や岩礁の岩盤を切り裂いたり、心臓を貫かれても数分で戦線復帰出来る回復能力がありました。

今はもうないけど
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