フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
今回はクルーゼとトリトマ達のシーンです!
「・・・・・」
クラクションの鳴る音。信号機の歩道音。人混みの中で混じり合う男女の会話。騒がしい街の喧騒の中、クルーゼは目の前にいる三人に目を向けながら内心でため息をついた。
「これはどうよ!トリトマちゃん!このワンピース!すごく女の子っぽくなるよ!」
「で・す・か・ら!エルさん!私はそんなひらひらして足元がスースーするようなヤツは着たくねーですよ!」
「懐疑。本当にそうでしょうか?一度着てみては?」
「エムさん!?」
店の前でギャーギャーと喚く三人にクルーゼはもう一度溜め息をついた。
せっかくのバカンスによる休日がどうしてこうなった?
それは数時間前に遡る───。
朝───7∶45
「クルーゼ。今日から暫くの間、オーブに滞在する予定なのだろう?明日、トリトマ達の買い物に付き合ってやってくれないか?」
「・・・何故私がレイより歳上の娘達の買い物に付き合わねばならんのだ」
クルーゼの真っ当な返しにフロンタルは言った。
「トリトマの人気は知っているだろう?特にコーディネイターの間では彼女の勇敢さやクライン嬢に引けを取らない容姿がかなり人気でな。そういった子に限ってよく出るだろう?」
「なるほど。言いたいことは分かった。つまりストーカーから彼女達を守れと?」
過保護すぎないか?と言おうとした時、フロンタルは首を横に振った。
「いや、逆だ。そういった輩は彼女が毛嫌いしている。見つけたら容赦なく叩きのめすだろうから、抑えて欲しい」
逆だった。
「後、エルの奴がトリトマを連れてカジノに行かないようにしてくれればそれで良い」
フロンタルの口から出た予想外の言葉にクルーゼは思わず眉間を寄せる。その意味と意図が分からなかったからだ。
「カジノだと?なぜ、そこでカジノが出る?」
「いや・・・前にトリトマがカジノで出禁になってだな」
いや、ちょっと待て。
「待て。出禁?あの娘が何をして出禁になった?」
「いや、私と同じで当てに当てたそうでだな・・・」
前言撤回。
もう一度同じ事をされて面倒事を増やされたくないという本音が見え隠れしていた内容に若干呆れたものの、あの男に欲しいものがあったら何でも買ってもいいからとブラックカードも手渡されてしまった。
何でも金は使えきれないほどあるらしく、個人資産がちょっと言えないレベルで貯まっているそうだ。
そこまで頼み込まれてしまっては仕方ない。友人の頼みとして来たのだが・・・。
「じゃーん!どうよ!可愛いでしょ!」
「・・・あ、足元がスースーして落ち着かねーですよぉ!」
「感想。よく似合っています」
目の前でファッションショー紛いな事をしているおかげでまあ、目立つ。特に周りからの視線が。
自分もこの二年、俳優活動をして多少視線を向けられる事があったが、彼女達はそれ以上だ。
コーディネイターである事も大きいだろうが、容姿も端麗で歳頃も良い。そして何より、トリトマは特に有名人でもある。
袖付きの勝利の女神。
そう称されているほどの彼女は、テレビでも度々取材もあるくらいで特にコーディネイターの間ではその容姿も相まって人気も高い。なんだったらあのラクス・クライン(ミーア・キャンベル)も彼女のファンだという噂も聞いた事がある。
だからこそ、コーディネイターの割合が比較的に多いオーブでも、彼女の存在を知らない者は少なくない。
そして今に至る。
ギャーギャーと喚く三人にクルーゼは言った。
「三人共。此処では目立つ。別の場所に移動するぞ」
◇◇◇◇
「助かりました、クルーゼさん。ありがとうございます」
とあるレストラン。
礼をするトリトマにクルーゼは言った。
「あのまま騒ぎ続けたら周りにも迷惑なのでね。止めさせて貰った。それにもう昼だろう?昼食も取っておきたい」
そう言ってクルーゼは適当に料理を注文し、トリトマ達も同じように料理を注文した。
ただ、エムが注文した料理の数を除いて。
「君はどれだけ食べるつもりなんだ・・・エム」
彼女が頼んだ料理の数は十皿。
机の上に並べられた料理にクルーゼは顔を引きつらせる。
「返答。まだまだ食べる事ができます」
「エムはねー、結構大食いなのよ。任務中は食料が限られてるからあんまり食べないようにしてるの。・・・だからってあの体型を維持出来るのは可怪しいけど」
一瞬、エルの闇が見えた気がする。
そしてクルーゼは自分が頼んだ料理を口にしようとしたその時───。
「あの、クルーゼさん」
トリトマが自分に話しかけてきた。
「どうしたのかね?」
手を止め、クルーゼはトリトマを見る。
そして彼女は少しと戸惑うような動作をしてから、口を開いた。
「その・・・クルーゼさんとデュランダル議長って隊長と仲が良いですよね。どうやって三人は知り合ったのか教えてくれねーですか?」
彼女の言葉にクルーゼは───
「良いだろう。だがまずは食事からだ。それからでも構わないだろう?」
そう言って魚の切り身を口に入れるのだった。
ムラサメ
オーブの次期主力機体になる筈だった機体。
モルゲンレーテが弱体化したことで生産次期が大きく遅れる事になった。
生産の際に変形機構が上手くいかず、その場で足踏みしていた所でデルタカイの変形機構に見出した。
最初は交渉していたのだが、フロンタルに滅茶苦茶高い金額をふっかけられたのでデータを盗ろうとした結果、バレて大幅弱体化する事に。
最初はモルゲンレーテを跡形も無く潰そうとフロンタルさんは考えていたが、潰したら潰したでブルコスの緩衝材がなくなるじゃんと冷静になり、一応運用出来るレベルまで追い詰めた経緯がある。
なお、これらはセイランが濡れ衣を着せたという方が正しい