フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第五十五話

『こちら先行中のトリトマ。今のところ周辺に異常なし。偵察を続けます』

 

『こちらウェン。艦の周辺異常なし。引き続き監視を続ける』

 

「分かった。少しでも異変があればすぐに伝えてくれ」

 

『『了解』』

 

ソロモン諸島周辺海域の上空。もうすぐオーブが管理する領海へと入るギリギリのところで彼等は偵察任務を行なっていた。

 

「なぜこんなところで巡航をしているんだ?もう目の前はオーブの領海なんだぞ?どうして入ろうとしない?」

 

「我々の目的は貴女をオーブまで安全に送り届けることだ。今、我々がオーブの領海へと足を踏み込んでしまえば貴女を安全に国まで送り届ける可能性が出来なくなってしまう」

 

「それは・・・何故?」

 

実直なカガリの疑問にフロンタルは言った。

 

「今、我々がオーブの領海に入らずこうして航行しているのはダーウィン基地を襲ったブルーコスモスの連中の補給所がこの辺りを根城にしていると踏んでいるからだ。もし、このままオーブの領海へと入り、そこで襲撃にあってしまえばオーブ側からして見れば我々がオーブ領海で戦闘していることを領土の侵略者とみなし、それは後々国際問題へと繋がる。それは君も望まないだろう?」

 

「・・・そう、だな」

 

言い返したい気持ちもあった。だが、フロンタルの言い分も分かる。

自分個人としてはこれは関係のない戦闘だと言っても、周りはきっとそう思ってはくれない。

最悪、それが民たちに広がり扇動でもされればプラントとオーブ間の戦争への切符になりえるものだった。

 

「でもさー隊長。もうすぐ日が沈むよー?このまま捜索するってのはどうかと思うけどにゃー?」

 

夜の捜索は確かに危険だ。人間が情報を知覚する為の約七割は視界によるものだと言ってもいい。

その視界が暗闇で見えづらくなる状態でトリトマ一人を先行させ続けるのはどうかと脳裏に過ぎるが───

 

『別に私のことは気にしねーでいいですよ?視界とか目に見えるものなんてもともとそんなにアテにしてねーですから』

 

「「「・・・・・」」」

 

───沈黙。

 

トリトマのアテにしていない発言にアスランやカガリを含め、クルーゼやフロンタルまでもが沈黙してしまった。

そしてその静寂をエルが破る。

 

「・・・・こわ」

 

「いや、まあ・・・トリトマだし・・・そもそもアイツは敵が視界に入る前に撃つから・・・」

 

「素が出てるぞ、フロンタル。それよりお前はあの娘にどんな教育をしたんだ・・・」

 

「確かに学生時代、彼女に『後ろにも目をつけろ』と言われたことはあったが・・・」

 

『なんです?私、何か変なこと言いました?』

 

言ったよ。

 

その内、たかがメインカメラをやられただけだ!って言いそうだなー・・・いや、絶対に言うわ。

と、トリトマの発言にドン引きするフロンタル達の耳に監視中だったウェンが声を上げた。

 

『フロンタル司令官。進路左側、八時の方角、何か燃えていませんか?』

 

「映像、だせるか?」

 

「はーい」

 

カタカタとリズミカルにキーボードを叩く音が艦橋に響かせた後、そな映像がモニターに出る。

最大望遠のカメラで拡大された画像では、その野火はかなりの範囲で広がっていた。

 

「・・・このあたりで人が住んでいる島はあるか?」

 

「いえ、流石にこの辺りはありませんね。この辺にある島は無人島ばかりです」

 

『確認してきましょうか?』

 

トリトマの声にフロンタルは一瞬で思考を巡らせた後、トリトマに向けて言った。

 

「・・・気になることは、確認するしかあるまい」

 

『わかりました。では、確認しています』

 

先行中だったトリトマのデルタカイは野火の方位に機体を向けると、一気にその場所へ距離を詰めていく。

 

「探してた連中かな・・・?」

 

「この辺りで巡回中の部隊がいるかどうか確認してみてくれ」

 

「はーい」

 

軽い返事をし、再びキーボードを打つエルをおいてクルーゼがフロンタルに顔を近づかせながら言った。

 

「まさか・・・"シーゴースト”か?」

 

「恐らくそうだろう。でなければ、あんな被害は核や核エンジン搭載の大火力モビルスーツを使わなければあり得ない」

 

「隊長、出たよ。やっぱり”シーゴースト”だった」

 

「・・・やはりか」

 

シャンブロ。

この世界に来て初めて私が設計し、製造したモビルアーマー。

 

通称シーゴースト───海の幽霊と言われているその機体の最大の特徴はあの巨体に見合わない驚異のステルス性だ。

海中にいる間はレーダーに反応せず、ソナーにも反応せず、電波や熱源探知機にも反応しない。

海中にいるシャンブロを見つける最大の手段が目視で確認することなのだ。目視で見つける=死が確定しているようなものである。

 

そしてその火力や防御性能に関しても皆は良く知っているだろう。

ユニコーンのトリントン攻防戦で見せた圧倒的な火力にビームを弾き返すリフレクタービット。

 

そんな怪物の通り道に彼等は偶然居合わせたのだろう。あの野火からはそんな怪物と交戦した形跡が見えなくとも感じられる。

その時、状況の確認をしていたトリトマから通信が入った。

 

『隊長。確認しにいきましたが、多分私達が探してた敵部隊です。多分全員死んでると思います』

 

「・・・そうか。ならトリトマ、そのまま帰投しろ。恐らくすぐに私にも連絡がくる。任務は終わりだ。このままオーブへと向かうぞ」

 

そうして彼等の巡回任務は完了した。




シャンブロ

通称 シーゴースト。

フロンタルさんが初めてこの世界で設計したモビルアーマー。
この機体の恐ろしい所はそのステルス性であり、艦隊の真下にいても気付かれないこともある。
そのこともあってか、SEED編でもコイツがいる海域には連合も一切近づこうとしなかった。

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