フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第三十九話

───同刻

 

「・・・キラ」

 

ミリアリアに自分の名前を呼ばれた瞬間、キラは小さく身体を震わせる。

フレイやカズイを乗せたシャトルを撃ち落としてしまったあの時から彼等と顔を合わせるのが怖かった。

三人からどう責められるのだろうかと。

何故フレイ達を撃ったのかと。

どうして守れなかったのかと。

仲間からそう言われるのがとても怖かった。

今の自分は守ってもらう立場にはいない。

そんなキラに最初に口を開いたのはサイであった。

 

「・・・キラ。いくつか、聞いても良いか」

 

「・・・うん」

 

キラは俯いたまま短くそう返事をすると、サイは言う。

 

「キラが・・・フレイや、カズイが乗ったシャトルを撃ち落としたんだよな・・・」

 

「・・・うん」

 

「・・・否定、しないんだな」

 

サイのその言葉にキラはか細い声で独り言のように言う。

 

「流れ弾でも・・・フレイやカズイが乗ったシャトルを落としたのはぼくがやったことに違いないから・・・」

 

「・・・・そうか」

 

そして誰もが無言になり、喫茶店に流れる音楽がやけに大きく聞こえた。

そして───

 

「俺も色々言いたいことはある。キラ。フレイやカズイをやったのはお前だ。俺だってさっきまでキラに対しての恨み言の一つや二つはある。けど・・・」

 

そこでサイの言葉が切れる。そしてキラの背中を誰かが触れ、そして優しく撫でた。

 

「俺達をモビルスーツに乗って必死に守ってくれた友達を憎めるわけ、ないだろ」

 

「─────────」

 

サイのその言葉にキラは顔を上げた。

そして隣に座るサイを見る。

今にも泣きそうなキラを見て、サイは言った。

 

「ごめんな。キラにばっかり辛いこと押しつけて」

 

「・・・ぁ」

 

その言葉に耐えられる訳がなかった。

 

「でもぼくは・・・フレイやカズイを・・・」

 

「ああ。俺も辛いよ。落とされた時はすっげぇ泣いた。でも今一番辛いのは・・・キラだろ?」 

 

「そうだよ、キラ」

 

その言葉に頷いたのはトールだ。

 

「キラは皆より人一倍責任感があるんだ。なら、今くらい自分を許してもいいんじゃないかな」

 

「だからね、キラ。泣いてもいいんだよ」

 

ミリアリアのその言葉にキラのその心は決壊した。

 

「・・・・・っ!・・・・っ!」

 

声を押し殺して泣くキラに皆は優しい顔でキラを見る。

これは皆で話し合って決めたことだ。

もちろん、キラに恨み事の一つや二つは本当にあるが、それを言うのは今ではない。

今はキラを支えなければ。だって一番辛いのは彼だから。

そうしてしばらく時間が経ち、皆が落ち着いた頃合いで四人で食事を取った。

と、喫茶店の店長らしき老人がキラ達四人にコーヒーが入ったカップを差し出した。

 

「奢りだ、飲みな。君達の話を聞くつもりはなかったんだが、つい、話が聞こえてしまってね。君達が仲直り出来たお祝いと後は・・・勝手に話を聞いた詫びだ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「礼はいい」

 

老人はそう言ってカウンターの端に置いてあった椅子に腰掛ける。そしてキラ達に言った。

 

「ここいらじゃ見かけないが、どこから来なすった?」

 

老人のその言葉にキラが口を開いた。

 

「・・・ヘリオポリスから」

 

「・・・・ヘリオポリスか。そりゃあ見かけんわけだ」

 

物珍しそうに老人は答えながら老人はカップに入ったコーヒーを啜ると、キラ達に言う。

 

「話からしてアンタ達は地球連合の軍人かい?この辺りはプラントの加盟国の筈なんだが・・・」

 

「・・・色々と事情があるんです」

 

「・・・そうか」

 

その返答を聞いた老人は吐息を吐きながら短くそう答え、煙草を取り出す。

そしてキラ達に吸ってもいいかな?と言った行動を取ると、そんな老人にキラ達は小さく頷いた。

その返事に老人は小さく微笑むと、そのまま手にした煙草に火を灯した。

そして軽くその煙を吸い込み吐き出した後、その口を開く。

 

「まあ、何事にも事情はある。詳しくは聞かんよ。それで?君達は一応地球連合の軍人だろう?この街を見てどう思った?」

 

恐らく街の様子の事を聞いているのだろう。

そう解釈したキラは老人に言う。

 

「・・・ザフトに占拠されているのに思っていたより平和だと思いました」

 

「そりゃあな。今、この街を守っているのはあの砂漠の虎だ。あの男に敵対しなけりゃ儂らナチュラルもこうして平和に暮らしとる。昔に比べれば随分と良くなったもんだ」

 

そう言いながら老人はキラ達を優しい目で見つめると、煙草の煙を再び吸い、吐き出した。

 

「儂らの世代は親から昔の惨状を聞かされながら育っとる。石油資源の枯渇に環境汚染。そしてそれらを巡っての再構築戦争・・・その戦争の最中でパンデミックも起こった。そりゃあ酷いもんだったらしい。それをなんとかしたくて人は宇宙へと先を見た。最初の頃は上手くいっていたようだが、それもコーディネイターの存在が確立されてから雲行きが怪しくなっていった」

 

そして老人はカップに入ったコーヒーを飲む。そしてカップを机に置くと、再びキラ達を見て口を開いた。

 

「一部の富裕層を除いてコーディネイターの存在は否定的だった。宗教やブルー・コスモスは特に否定的だったことを良く覚えておるよ。神の領域を侵す行為だとか、自然環境を破壊し尽くす行為だと反意の声が多かった。しまいにはコーディネイター技術に関わった者やその親族を虐殺するような悲劇も起きちまったが・・・」

 

「そんなの・・・救われなさすぎますよ」

 

そんな悲壮なキラ達に老人はどう感じたのかは分からない。

だが、そんなキラ達の思いが伝わったのだろう。老人は少し悲しそうな顔を見せながら再びその口を開いた。

 

「まあしょうがない。全て善意から始まっていることだ」

 

「・・・善意?」

 

「ああ。コーディネイターの存在も元々は人類を救いたいという善意から始まっている。会社を儲からせたり、家族の暮らしをよくしたいのと同じでな」 

 

「でも、それは・・・」

 

なにか言いたげな彼等に老人は分かっているという風に小さく頷く。

 

「ああ。だが、それを否定してしまってはこの世は闇だ。時にはそうやって考えなきゃいかんときもある。それに、儂はどうしてもコーディネイターを嫌いになることは出来んよ」

 

「・・・えっ?」

 

困惑の表情を浮かべるキラ達に対し、老人は棚に飾られた写真を見る。それは若い頃の老人らしき人物と若い女性。そして小さな女の子の姿があった。

 

「数年前、儂の妻や娘が事故にあって亡くなった。ブルー・コスモスの自爆テロに巻き込まれてな。その時、儂は訴えに行ったものだよ。どうして妻や娘が死ななきゃならなかったんだとな。そんな答えに返ってきた言葉は人の心がない言葉だったよ。コーディネイター達を殺す為には必要な犠牲だった、とな」

 

そう言いながら老人はコーヒーの水面を見つめる。まるであの日の事を思い出しているような表情だった。

 

「そんなどうしようもなくなった儂に心配の声をかけてくれた男がいた。その男はコーディネイターだったんだが、妻娘を亡くして余裕が無かった儂はその男に随分と酷い言葉を投げたものだよ。だが、その男は最後まで儂に付き合ってくれた。そして、そんな儂にこう言ったんだ」

 

 

 

 

「・・・間に合わなくて申し訳ない、とな」

 

 

 

その言葉の後、静寂が訪れる。

そんな静寂に誰も口を開ける者はいなかった。

そしてその静寂を老人が破る。

 

「その言葉を聞いて儂は思ったよ。コーディネイターにもこういった人間がいるんだとな。コーディネイターも一人の人間だ。悪魔なんかじゃあない。その優しさが余裕がなかった儂にじんわりと染み込んだものだよ。だから、儂はコーディネイターを憎むに憎めなんだ。この優しさを持つ人を憎むなんぞ出来ないとな」

 

そう言って老人はキラ達に顔を向け、優しい表情で彼等に言った。

 

「憎しみだけで人は存在していけん。もし、人を憎み続けたまま生き続けたらいつかその心が壊れてしまう。今、儂がアンタ達に言える言葉はそれくらいだ」

 

「お爺さん・・・」

 

その言葉にキラ達は老人を見る。

そして老人は笑みを作りながらキラ達に言った。

 

「・・・大事にしなさい。そしてもし、苦悩や葛藤している人達が君達の前に現れることがあったら助けてあげなさい。人と人との繋がりが”わかり合う”ということだと私は思うよ」




シナンジュ

フル・フロンタルが自ら設計したモビルスーツ。
見た目はサザビーっぽいが、実はνガンダム系統の機体である。
本来は使い捨てのモビルスーツであり、人が乗れるような機体ではない。
偶にトリトマが自分の機体に乗らずにフロンタルに無断で乗るときがあるらしい。

彼女曰く、自分の戦闘スタイルとマッチするそうだ。


そしてこの機体を派生し、二機のモビルスーツが作られることになる。
それは二つの可能性。
その機体はどれも彼女達を大きく成長させることになる。


そしてその機体のどちらかが使われた時こそ───


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