フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

4 / 190
投稿!

フロンタル プロフィール

あの人の身体はとても強靭で、傷がおびただしいほどたくさんついていました。何度も実験を繰り返された被験体や、手術台そのものを思わせて、正直かなり怖かったです

──医療関係者

噂では自身を被験体にしていたらしく、シンがステラを助けてくれと言った時も、被験体を一人も使わなかったらしい。


番外編 第四話

「チェック」

 

「・・・待った」

 

もう何度目か分からないその言葉にフロンタルは呆れたようにため息をつく。

 

「これで何度目の待っただデュランダル?いい加減負けを認めたらどうだ」

 

久しぶりにデュランダルが来たと思ったらいきなりチェスをしようと言われたので休憩がてら少し遊んでいたのだが・・・まあ、うん。弱い。

 

「いや、フロンタル。お前が強すぎるだけだ。これでもチェスに関して私はかなりやる方だぞ」

 

そうかぁ?チェスはあんまり得意じゃないほうだぞ?スパコン相手に十回連続で勝てるくらいだけで。

 

それは異常なんだよ!

 

ドクターにそれを言えるのか?ん?言えるのか?それに俺は戦術に関しては同僚だったグレイディーアにも負けるんだぞ?

 

あー・・・アイツらはなぁ・・・

 

戦術相手の規格外どもに何も言い返せねぇ

 

「こういった戦術を考えるのは私より優れた人間は幾らでもいる。その中でも私はせいぜい優秀止まりだ」

 

「君が優秀止まりなら君より優れた戦術を考えることの出来る人間は化け物か?」

 

バケモンだよ。 特にドクターに関してはな!

 

「それで?今日は一体なんのようだ?まさかただチェスをやりに来たと言う訳ではないだろう?」

 

そう言うフロンタルにデュランダルは諦めたように言った。

 

「まあ、そうだな。ちょっとした相談があって来た」

 

「君が相談とは珍しいな」

 

そう言いながらトリトマが置いていった紅茶のパックを入れながらフロンタルは手を止めることなく、作業を続ける。

 

「ああ。前にラクス・クラインが誘拐されただろう?」

 

「ああ、あの件か。それで?」

 

「あれから君の負担は更に増えただろう?だから“彼女の代わりを用意した"」

 

「・・・“代わり“?」

 

おい待て。それはまさか───

その瞬間、コンコンと扉がノックされる。

 

「ああ。どうやら到着したようだ」

 

その言葉と同時、扉が開く。

 

「────”失礼しますわ“」

 

入ってきた人物にフロンタルはその手を止めた。

部屋に入ってきた人物。

ピンク色の髪にきめ細やかな白い肌、やわらかで繊細な面差し、傍らにはハロまでいる。

そして先程発した声は聞き間違えようがない。

 

“ラクスだ”

 

「彼女は”ミーア・キャンベル“。今日からラクス・クラインとして彼女を使ってくれ」

 

「始めましてフロンタル議長さん。私はミーア・キャンベル。他の誰かがいる時はラクスって呼んでください」

 

その言葉にフロンタルは椅子に座るデュランダルに近付いて耳もとに顔を寄せた。

 

「デュランダル・・・これはどういうつもりだ?」

 

「どうもこうもない。彼女を使ってフロンタル、君の信用を再び戻そうと私は思っている。本物であるラクス・クラインが行方不明な以上、議会の中で君の信用は下がったままだ。彼女がいなくなってから碌に休めていないんだろう?」

 

「・・・つまり、彼女を口実に使えと言うのかね?」

 

「ああ。そうすれば議会の信用も多少は戻る筈だ」

 

デュランダルの言い分は理解出来んこともない。

だが、それは“俺と同じようなもの“だ。ただ、求められたから他者を演じる。必要なのはラクス・クラインの名であってミーア・キャンベルではない。

他人を演じ続ければ“今の俺”のように自分自身が分からなくなってしまう。

今はフル・フロンタルとして演じているが、テラやヤーナムではウルピアヌスとして生きてきた。

その結果が、今だ。

本来の自我を無くし、その自我もほぼ忘れた記憶の欠片をかき集めて作っただけの偽物。

嘘もつき続けば本物になると言うが、それが俺だ。

俺が抱いているのは同族嫌悪と言ってもいい。

 

親友に何も言えないフロンタルは後ろに立つミーアに言った。

 

「ミーア・キャンベルと言ったか。君は何故、この役割をしようと思ったのかね?」

 

表に内心を出すことなくフロンタルは彼女にそう問いを投げる。

 

「あたしは、ずっとラクスさんのファンでもあったんです」

 

ラクスを演じているときとは違う、少しばかり舌足らずな口調で彼女───ミーアは語った。

 

「彼女の歌も好きでよく歌っていて、その頃から声は似ているって言われていたんですけど・・・そしたらある日、デュランダル議員から呼ばれてぇ・・・」

 

「なるほど。それで、“この依頼を受けたわけか“」

 

その言葉にミーアは屈託なく頷く、

 

「ハイ!今、きみの力が必要だ───って。それに“レオントッツォさん“の役にも立てるって言われてぇ」

 

ん?待て。なんでそこでトリトマの名前が出てくる?

 

「待て。何故、そこでトリトマの名前が出てくる?」

 

トリトマと彼女になんの接点がある?

基本、彼女が休みの時は私の執務室にエム達と入り浸っているか、買い物をしにいくくらいであって接点はない筈だ。

それに答えたのは以外にもデュランダルだった。

 

「三カ月前にブルーコスモスのテロ事件がコロニー内で発生しただろう?」

 

「・・・三カ月前?」

 

三カ月前と言えば市街地の方で銃撃テロがあった。

多少の怪我人は出たが死傷者はおらず、人質も無事救出出来たと報告書を確認している。

その日は確かトリトマ達もプラントに帰ってきたタイミングだったのでモビルスーツで現場に向かった筈だ。

トリトマは「せっかく隊長と会える日でしたのに!」と愚痴っていたのは記憶にある。

 

「まさか、そのテロ事件に?」

 

「はい。あたしもその事件に巻き込まれてぇ、人質になっていたところを助けてもらったんです」

 

なるほどな。間接的にではあるが、トリトマも知らず知らず絡んでいた訳か。

 

「だから、今だけでもいいんです、あたしは。今、いらっしゃらないラクスさんの代わりに皆さんのお手伝いが出来たら、それだけで嬉しいんです」

 

つまり救われた恩返しがしたいと。

 

「だからあたしを頼ってくださいね?議長さん」

 

「そういう訳だフロンタル。次の議会で彼女を使えば今後、君を快く思っていない人も減るはずだ」

 

「・・・・考えさせてくれ」

 

善意で言う二人にフロンタルはそう言い返すしかなかった。




フロンタルさん 二人が帰った後の内心

ふざけんじゃねえぞ (未知の言語スラング)

テラや漁村いた時のオリ主はもう自身しかいない場合の場面だと絶対に拒否する案件。

けれど、今はデュランダルへの引き継ぎの準備をしている最中なのでプラントの今後を考えれば断るに断れない状況。

なお、デュランダルが議長の座に座るとオリジナルのラクスは自身の計画やフロンタルの心身を考えても邪魔になるので始末する方向になる。

まあ、アコードとしての力が計画で邪魔でしかないからね
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。