フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第四十五話

「おーい!すまんが誰かそこにあるスパナ取ってくれ!そこの作業机に置いてあるヤツ!」

 

「はいはい!これでやがりますね!」

 

カガリとアスランの前を長い黒髪を束ねた一人の少女が通り過ぎていく。

 

「トリトマ。デルタカイの弾薬についてなんだが、今時間は空いているかい?」

 

「空いてますよー。すぐにそっちに向かいますので待ってくだせー!」

 

パタパタとまた二人の前を走っていく。

 

「トリトマー!お前、報告書!確か明日までだろ?書かなくていいのかよ!」

 

「あ、後でやりますよー・・・?」

 

袖付き レオントッツォ隊の母艦《ガランシェール》の格納庫に降りたアスランとカガリは私服姿で走り回るトリトマを見て呟いた。

「な、なあ、アスラン。部隊の隊長っていうのはこんなに走り回るものなのか?」

 

「いや・・・少なくとも俺がいた隊はそんな事はなかった」

 

少なくともクルーゼ隊長は雑用をやっていなかった。

なら隊長である筈の彼女がなぜあんな雑用などしているのか疑問に思っていると、後ろにいたフロンタルが二人の疑問に答えた。

 

「それは彼女が元々ただの一般兵だったからだ」

 

フロンタルは二人の横を通り過ぎながらトリトマに目を向ける。

 

「元々、トリトマはデスク作業よりああいった肉体労働に向いている人間だ。気晴らしにああやって皆の手伝いをするのが彼女なりのストレス発散なのだろう。最も、報告書を書くのを忘れて期限を延ばすこともあるがね」

 

「なら、なぜ彼女に隊長職を?」

 

更に浮かび上がったアスランの疑問にフロンタルは振り返りながら答える。

 

「癖の強い人間が揃うこの艦で士官学校を卒業してある程度真面目な人間が彼女しかいなかったからだが?」

 

「そ、そうですか」

 

問題児集団だからレオントッツォ隊は。

 

まあ〜、そんなトリトマはトリトマでアホの子だけど。

 

前に顔認証の扉の前で変顔してそのまま登録されて半泣きになって泣きついてきた事もあるくらいには。

 

「とはいえ、だ。実力に関しては保証する。護衛依頼のついでに私も丁度、オーブに外交目的で向かう算段をデュランダルと話をしていた所だ。今後、我々と本気で同盟関係をもとに戻したいと考えているのなら・・・今のうちにどうするか良く考えておきたまえ」

 

そう言ってフロンタルは先に降りていく。

そして取り残された二人も彼の後を追っていった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

p.m 15:23

ガランシェール 医務室

 

 

「最後に君の容体を見たのは二年前だけど、随分と身体の方はボロボロだね?死ぬつもりなのかい?」

 

男の前に座る彼の筋肉質の身体は夥しいと言ってもいいほど沢山の手術痕で埋め尽くされていた。傷がない所を探す方が難しいその身体を前に男は呆れていると、彼は気にした様子もなく話を進める。

 

「軽口はいい。それで?あと"何年持つ"?」

 

その言葉に医者の男は肩をすくめながら答える。

 

「"良く持って三年"。このまま病院に行ってくれるならもっと伸びるとは思うけど・・・君はその選択はしないんだろうね」

 

「当然だ。"俺もそろそろ時間がない"」

 

そう言って服を着る彼に医者の男は言った。

 

「君の事について話を聞いた時は驚いたものだよ。まさか君が───を持っているだなんてね。そりゃあ"その防衛本能の為"に記憶障害や多重人格のようになってしまうのも無理はない。けれど、君が自分を犠牲にしてまで"やり遂げないといけないこと"なのかい?」

 

医者の言葉に男は言う。

 

「・・・そうだな。確かに俺がやる必要などない。だが、ソレをやらない理由もない。こんな汚れ仕事を"今を生きる若者達"に引き継がせては何も変わらん。根本から変えていかなければ。世界が変わることはない」

 

「・・・もし、世界が変わらなかったらと考えないのかい?」

 

その言葉に彼は言う。

 

「変わる変わらないではない。人々に"今を変えようとする意志を持たなければ”。そうしなければ"世界は変わることはない"」

 

そう言って男は立ち上がる。

 

「・・・トリトマ達にはこの事を言わないでくれ。彼女達の悲しむ顔を見たくないのでな」

 

「わかった。だけど一つだけ約束をしてくれないかい?」

 

「・・・約束?」

 

振り返る彼に医者の男は────

 




フロンタルさん プロフィール

フロンタルさんは何度も転生、そして幾人もの人格をコピーしてきた事によって重度の記憶障害を持っている。

立ち位置的に言えばエンドフィールドの再旅者 レーヴァテインのソレに近い。



もし私が道を踏み外してしまったのなら、君が私を殺してくれるのだろう?

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