フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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ま、まだ余裕はないけど、ある!


第四十三話

「・・・失礼。少々見苦しいものを見せてしまった」

 

シン達の前でトリトマ達に説教されるという大人として恥ずかしい所を見せてしまい、フロンタルはその場の流れを変えようと修整しようと話題を逸らすが、そんなフロンタルにエムは言った。

 

「遅滞。もう遅いと思いますが?」

 

やかましいわい。そんな事は分かってんだよ。だけど話の雰囲気と言うものがあるだろうが。

 

赤っ恥の彗星(笑)

 

今ここでお前を岩礁に吊るしてやろうか?

 

やめろやめろ。お前の脅しは洒落にならん。

 

エムの一言に咳払いをした後、フロンタルはクラディアに言う。

 

「先の話については私が言った通りだ。そちらに彼女を移籍させること自体は可能ではあるが、彼女はそれを望まないだろう。それともいっそのことこの場にいる本人に聞いてみるかね?」

 

「なんの話です?」

 

話の内容を知らないトリトマにフロンタルは先ほどの話を簡単に説明する。それを聞いたトリトマは顔を顰めながらクラディアに目を向けた。

 

「あのですね・・・クラディア。私は貴女になんと言われようとも今の部隊を出るつもりはねーですよ。それに"母様は私を要らねーもの"だと私が家を出る際に言ってたじゃねーですか」

 

「でも!私はお姉ちゃんと昔みたいに・・・ッ」

 

何かを必死に引き留めるようにクラディアはトリトマに訴えかける。だが、それに対してトリトマは聞く耳を持たなかった。

 

「"昔みたい"に、なんです?私は"その時の記憶なんて"一つもねーですよ」

 

「・・・・っ、でもいつかきっと思い出す筈!記憶喪失なんて大半は数年以内に思いだして───」

 

それでも食い下がるクラディアにトリトマは言った。

 

「思い出したところで私は変わらねーですよ。私は私です。昔の私がどういった人だったかは知らねーですが、今は私がトリトマ・レオントッツォです。私は貴女が思う理想の姉じゃあねーですよ」

 

そんなやりとりを聞いていてフロンタルは彼女達の間にある溝をある程度ではあるが理解した。

 

今のトリトマは実の妹であるクラディアを血の繋がりがある赤の他人として見ている。

そして会話の内容から察してみるに、クラディアはかつての自分が知る姉に戻ってもらいたい。そして昔のように姉妹仲良くしたいということなのだろうが、トリトマは逆だ。

 

今の自分は自分であって過去の知らない自分を投影してソレを押し付けるなということなのだろう。

クラディアは"今のトリトマ"ではなく、"過去のトリトマ"を見ている。

そして二人の母親は記憶が無くなって落ちこぼれとなった姉を早々に切り、優秀な妹に"教育"をシフトチェンジしたと予測出来る。

実力主義のコーディネイターにはよくあることではあるが、この二人の関係はそれ以上にややこしいものだった。

 

トリトマが過去の自分を受け入れるもしくは、クラディアが今のトリトマを受け入れる・・・そうでもしない限り、彼女達の路はどこまで行っても交わることのない平行線だ。

二人が自分の我を通し続ける限り、この問題は解決しないだろう。

そして二人のそんなやりとりに周りにいたルナマリア達も困惑の顔とやりとりが耳に入ってくる。

そりゃあ、急に部隊の移籍の話から家庭内の昼ドラを見せられて困惑するのも無理はないわ。

 

俺だって困惑するもん。つか、今も困惑してるし。

 

二人の母親、とんでもねえな。

コーディネイターの親はクソ野郎が多いのは知っているが、ここまでアレなのはアスランを道具としか見ていなかったパトリックを思い浮かべる。

 

キラの親父?あの人はまあ、ほら?キラ君達がやりたい事を出来るようにっていう愛情(まあ歪んでいるけど)があるから・・・。

 

「まあ、そう言う訳ですので。隊長、エムさん。さっさと帰りましょう。これ以上、此処にはいたくねーです」

 

そう言って歩いていくトリトマの後をエムが追っていく。

そんな二人を他所にフロンタルは彼等に言った。

 

「私の部下が申し訳ない事をした。とはいえ、先も言った通り彼女の移籍は本人の要望もあってすることは出来ない。とはいえ、君達ならあの新型を捕らえることは難しくはない」

 

だって彼奴等、旧三馬鹿より弱いし。

 

「では、私はこれで失礼させてもらう。・・・と、一つ聞きたい事があった」

 

「?」

 

クラディアを除く皆が不思議そうな顔をして首を傾げると、そんな彼等にフロンタルは言う。

 

「赤いザクのパイロットは君達の中にいるのかな?」

 

その質問にルナマリアは困惑しながらも手を上げる。

 

「私、ですけど?」

 

「そうか。最近、私は戦場に出ることは無くなってね。赤い彗星などと呼ばれているが・・・どうだ?君が『赤い彗星』の名を名乗ってみないかね?」

 

その言葉に彼等は一瞬わけがわからなかったのか、皆が固まる。そして意味を理解した瞬間、ルナマリアは顔を青くして言った。

 

「い、いえ!大丈夫ですから!?」

 

首を横にブンブンと振りながら断る姿を横にレイは呆れのため息をつく。

 

「フル・・・笑えないジョークを言うのは止めてください」

 

「場を和ませようと思ったのだが・・・それはすまなかった、レイ。そしてルナマリア君も巻き込んですまない」

 

「い、いえ・・・」

 

そう言ってフロンタルは今度こそ身を翻す。

そしてシン達に言った。

 

「では、これで本当に失礼させてもらうとしよう。ではな」

 

そう言って去っていくフロンタルを見てメイリンは呟く。

 

「噂だと厳格な人って感じだけど・・・結構面白い人なのかも?」

 

 

 

キャスターチェア滑走大会なんてしている時点でもう面白い人認定だよ




おまけ

トリトマ「失礼しま・・・って何をやってやがるんです!?」

エム「説明。隊長のマッサージです」

背中を踏みながら

フロンタル「最近、椅子に座り続けている影響か腰を辺りがな・・・」

トリトマ「わ、私もやっていいでやがりますか?」

フロンタル「構わないが・・・」

トリトマ「では、失礼して・・・」

背中踏み

フロンタル「・・・ぐえっ」

フロンタル「と、トリトマ?」

エム「心配。 トリトマさん大丈夫ですか?」

トリトマ「・・・どうせ私は重いですよーだ」

暫く口を聞いてくれなくなった
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