フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
「・・・・クソがッ!」
アウルがトリトマに仕留められたその頃、スティングは常にコクピット内で鳴り響くアラームに毒づきながら音速で飛行するアリュゼウスを追いかけ続けていた。
「いい加減に堕ちろよ!」
そう叫びながらビームライフルを連射するが、音速を越えた速度で飛行するアリュゼウスに真っ当に狙いが定まるわけもなく、その熱線は夜空へと空を切る。
そんなカオスに対し、アリュゼウスは反撃と言わんばかりにボボボンッ!とファンネル・ミサイルが発射された。
ミサイル特有の煙を尾に引きながら追尾してくるファンネル・ミサイルをシールドや頭部のCIWSで迎撃するが、一部対人用として設計されたCIWSではファンネル・ミサイルを破壊するだけの威力が足りず、そのまま機体へと直撃した。
「ぐあっ!?」
フェイズシフト装甲により機体そのものには大したダメージはないが、その衝撃までは押さえることが出来ず、スティングはくぐもった声を上げる。
先ほどからずっとこれだ。
ヤツは自慢の速度を活かしながら一撃離脱を繰り返している。
それは今、自身が乗っている
そしてパイロットの腕も向こうが上となれば、必然的にこちらが不利になる。
それを頭では理解しているスティングであったが、彼の性格がその事実を否定した。
「モビルスーツの性能で強さが決まるわけじゃない!」
そう叫び、スティングはアリュゼウスを追いかけようとしたその時だった。
『スティング!引け!撤退だ!』
「ッ!!?」
ネオからの撤退命令にスティングはアリュゼウスの追跡を止め、突然の撤退命令に言い返す。
「なんで撤退するんだよ!今がチャンスじゃなかったのか!?」
『それどころじゃなくなった。───アウルがやられた』
「アウルが!?誰にやられた!」
アウルが撃墜されたと言うネオにスティングは問い返すと、ネオは苦虫を噛み潰したようにして言った。
『袖付きの
「・・・・・ッ」
スティングはネオの命令に思う所はありつつも、すぐに機体を変形させ撤退する。
そしてその撤退の最中、スティングは交戦していた巨大なモビルスーツを目にしようと振り返るが、そのモビルスーツの姿はどこにもなく、ただ暗い夜空と戦闘によって生み出された火災の明かりだけが照らされているのだった。
◇◇◇◇◇
「例の新型をさっさと運びたまえ!そしてボクに解析させてくれたまえよ!」
カミシラが敵から奪い返したアビスをさっさと解析させろと周りに急かす中、フロンタルとキャプテンは倒れ伏すアビスを見上げた。
「これが例のセカンドシーズンの機体ですか・・・」
「ああ。機体名はZGMF-X31S アビス。カオスが空戦、ガイアが地上戦を想定した機体ならアビスは水中戦を想定した機体だ」
「水中戦・・・トリトマさんがカメムシだと言っていた大西洋連邦のあの盾持ちも敵側にいた筈ですが・・・この機体ではアレとの相性が悪いのでは?」
「悪いどころではないだろう」
そもそもフォビドゥン自体がビーム兵器の効きが悪いってのに。まあ、火力は認めるけどさ。
「それで?この機体はどうするつもりですか?」
「解析した後、ミネルバに送り返す。元々、アレはミネルバが搭載する予定だった機体だ」
確か元々はトリトマの妹が搭乗する予定だったらしいけど、強奪されてザクを使ってたって話だし。
「オーブの上層部が今回の件について色々と問われるでしょうね。司令官さんはどうするお考えで?」
「今回の件について侵攻されたのは向こう側の不手際だ。それに、こちらとしては防衛しなくても良い国を防衛したのだ。例え向こう側が余計なお世話だと言って問い詰めようものなら、国民からは不信感を煽ることになる」
「・・・なるほど」
それにカガリ嬢はそんな曲がったことは嫌いだろうけどな!
「とはいえ、後はこちらの仕事だ。トリトマ達も早々撤退させろ」
「ああ、その話なのですが・・・」
「・・・む?」
キャプテンは思い出したと言わんばかりにフロンタルに言った。
「今、トリトマさん達はモビルスーツを使って瓦礫の撤去作業をしています。エムさんの機体に関しては現在収容中ですが、収容が終わり次第、撤去作業へと向かうでしょう。まあ、撤退しろと命令があれば撤退するでしょうが・・・」
ボランティアしてるのか。
彼女は任務中こそ冷たい一面を持ち合わせているが、本来は優しい性格の持ち主だ。
彼女が冷たくなったりするのは曲がった事や義理を果たさない事といった不義理を働いた人間にだけだ。
彼女がボランティアをするのは彼女なりの優しさというものだろう。
「どうします?彼女達に撤退命令を出しますか?」
「いや、彼女達の好きにやらせたらいい。私からは何も言わんよ」
「そうですか」
『司令官、捕獲した機体について相談が』
「どうした?」
フロンタルは、手首の小型無線機を取り上げて聞き返す。
『トリトマ隊長がコクピットに炸裂ボルトを撃ち込んだので多分中身がぐちゃぐちゃになっていると思うんですがどうします?』
「・・・中身は空けずにそのままミネルバに送り返してやれ」
『了解』
そんなやり取りを横で聞いていたキャプテンは呆れたようにフロンタルに言った。
「流石に最低じゃないですか?司令官さん?」
「・・・新米には良い訓練になるだろう?」
整備士連中が最初に目にする死体がトマトみたいに弾けた死体ってどうなん?
多分、ケンプファーに乗ったミーシャみたいになってんじゃない?
最低だ!コイツ!!