フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
『アサギ!前にですぎ!』
『でもこのままじゃ防戦一方じゃん!』
『でも離れ過ぎると危ないよ!』
M1アストレイに搭乗しているアサギ、ジュリ、マユラは互いに声を掛け合いながらダガーLやウィンダムを迎撃する。
そんな彼女達の前に一機のモビルスーツが現れた。
『へっ!雑魚がウジャウジャいやがるな!』
アウルが乗るアビスは両肩のバインダーを広げ、三連装ビーム砲とカリドゥス復相ビーム砲が火を噴いた。
七つのビームの熱線が防衛するM1アストレイを次々と破壊する。目前を火の海に変えたアウルはその光景に満足する。
『お前らじゃ相手にならねえっての!』
そう言って笑う彼のアビスにアサギ達はビームライフルを連射する。
『こんのおおおッ!』
『これ以上やらせない!』
『当たって!』
そんな彼女達にアウルは吐き捨てた。
『ハッ!そんなビームが当たるかよ!』
反撃のアビスの大火力がアサギ達を襲った。
『きゃあ!?』
『ジュリッ!?』
アビスのバラエーナをジュリはなんとか盾で防御するものの、その威力だけで片腕を吹き飛ばされる。
『これで───終わりッ!!』
アウルは彼女達にトドメを刺そうと全砲門を彼女達に向けたその時───
遠くの夜空に見えていた青白い光が一瞬、消えた。そして──
───ビュンッ!!
ピンク色のビームが一瞬でアビスの脚部を貫き、装甲とフレームを融解させた。
『───なッ!?』
なんだ!?とアウルがそう思った時にはもう遅く、アビスはその身体を仰向けに砂煙を上げて地面へと倒れ伏す。
『クソッ!!なんだよ!一体!!』
悪態をつきながらアウルはレーダーとカメラを次々と切り替える。だが、画面には一杯の砂煙が見えるだけで、レーダーも碌に使えない。
そんな時、機体のアラームが鳴り響いた。
『!?』
ロックされている。そのアラームに反応して、アウルはアビスの全火力を四方に撒き散らすように発射した。
滅茶苦茶に放たれるその砲撃に誰も近づけまい。アウルはそう思っていたその時───
「───まず一つ」
『───は?』
そんな疑問の言葉と同時、機体全体に衝撃が走る。
『─────ガッ!?』
コクピットを揺らすその一撃にアウルは息を詰まらせる。そしてモニターには真っ黒な物体が画面いっぱいに映っていた。
なにが───
そうアウルが思考する瞬間───一瞬にして画面に眩いフラッシュがアウルの視界いっぱいに拡がり、そして───
バガァァァァァァンッッ!!
凄まじい衝撃と爆音がコクピット内に座るアウルを襲い、彼の身体はビシャッ!と水っぽい音を上げた。
彼の意識はそれ以降、二度と目覚めることはなかった。
◇◇◇◇◇
「まず一機」
トリトマは機能を停止したアビスに目もくれず、使い終わった炸裂ボルトの一本をパージする。
そしてアビスに狙われていた三機のM1アストレイに向けてレーザー通信を入れる。
「そこの・・・えー・・・アストレイのパイロットの皆さん、この通信聞こえます?」
『え、ええ・・・』
なにが起こったのか分からないといった様子の彼女達にトリトマは言った。
「さっき倒した機体は私達《袖付き》が回収します。勝手に回収しねーでください」
『わ、分かったわ』
「では、私はこれで。次の任務がありますので」
そう返事をする彼女達にトリトマはそう言ってその場から去ろうとする。
そんな彼女にアサギは呼び止めた。
『あ、待って!』
「・・・・なんです?」
動きを止めるデルタカイにアサギは言った。
『その・・・助けてくれてありがと』
「それが私達の仕事ですので。では、私はこれで」
トリトマが搭乗するデルタカイは空へと跳び上がり、そのまま変形すると最前線へと飛翔していった。
取り残された三人は小破したジュリの機体を撤退させる為、前線から一度離れるのだった。