フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第四十七話

深夜。

 

「ん?」

 

ユニウスセブン落下阻止の報告書を読み上げていたフロンタルは突然鳴り響いた部屋のインターホン音に顔を上げる。

こんな真夜中の時間に誰だと思いながらカメラを見ると、部屋の前にはアスランが一人立っていた。

 

「こんな真夜中にどうしたのかね?"アスラン"君?」

 

『夜遅くすみません。少し、聞きたい事がありまして』

 

「ふむ・・・」

 

正直思い当たることは複数ある。

ここで彼を追い返すのは簡単だが、聞きたい事があると言って来てくれた彼にぞんざいな扱いをするのは野暮と言うものだろう。

 

「入りたまえ」

 

そう言ってフロンタルは部屋のロックを開けた。

ぶっちゃけ暗殺だとしても返り討ちには出来る。

ピーッという電子音と共に部屋のロックが解除される。音なく開いた扉の先からアスランが歩んできた。

 

「失礼します」

 

「ああ。部屋に入れたところですまないが、少し待ってくれ。キリのいいところでこの仕事を終わらせたい」

 

「構いません。急に訪ねたのは此方ですので」

 

「すまないな。そこのソファで座って待っているといい」

 

「・・・分かりました」

 

トリトマの特等席の場所を目線で送ると、アスランはそれに従ってソファに腰を降ろす。

それから数分。キリのいいところで書類作成を終えたフロンタルは、ソファに座るアスランに言った。

 

「待たせてしまったな。待たせてしまったお詫びとはなんだが茶でも入れよう」

 

「い、いえ・・・すぐに終わる内容なので」

 

紅茶を淹れ始めるフロンタルにアスランは少し慌てた様子で立ち上がるが、紅茶の淹れ始めを止めることなく、フロンタルは言った。

 

「なら、私が飲みたいからで構わないかな?」

 

「・・・・分かりました」

 

そう言われてしまえばアスランも止めることは出来ない。

ゆっくりと再びソファに腰を降ろすアスランを見てからフロンタルは言った。

 

「それで?聞きたい事とは何かな?」

 

アスランを背にフロンタルはそう語りかける。

 

「君がこんな時間に訪ねてくるということは"カガリ嬢に聞かれたくないこと"なのだろう?君の質問に答えてあげよう」

 

そう言うフロンタルにアスランは軽く息を吐いた後、その背に語りかけた。

 

「・・・プラントに戻る前、今のプラントについて調べました。その中に"誘拐されたラクス・クラインを袖付きが保護した"という奇妙な記事があった。オーブにいた時、こんな記事があったことすら俺やカガリは"知らなかった"。この"写真に映るラクス"は・・・"本物"、なんですか?」

 

沈黙。

だが、その沈黙もほんの一瞬で、フロンタルはその質問に答えた。

 

「その記事に映る彼女は"偽物"だよ。"本物のラクス・クライン"ではない」

 

そう言い切った。

 

「・・・なぜ、このような事を?」

 

「プロパガンダだ。国民に"ラクス・クラインを無事保護をした"という安心感と未だ根付いている"過激派"連中の声を大きくさせない為のね」

 

「何故、そんなことを!」

 

その言葉にアスランは思わず声を荒げる。

 

「貴方はラクスの父、シーゲル・クラインに信頼されていた人だった筈だ!何故、こんな非道な事をする!貴方はそんな人ではなかった筈だ!」

 

そう叫ぶアスランにフロンタルは眉一つ動かさずに答える。

 

「君は一つ、勘違いをしているな」

 

「・・・勘違い?」

 

困惑するアスランにフロンタルは言った。

 

「ああ。そもそもこの計画を提案し、実行したのはデュランダルだ。私もこの件については乗り気ではなかったのだがね。とはいえ、"当の本人が乗り気だった"のが後に引けなくなった」

 

「・・・本、人?」

 

理由がわからないというアスランに発端を説明する。

 

「ああ。その写真に映る"ラクス・クライン"、その彼女自身が、そうなる事を望んでいた。私の前に現れた時はもう彼女は"その姿"だったのだよ。オーブにこの情報を流さなかったのは、本物のラクス・クラインが再び表舞台に出てくるのをデュランダルが恐れてのことだ。再び彼女が表舞台に出てしまったら彼女の存在自体が不要になってしまうのでね」

 

ぶっちゃけ、これは悪手としか言いようがない。

正直、俺としては公にするならオーブにも流して本物はこっちですよーってアピールする。

そうすれば本物が出たとしても皆は偽物が出たと考えるだろうしな。でも、デュランダルはそれをしなかった。

ああ見えてヤツは臆病なのだ。

俺がオーブにラクスがいるかもしれないという曖昧な理由を信じてオーブにだけはこの件を公に出さなかった。

 

「とはいえ、だ。この件がなかったら、過激派連中を今以上に抑えることはできなかっただろう。奴等は奴等で私のことを良く思っていない」

 

「それは、何故?」

 

「それは君も良く分かっているだろう?コーディネイターの傲慢・・・自分よりも劣っている人種に媚びを売っているようにしか見えない私をプライドだけは無駄に高い彼らが良しとするかね?」

 

それはコーディネイターとナチュラル、双方が昔から抱える問題そのものだった。




キャプテン プロフィール

本名 サルビア・エルネスタ

サルビアの花言葉は家族愛。

どこまでもどう思われても彼は家族を愛している。
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