フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
「それは・・・本当なのか?」
デュランダルの疑問にフロンタルは紅茶のカップを手に取り、中に注がれた液体を飲み干した後、頷いた。
「ああ。それも保有しているマスドライバーを無期限で使用出来ると言う手土産も持ってきて、だ」
「・・・なんだと?」
その内容にますます眉を寄せるデュランダルにフロンタルは溜め息混じりの吐息をつく。
「疑うのも無理はない。現状、アフリカにあるマスドライバーを連合との合意で使わせてもらっている立場にある今のプラントにとって喉から手が出るほど欲しい代物だ。アフリカからオーブにあるマスドライバーへと輸送ルート変更できれば時間短縮はもちろん、輸送の為の金額も大幅に減ることだろう」
「そうだな。それに今はそんなことはないだろうが、万が一連合がマスドライバーの使用に制限を掛けたとしても、オーブのマスドライバーが使用出来るのなら、こちらとしても安心出来る。一石二鳥ではないかね?」
「良いところだけを見たのなら、な」
一石二鳥だというデュランダルに対し、フロンタルの方は少々複雑な顔だった。
その様子を察せないほど短い付き合いではないと、デュランダルは口を開く。
「その様子だと・・・悪いところもあるようだな」
「ああ。聞くかね?」
「・・・聞かせてくれ」
そう言うデュランダルにフロンタルはデメリットを説明する。
「まずオーブが同盟国になることにより、ユーラシア連邦・・・正確にはブルーコスモスとの前線域が純粋に増えることだ」
オーブが中立国という立場にいるからこそ、ユーラシア連邦は今までこちら側よりの赤道連邦や大西洋連邦のAU諸国を攻撃し続けてきた。
我々袖付き側も攻撃を受け続ける彼等の防衛という名目で地球と宇宙を行ったり来たりしている訳だが、それでも人手はかなりカツカツな状態だ。今、その状態でオーブがこちら側に加盟をするのであれば、その防衛範囲はかなり増える。
オセアニアから戦力を持って来れれば良いのでは?と思うかもしれないが、ザクやグフが生産され始めたのはごく最近であり、主力が未だにジンやザウートといった旧型機を前線に送るのは輸送の事もあって現実的ではない。
ギラ・ズールも分類上は旧型機にあたるが、それでも近代改修をし続けて最新のカオスやザクと渡り合える状態を維持し続けている。その辺りは宇宙世紀のモビルスーツ技術様々というものだろう。
そんな今でさえ戦力が少ない中、マスドライバー防衛しながらとなるとかなり無理がある。
要は前線になる場所にマスドライバーが存在すること自体がマズイのだ。
「現状、大西洋連邦と手を組んで前線は安定しているが、そこにオーブも加わるとなると、増援に出せる部隊が此方にはない。トリトマのような実力者が私以外にいないのでな」
「・・・人手不足の問題か」
袖付きに入隊するには実力者であることと、連邦との合同編成がある都合、差別的な行動をしないことが絶対条件だ。
今の時代、平和になってきているとはいえ、あの日の事件の事を忘れられない人々も多く、ナチュラルを下に見ている人が多いのもまた同様だ。
万年人手不足である袖付きの負担はオーブが加入することによって更に大きくなることだろう。
「金も人手もない。正直な話、国全体のメリットは大きいが、組織をこのまま放っておくわけにもいかないだろう?」
「加入の際、オーブに部隊を作らせると言うのはどうだ?」
そう提案するデュランダルにフロンタルは首を横に振る。
「それも厳しいだろう。一年半前にオーブがデルタカイのデータを盗みに入った時、モルゲンレーテを一度倒産寸前まで追い込んだ事がある。その結果、モルゲンレーテは縮小し、技術者も先の戦争の事もあってプラントに流れ着いた。こちらから技術者を寄越さない限り、モビルスーツ開発をするのはかなり厳しいだろう」
そう言うフロンタルにデュランダルはふと疑問に思った事があった。
「そういえば・・・デルタカイのデータを盗まれそうになった時、やたら君はOSやデータを気にしていたな?それはなぜだ?」
「データに関してはトリトマの戦闘データを記録しているからだ。それを使って真の意味で彼女用のモビルスーツを製造している。OSについてだが・・・」
フロンタルはワンテンポ置いた後、口を開いた。
「デルタカイには特殊なOSが採用してあるからだ。アレは人道に反した代物だ。トリトマのような生粋のニュータイプには効果はないが、オールドタイプにアレは劇薬過ぎる」
「そのOSは一体・・・」
デュランダルの疑問にフロンタルは答えた。
「NEWTYPE-INJECTION-TRACE-REFORMED-OLDTYPE・・・・通称『n_i_t_r_o』。ニュータイプ能力を持たない一般兵に、擬似的にニュータイプ能力を付加するサイコミュシステムだ」
ナイトロシステム
ユニコーンのNTーDのもとになったシステム。
ニュータイプ能力を持たない一般兵に、擬似的なニュータイプ能力を付加するシステムとして開発されたが、実際にやっていることは強化人間開発システムである。
元々はフロンタルさんが、トリトマのニュータイプ能力覚醒を早める為に開発したもの。だが、フロンタルさんのその設計図はかなり古いもので初期型のナイトロのものだった。
なので実験体になった何人かは精神が燃え尽きたそう。