フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
「こっちですよー」
歩きづらい砂漠の中、彼女が手を招く方へと進んでみると、多少損傷はしているものの、まだ稼働出来そうなストライクが不時着していた。
「言った通り本当にありましたね。これが連合が作ったモビルスーツですか。まさか原型を保ったまま大気圏を突破出来るとは・・・凄まじいですね」
キャプテンが砂に埋もれかけているストライクを触りながらそう呟いていた。
確か、フェイズシフト装甲は《相転移》の仕組みを利用して作られた装甲で対物理や熱には異様に高い吸収能力を持っていた筈だ。だが、それは機体の話であって中身はそうではない。
原作ではコクピット内の温度上昇までは防ぐことが出来ず、キラは暫くの間、高熱でうなされていたという。
下手しなくてもこれキラ君死んでいるよな?
やたらと打たれ強いキラでもこの状況だと生きている保証はない。一つの原作改変がここまで悲惨な物になるとは思っても見なかった。
「パイロットは生きていますかね?多分蒸し焼きになって死んでいると思いますが」
「開けてみるしかあるまい。キャプテン、今からコクピットを開ける。手伝ってくれ」
「分かりました」
あんまりこういったことをしないから成功するか分からないんだよなぁ。だが、やって見るしかない。
フロンタルは持ってきた機器を駆使し、ストライクのコクピットロックを解除しようと試みる。
が、これが大変だった。
流石にフロンタルもコレに関しては専門外だったので開けるのには三十分近くかかった。
開いたコクピットを見て、フロンタルとキャプテンはふぅと溜息をつく。
「大変でしたね・・・まさか開けるだけでここまで時間がかかるとは・・・」
「お互いに専門外のことだ。仕方あるまい。トリトマ、確認を頼む」
「了解です」
フロンタルの言葉にトリトマはひょいひょいとストライクに登っていきながらコクピットの中を見下ろし、中のパイロットに呼びかけた。
「生きてますかー?」
彼女の呼びかけに反応はない。
トリトマはこれは確実に死んでますねと思いながらパイロットの生死を確かめようとした瞬間だった。
モゾリ───と、パイロットが僅かにだが動いた。
その様子に彼女は驚いた顔を作る。
「!!隊長、このパイロットまだ生きてますよ」
え、嘘だろ!?キラ君生きてんの!?
その言葉には流石のフロンタルも驚きを隠すことが出来ず、サングラスの奥で目を見開いた。
そしてその隣でキャプテンが言う。
「一応救出しておきましょう。何日も此処にいたのであればかなり衰弱している筈です。なるべく動かさず、様子を確認しましょう」
「トリトマ。船から水と冷やすものを頼む。輸送艦の乗員が渋るようなら私の名前を使っても構わない」
「助けるんです?」
「ああ。上手く使えばアークエンジェルとの交渉材料にもなる。もし、使えないとしても彼も一人の人間だ。此処で死なれるのは寝覚めが悪い」
流石に私が原作改変したせいで死なれると寝覚めが悪い。
「分かりました。では持ってきます」
「頼んだぞ」
彼女を見送りつつも、フロンタルはストライクを見上げる。
アークエンジェルがキラ君を見捨てる可能性も十分にある。が、そうなった場合、アラスカルートをモビルスーツなしで通過することになってしまう。クルーゼという追手がある以上、絶対に探しにくる筈だ。多分だけど。
だが問題はこの砂漠エリアはザフトの支配領域なんだよな。そんな危険を犯してまで探しにくるかどうか・・・。
アークエンジェルが到着するのが先か、私達の救助隊が来るのが先か・・・それは彼にも分からない。
実は
実はトリトマ、フロンタルに無理を言ってザフトの制服は支給されている女性用のものではなく、男性用の物を着ている。
スカートがどうも慣れないらしい。
最初期の段階ではキラを女の子にしようかとも考えがあった。でもそれだと話が繋がらないし、この地獄みたいな苦行を女の子にさせるのもなぁ・・・と考えがあり却下になった。