フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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とうとう二百話いったぞ、おい。


第五十六話

緑色の輸送艦が波を切り裂き、一つの島に近づきつつあった。整然と延びる桟橋を抜け、《ガランシェール》はゆっくりと港奥へと進入する。その先に大きく開いたゲートが見え、《ガランシェール》はゆっくりと回頭した。そのゲートの中は広々としたドックになっており、かの船を受け入れるアナウンスが流れ、作業員達が慌ただしく動き回る。プラットフォーム上には、明らかにドッグの作業員とは一線を画した集団が並んでいた。ドッグに入ってくる《ガランシェール》見やり、前列に立っていた壮年の男が苦い顔で呟く。

 

「【袖付き】の《ガランシェール》か・・・ザフトの”ミネルバ”のことといい、姫もまた面倒なときに面倒なモノで帰国される・・・」

 

その男はオーブ首長の一人、ウナト・エマ・セイランだ。小太りな体に紫色の首長服をまとい、頭頂が禿げ上がった福々しい顔に似合わぬ、大きなオレンジ色の眼鏡をかけていた。現在、若年のカガリを補佐する宰相の地位にある男だが、その横に立った若い男がそれに応えた。

 

「しかたありませんよ、父上。カガリや向こうの方もよもやこんな事態になるとは思っていなかったでしょうし?」

 

とりなすような台詞だが、軽薄そうな口調はどこかカガリを侮ったような響きを持っていた。

彼はユウナ・ロマ・セイラン、ウナトの息子にして閣僚の一人であり、フロンタルからは政治はそれなりだが、引き際や先の事をあまり考えていない馬鹿と言われている。

丈も高い体にその顔も整ってはいるが、なに不自由なく育った青年特有の、独善的な甘ったるさをかすかに漂わせていた。

 

「国家元首を送り届けてくれた艦を、冷たくあしらうわけにもゆきますまい。いまは」

 

オーブにおいてはいまだ、首長たちの権威は揺るぎない。南海の群島からなるこの島国が、近代国家の仲間入りをしたとき、決定機関である議会が開かれ、主権は国民達へと移譲されたが、国家元首である代表はいまだに最大首長であるアスハ家が代々務めている。その技術力は地球においては随一と言われ、また、宇宙と地上の交易中継地として栄えてきた。

ウナトはドッグに入ってくる《ガランシェール》を見上げ、息子のユウナに言った。

 

「とはいえ、だ。前回のあの件については此方の不手際(・・・)だったとはいえ、彼等・・・いや、あの男を一度怒らせているのだ。もし、同じヘマをしたら次はないかも知れん。気をつけろ」

 

「ええ。気をつけますとも(・・・・・・・・)

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

昇降用のハッチが開かれ、焦慮を顔いっぱいに浮かべたカガリがゆっくりと歩み出る。その後からアスランが進むと、政府関係者らしき紫衣の一団から一人の青年が飛び出してきた。

 

「カガリ!」

 

「ユウナ?」

 

タラップを駆け下りたカガリは、青年の姿を認め、驚いたように足を止める。青年はそんな彼女に駆け寄ると、人目もはばからず、ひしと抱きしめた。

 

「よく無事で・・・!ああ、本当にもう君は!心配したよ!」

 

「あ、ああ、いやっ、あのっ!す、すまなかったっ!」

 

どうやらアーモリーワンでの出来事を既に聞いていたらしい。

ぐりぐりと犬に頬を擦り寄せるような仕草をする青年を、カガリは辟易した様子で引き離そうとする。

アスランがどことなく不快そうな顔つきに変わり、後から降りてきたトリトマはうわぁと引くような顔をしていた。

 

「これ、ユウナ。気持ちはわかるが、場をわきまえなさい。【袖付き】の方々が困っているではないか」

 

オレンジ色の大きな眼鏡をかけた男が、やや苦笑するような面持ちで歩み出る。

 

「ウナト・エマ!」

 

「お帰りなさいませ、代表。アーモリーワンでの出来事を聞いて不安でしたが、ご無事なお姿を拝見する事ができ、我らも安堵致しました」

 

「こっちこそ、無用な心配をかけてすまなかった。留守の間の采配、ありがたく思う」

 

そしてウナトは後ろに立つフロンタル達の前に出ると、軽く挨拶をした。

 

「お久しぶりですな。フル・フロンタル総司令官殿。まずこのたびは代表の帰国に尽力をいただき感謝する」

 

「お気遣いはありがたくいただきましょう。こちらも不測の事態とはいえ、アスハ代表には多大なご迷惑をおかけした」

 

普段の話し方とは違う柔和な入り方。

しかし、仮面の奥ではウナトの目の奥をしっかりと観察していた。

 

コイツ、何か企んでやがるな?

 

前回のデルタカイの件もある。用心しなくては。

 

「今回、私がこうして訪れたのはアスハ代表の件の他にもう一件、これから先の事・・・すなわちオーブと我々【袖付き】のこれからの関係についてお話をしに来た次第です」

 

「そうでしたか。ですがともあれ、まずはゆっくりと休まれよ。クルーの方々も、さぞお疲れであろう。話はまたそのあとででも」

 

「お気遣い感謝する」

 

何も約束なんぞしない言葉だ。政治家連中の言葉はアテにしない方がいい。その言葉を真に受けていたら、どれだけ嘘で塗り固められた言葉で騙されるか分かったものではない。

 

「皆、今日はご苦労だった。今日の所はゆっくりと休むといい。とはいえ前回のこともある。気だけは抜かぬように休め」

 

「了解です」

 

フロンタルの言葉で解散したレオントッツォ隊は艦の中へ戻るものや、ドッグに設置された自販機に向かう者もいる。

 

「さて・・・トリトマ、エム。今日は我々も休むとしよう」

 

「首肯。分かりました。ですが疑問もあります」

 

「なんだ?」

 

フロンタルの問いに、トリトマは気まずそうに答えた。

 

「・・・クルーゼさん、艦に残ってやがりますが・・・どうします?」

 

「あ」

 

すっかり忘れてたああああッ!!

 




ライジングフリーダムとイモータルジャスティスの開発経緯。

実はフロンタルさんが書き残してあるリ・ガズィ・カスタムの設計図をハインラインさんが流用して開発した代物。

なので変形機構がリガカスのそれに似てるのもそれが原因
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