フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
エムはコクピット内に設置されたオデュッセウスのペダルを一気に踏み込んだ。
それに呼応して機体各部に計20基配置されたプラズマ・ジェット・エンジンが一斉にフル稼働し、アリュゼウスは一気に加速する。
「・・・・・っ!」
凄まじい加速に機体はギチギチと金属の軋むような悲鳴を上げ、エムは自分の唇を噛み締めながら、敵に狙いを定めてトリガーを引いた。
砲身からピンク色の熱線が放たれ、前方を飛行していたウィンダムに直撃する。
ドバフッ! と防御姿勢を取っていたウィンダムのシールドが焼け、溶解した金属粒子が、灼熱と化した糸になって大気中に四散した。
その爆煙をアリュゼウスは吹き飛ばしながら、エムは一気に機体を上昇させ、その航跡の一部からパッと閃光が膨らむと同時に、数条のファンネル・ミサイルの閃光が走り、逃げるウィンダムを追いかけ回す。
音速を越えたミサイル群はエムの脳裏に描いた通りの軌道を描きながら、複数のウィンダムを撃破した。
「・・・・はぁ、はぁ、はぁ」
敵機を常に捕捉するアラームと慣れない超音速戦闘にエムの身体からは尋常でない汗と震えが今になって襲ってくる。だが、油断はしない。油断をすれば最後、死人は自分になるのだから。
エムはオデュッセウスの操作レバーをもう一度強く握り返し、周りを見渡した。
海上には複数の艦、空には十数機ものウィンダムが残っている。
そして本題の───
「───ッ!」
そう思考を巡らせていたエムに、機体がロックされているというアラームが鳴り響くと同時、オデュッセウスの頭部に搭載された高性能センサーが作動したのだ。
数条のミサイルが後方から線を引いてこちらへと飛翔してくるのがモニター越しで見えた。ソレを視認したエムは先ほどからひっきりなしに鳴り響くアラームを無視し、機体に搭載されたミサイル迎撃武装である《サンドバレル》を起動させ、飛翔してくるミサイルを迎撃する。
バンッ!
という音と共に散弾のように発射口から鉛球が発射され、ミサイルが火球を上げながら撃ち落とされる。
そのミサイルが飛んできた方向へエムはカメラをアップさせると、そこには例の新型がこちらへと飛行しているのが見えた。
カオス。
アーモリーワンで強奪された一機であり、あの一件から妙に因縁のある機体。
だが───
「冷淡。貴方には興味はありません」
そう言ってエムはトリガーを引くのだった。
◇◇◇◇
「なんだとっ!?それは本当なのか!」
カガリは叫び、思わずマシマに詰め寄った。
「はい。ユーラシア連邦が我々に対して今、オーブに滞在中のプラントと袖付きのクルーと艦を引き渡せば、我が海域で戦闘中であるブルーコスモスに撤退するよう促すと・・・先ほど連絡が」
「勧告もなく攻め入ってきた連邦の言うことを聞けと!?今、我がオーブの民達を守ってくれている彼等を見捨ててか!?」
そう。今、ブルーコスモスと戦闘中である袖付きは街の方へ被害をなるべく出さないように、海辺付近で戦っている。しかも付近の街に対する配慮としてビーム兵器の使用をなるべく制限してだ。
訪問者である彼等にそうまでしてもらう義理は本来、オーブにはない。だが、オーブの防衛に参加してもらっている彼等にユーラシア連邦の提案は裏切りを示すことであり、カガリにはそれが到底受け入れられなかった。
憤慨するカガリにウナトは制止を促しながら、口を開いた。
「ですが、そうでもしないと民達に不安を煽る事になります。それに彼等の配慮も余裕がなくなればいつ、街に甚大な被害が出るか・・・」
「その為の武力を我々は持ったのだろう!このオーブを守る為に、我々はプラントと対談の場をつけてもらったのだろう! あの男も最初はあの一件の事もあって、この対談を受ける気はないと言っていた!だが、こうして訪れて私達にもう一度チャンスをくれる機会を与えてくれたんだぞ!それどころか今は保身の為だろうと我々と共に戦ってくれている。なのに感謝するどころか、徒党を組んで彼等を明け渡すと?そんな恩知らずな話があるか!」
その言葉にユウナが口を開こうとしたその時───
「確かに。今回の件に関してはアスハ代表の言う通りだ。・・・己の信念に従う。この危機的な状況になり、やっと少しは代表らしくなられたものだ」
部屋に長身の女性が入ってくる。
そんな彼女を見て皆が驚いた。
「お前は・・・」
カガリは彼女を見てそう呟く。
そう。彼女の名は───
「この