フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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投稿! 書き置きが尽きた・・・


第六十話

「ん───」

 

夜。唐突に私は目が覚めた。

午前二時。昨日は隊長に色々見せてしまい、恥ずかしい思いをしつつも、一緒に出かける約束を取り繕ってもらった恥ずかしくも嬉しい一日だった。

エルさんもエムさんもぐっすりと眠っている。そんな中に一緒に部屋にいた筈のあの人が居なかった。

 

「・・・たいちょう?」

昨日のお願いの他に少しだけ我儘を言って、今日の夜は私達と一緒の部屋にいて欲しいというお願いも聞いてもらって、一緒に寝ていたはずなのだが、部屋に私達と一緒にいた筈の隊長の姿がない。

重い瞼を擦りながら私は辺りを見渡すと、リビングルームの部屋に小さな灯りが灯っていた。

 

「・・・・・」

 

ベッドから身を起こし、そろりそろりと物音を立てないよう灯りの方へと歩みを進める。

そしてドアの隙間から私は目を覗かせた。

そこには────

 

 

カタカタカタとキーボードで画面に文字を打ち込む隊長の姿があった。だが、纏う雰囲気が何処か違う。

普段の隊長は厳格ではあるものの、とこか優しい雰囲気を纏っていて話しやすい雰囲気があるが、今の隊長から何も感じない。

だからこそ、私は怖くなった。

あんな気配を放つ隊長が───

そんな隊長から距離を取ろうと動いた時。

 

カチャ────

 

「────ッ!」

 

「───ん?」

 

扉のノブに手が当たってしまった。しまった!と思う間もなく、その音にフロンタルが反応する。

急いで息を殺し、身を屈める。だが、足音はだんだんとこちらへと近づき、ガチャリと音を立てて扉が開いた。

 

「トリトマ?どうした?こんな夜更けに」

 

開いた扉の先、そこには隊長がいた。

 

「た、隊長?」

さっきまでの雰囲気とは違う、何時もの雰囲気。

 

「幻覚、だったんですかね・・・」

 

「・・・?何か言ったか?」

 

「い、いえ。なんでもねーです」

 

張り詰めていた気が抜ける。

そんな気が抜けた私に隊長は言った。

 

「それでトリトマ。こんな時間にどうした?眠れなかったのか?」

 

「あ、いえ・・・ただ、ちょっと目が覚めちゃいまして」

 

そう笑って誤魔化す。

 

「・・・そうか」

 

誤魔化しが効いたのか分からない反応ではあったものの、隊長はそれ以上追求することなく、私の頭に手を乗せて軽く撫でながら言った。

 

「明日は休みとはいえ、疲れているだろう。もう寝なさい」

 

そう言って作業の続きをしようとする隊長に私は思わず呼び止める。

 

「あの、隊長!」

 

「どうした?」

 

振り向く隊長に私は───

 

「ね、眠れねーのでお話してくれませんか・・・?」

 

「話?話か・・・」

 

そんな私に隊長は少し悩むような顔をしてから口を開いた。

 

「ならこの話をしよう。一角獣と少年が起こした奇跡の話を」

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

昔、一人の何処にでもいる少年がいた。

その少年は学校で仲間に恵まれた何処にでもいる少年だった。

ある日、その少年は一人の少女と出会った。その少女は戦争を止める為に来たのだと少年は知り、そんな彼女の支えになりたいと自らの意志で彼女の後を追った。

 

だが、彼等の願いは叶う事はなく、戦争は起こった。

 

その戦争の最中、その少年は自身の目の間で先生が学友達が普通に生きていた人達が次々に死んでいくのを見た。

そして再びその少年は少女のもとへと向かった時、一角獣と少女が会いに来たという男に再び出会い、その男はその少年にこう言ったそうだ。

 

彼女の背負う道は重いぞと。

 

そんな男の言葉にその少年はただ彼女の力になりたいと願った。そして男はそんな少年の願いに答え、一頭の一角獣を彼に託した。

 

その一角獣はユニコーン。

 

本来は処女の清らかな心を持つ女性にしか懐かないというその獣をその少年自身の実の息子へと男は託し、炎の中へと消えていった。

そしてその少年はユニコーンと共に戦争の中で沢山の人と出会いと別れを経験した。

 

ある者はその少年に自分で自分を決めるたった一つの部品が何処にあるのかを教えた。

 

またある者は人を思って泣く事は悪いことではない事をその少年に教えた。

 

またある者は自分を決意させた物はなんだと問いただした。

 

そしてまたある者はどんな絶望の中でも希望は生まれるのだと自身の死と引き換えに可能性という光を見せた。

 

大勢の人達に願いを託され、成長したその少年は少女と共にこれまでの歴史の真実を守り人に伝えられ、そして知った。

 

最初は人々の祈りだったソレはいつしか呪いへと変わり、抹消されたのだと。

そしてそれだけを伝える為に生きてきたのだと。

その言葉は祈りにして呪いだ。

もし、この言葉が世界に広まってしまえば、今までの常識が変わるかもしれない。

 

それほどの可能性を秘めたソレに一人の男が待ったをかけた。

 

その男はこれまで積み上げられた歴史の被害者でもあり、そして少年の信じる可能性に自身を殺された男だった。

その男は少年達にその言葉を広げず、取引に使う材料にすれば良いと提案した。

これまでの歴史の中で人は何も変わらなった。変わろうとしないのなら、そのまま停滞し続け、滅んでしまえば良いと世界に復讐をもくろんでいた。

 

歴史に周囲の人々に自身の可能性を殺され、その歴史の悪霊に取り憑かれてなお、世界に復讐を目論むその男とその可能性に希望を見出した少年。

お互い、並行線を走る彼等は結局戦うしか他ない。

一角獣と黒い獅子。可能性の獣である二頭を相手にその男は一人で圧倒し、追い詰めていった。

 

だが、少年の青年の思いに答えた一角獣と黒い獅子はその力を高め、その男を倒し、その少年が見た呪いと化した人々の最初の祈りが広まるのを恐れた上流階級の人々はは一角獣と黒い獅子もろともソレを抹消しようと兵達を送りつけたが、数多の人の可能性を見たその一角獣とその少年は最後にその場にいた人々に奇跡を見せ、黒い獅子と共に少女と仲間の元へと帰り、無事に戦争から生還した。

 

 

「と、言うのが一連の話だ。トリトマはこの話を聞いて見て、どう思う?」

 

感想を聞いてくる隊長に私は今、自分が感じた事を口にした。

 

「その・・・奇跡を起こした後、その少年と戦っていた人が言っていた何も変わらなかったという人々は変わる事ができたんですか?」

 

私の質問に隊長は───

 

「・・・変わらなかったそうだ。その後の時代も戦争は続いた。この物語の少年は確かに奇跡を起こした。だが、それだけだ。争いが何度も繰り返されるように、奇跡もまた繰り返す。それの繰り返しだったと私は聞いたよ」

 

そう答える隊長の言葉にはまるで自分も経験してきたかのような雰囲気があった。

 

「・・・それは、その話の少年や死んでいった人達が報われねーですね」

 

「そうか?私はそうは思わんよ」

 

隊長はそう言い切った。

 

「確かに世界は変わらなかったかもしれん。だが、この物語に出てきた人物達は何かしらの変化はあった。奇跡というものは現象だ。だが、その奇跡を目撃し、その時に思った感情は嘘ではない。それで変われた人間は確実にいた。それだけでも彼等が示した道は間違いではなかったと私は思うがね」

 

隊長はそこで話を切り上げ、私を促すようにしながら口を開いた。

 

「さあ話は終わりだ。明日は私も会議がある。早く寝なさい」

 

そう言う隊長に私は──

 

「・・・隊長。隊長は本当に奇跡があると信じていますか?」

 

その言葉に──

 

「ああ、信じているとも」

 




機体解説

シナンジュ( サイコフィールド)

SEED DESTINY編の最後でネオ・ジオングが出なかったら必然的にコイツがラスボス化するやべーやつ。
なお、原作である小説版よりもフロンタルさんのせいでかなりパワーアップする事が確定。
どっかで弱体化しておかないとトリトマ含め、キラ達全員返り討ちされる可能性がある。
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