フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第六十六話

「・・・まったく。何故、私も一緒にこんなところに・・・」

 

オーブの一区画。とあるショッピングモールでクラディア・レオントッツォは腕を組みながら壁にもたれ掛かる。

三機の強奪された新型と交戦し、その戦闘で大した戦果を得られず、中破した母艦である《ミネルバ》を修復する為、取引相手の国であるオーブへとやってきたのだが、《ミネルバ》の修復には時間がかかるということで、クルーに休暇が与えられた。

休暇を与えられても、特にやることのなかったクラディアは何時ものようにトレーニングの後、私お手製の"お姉ちゃん"人形を愛でようと思っていたのだが、廊下ですれ違ったホーク姉妹の買い物に付き合わされる羽目になってしまった。

少し離れたランジェリーショップの中にホーク姉妹が見える。

 

「・・・・はぁ」

 

クラディアは溜め息つく。

どうせならお姉ちゃんと一緒に来たかった。

そう物想いにふけっていると、反対側の通路で見覚えがある少女の姿が建物の柱の近くに立っていた。

腰まで届く長い髪に黄金色の瞳。秋服にしては少し分厚いものの、季節感を感じられる服。

雰囲気こそ服装で分からなかったが、間違いない。あれは──

 

「お姉ちゃんッ!」

 

すぐに理解した。あれはお姉ちゃんだ。

確かオーブにアスハ代表を届ける任務でオーブに向かった事は既に知っている。

でも、まさかこんなところで会うなんて思いもしなかった。

すぐに反対側の通路へと向かおうとした時、クラディアは突然石像のように固まった。

 

「────────」

 

あの"男"は誰?

クラディアの思考は一瞬でそのことに染まる。

飲み物を買っていたのだろう。その男は両手に持っていたカップの一つをお姉ちゃんに渡すと、お姉ちゃんも嬉しそうにそれを受け取った。

顔こそよく見えない。だがかなり大柄な男性だ。

髪の色も嫌になるほど綺麗な金色でオールバックにしているのもあってか、かなり清潔感がある。

二人はそんなクラディアに気づく事なく、その場から立ち去ろうとする二人の後ろ姿に呪い殺すと言わんばかりの視線を送った。

そしてそんな彼女の下にホーク姉妹が合流する。

 

「ごめん、待たせちゃっ・・・・」

 

ルナマリア・ホークは最後まで言い切れなかった。

何故なら────

 

「お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん」

 

「うわっ・・・」

 

目から光が消え、壊れたラジオのように同じ言葉を繰り返すだけになったクラディアに、ルナマリアとあのメイリンですら引いた。

そして───

 

「・・・行かないと」

 

「ど、どこに行くのよ?」

 

ルナマリアの問いに彼女は答えず、そのままトリトマ達が歩いていった方角へふらふらと歩いていく。

 

「ね、ねえ!?ちょっと!クラディア!?何処にいくのよ!?私達が居ない間に何があったのよ!?」

 

追いかける姉に対し、メイリンは指を顎に当てて何か考えるような仕草をする。そして───

 

「んー・・・面白くなりそうだから少し様子見よっと」

 

やっぱりコイツ色々と危なくねぇ?

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「フッフッフッ・・・やっぱトリトマちゃんは元が良いからどんな格好でも似合いますなぁ」

 

「憤慨。トリトマだけズルいです」

 

「なあ・・・これは俺達必要か?」

 

「私も同感。ギラ・ズールのOS調整してたらエルに呼び出されて来てみたらこんな追跡じみた事をするとは思わなかった」

 

「俺なんて積みゲー崩してたら無理矢理連れてこられたんすよ・・・」

 

エルやエムの他にレオントッツォ隊のギラ・ズールのパイロット、フロストとウェン。そしてガランシェールの操舵士ジェノがショッピングモールを歩く二人の少し後ろで彼等の様子をうかがっていた。

それぞれ様々な反応をする彼等にエルは言った。

 

「何言ってんのさ。トリトマちゃんと隊長の初デートよ?見なきゃ損でしょ!」

 

「趣味が悪い」

 

ズバッと言い切るフロストに対し、エムが言う。

 

「羨望。羨ましいです」

 

「なら一緒に行けば良かったじゃないっすか・・・」

 

「隊長なら多分OKは出すけど・・・それ、もうデート関係なくない?」

 

「うん。だからエムの首根っこ掴んできたんだにゃー」

 

エムなら現場に乗り込みかねない行動力がある。だからこそ、初めに彼女の首根っこを掴んでおいたのだ。

 

「トリトマちゃんのデート、絶対に成功させるぞー!」

 

 

後ろから般若が来てるけどな!

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「隊長。もうすぐお昼でやがりますし、そろそろご飯にしねーですか?」

 

「もうそんな時間か。なら、何を食べたいかはトリトマ。君に任せよう」

 

そう言うフロンタルにトリトマは頷く。

 

「なら、辛いものを食べましょう!昨日、クルーゼさんから隊長は辛いものが好きだと言っていましたので!」

 

辛いものが好きつーか・・・強化手術のしすぎで味覚が死んでるだけなんだけど。黙っとこ。バレたら色々面倒臭いし。

 

お前そういうとこだぞ!?




プロフィール フロンタルさん

フロンタルさんの寿命が短いのは身体の負担、悪化以外にも、幾度も自分の身体で強化手術による人体実験をしたせいでもある。

これによってプラントの医療技術は大幅に向上することになり、フロンタルさんの寿命が短いのも、強化手術による脳のリミッターが解除が影響しており、絶大な身体能力と耐久性を手に入れたが、その負担が常に身体に掛かっているので、必然的に長生き出来ないそう。
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