フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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トリトマ・レオントッツォ プロフィール

トリトマという名にはちゃんとした意味がある。
赤い花の名前でその花言葉は「情熱家」。

他には「あなたを思うと胸が痛む」「恋するつらさ」「切ない思い」など悲恋を表す言葉が多く、特に片思いや思い通りにいかない恋心が由来と赤い花には似合わない花言葉が多い。


第四十六話

「ふぅ・・・や、やっと終わりました・・・」

 

「邁進。良く頑張りました」

 

「エムさんやエルさんが手伝ってくれたらもっと速く終わった筈でしたのに手伝わねーで部屋でお菓子を食べてたじゃねーですか!」

 

「指摘。報告書を書くのは普通、隊長であるトリトマの仕事では?」

 

「ぐぬぬぬぬ・・・!」

 

当たり前の返答に何も言い返すことが出来ないトリトマといつも通りのエムの二人は廊下を漂っていると、ふと何処からかすれた男の声が耳に入った。

 

「・・・む?」

 

「疑問。誰でしょうか?」

 

二人は顔を見合わせながらその声が聞こえてくる方へと足を運ぶ。その声はどうやら艦の展望スペースからのようだった。

 

「〜♪」

 

「・・・鼻歌?誰か歌ってやがるんでしょうか?」

 

低く掴み辛い雰囲気であるにも関わらず、その歌は音楽自体が素人である二人にもかなり上手いと感じられるほど上手だ。

そんな歌の発生源である展望スペースに二人は顔を覗かせると、そこにいた人物に思わず驚いてしまった。

 

「〜♪」

 

「えっ?隊長?」

 

そこには手すりに腰を掛け、普段つけている仮面も外し、リラックスした様子でメモ帳に何かを書き上げているフロンタルがいた。

 

「驚異。まさか隊長が歌っていたとは思いませんでした」

 

「確かに。なんの歌を歌ってやがるんでしょうか?」

 

二人は入口でフロンタルのそんな様子を覗き見していると、ふとフロンタルが顔を上げた。

 

「入口にいるそこの二人。覗き見を止めて出てこないか」

 

「「!!」」

突然の事に二人は驚きで身体を震わせる。そしてその振動でトリトマとエムはバランスを崩した。

 

「あっ!?」

 

短い悲鳴と同時、二人は重なるようにして廊下に倒れ伏す。

ビターン!といわんばかりのその倒れ方にフロンタルは呆れた様子で二人に言った。

 

「まったく・・・大丈夫か?二人とも」

 

思いっきり顔からいったけど大丈夫か?

 

「いたたたた・・・」

 

「油断。頭を打ちました」

 

そんな緊張感のない二人にフロンタルはため息をつく。

 

「軍人たるもの、油断は怠慢だぞ。二人共」

 

「いやですね・・・隊長が歌っているのを見てつい・・・」

 

そう言うトリトマにフロンタルはその目を丸くした。

 

「なんだ、見ていたのか」

 

「質問。隊長はどうして歌を歌っていたのでしょうか?」

 

「ああ・・・"クルーゼに歌の感想を聞かせてもらう為"にな」

 

そう言って手にしたメモ帳を閉じる。

 

「歌というものは彫刻や絵、ダンスとはまた違う芸術だ。そんな芸術も見せる相手、聞かせる相手、見せる相手がいなければその作品の良い悪いが分からない。それをクルーゼに査定させる事で自分の作曲が衰えていないかを確かめていただけだ」

 

「それなら私達も聞いていいですか?聞いてくれる相手が沢山いてくれるならそれだけ、良いところとか悪いところが分かるでしょうし」

 

「疑問。素人の私達でも役に立てるのでしょうか」

 

「素人だからとて感想は人それぞれだ。どう思ったかはその人物の心情だろう?作曲家として素人でも感想をくれるのは成長する良いきっかけにもなる」

 

そしてフロンタルは仮面を被りながら言った。

 

「機会があれば聞きにくると良い。もっとも最近は時間などなく、作曲する暇もないがね」

 

「なら、何時でも呼んでくだせー!エムさんやエルさん達と一緒に聴きに行きますので!」

 

「期待。楽しみにしています」

 

「やれやれ・・・」

 

嬉しそうにする二人にフロンタルは小さく笑うのだった。

 




フロンタルさんはトリトマやエムの思いに気づいていない訳ではない。
ただ、彼女達の思いに応えてしまったら最後、彼女達が自分を殺すことから説得にシフトチェンジしてしまうことを危惧している。

それは何故か?

その親愛の情による甘さがかつてのテラの大地でフロンタルの間接的な死因になってしまったから。
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