フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第四十一話

───夜

 

 

「くぁ───ああ、ねむい」

 

一人のザフト兵が見張りの最中、おおきな欠伸をしながらそう呟いた。

 

「おい、しっかり見張れよ」

 

「分かってる分かってる」

 

と、隣から生真面目な声が聞こえてきてその男は適当に返事をしながら周りを見渡した。

街中で怪しい動きがあったとバルトフェルド隊長から報告があったので交代で見回りに来たのだが特にそれらしい様子はない。

 

「どうだ?何か変わったことはあったか?」

 

「いんや。特になにも」

 

この見張り台からかれこれ二時間近く街を眺めているが、街の人間に変わった様子はない。

そんな変わりがない見張りに飽きたのか、男は隣にいた同僚に話しかける。

 

「しっかしまあ、なんで隊長はこんな回りくどいことをするのかね?怪しい動きをしてる奴等がいるなら街の住民ごとやっちまえばいいのに」

 

その話に同僚は言う。

 

「なんでもあのフロンタル隊長からの指示だそうだ。あの人の立場はシーゲル・クラインと同じ穏便派の人だ。無用な戦闘は避けたいのだろう」

 

フロンタル───その名前を聞いて男は眉を顰めさせる。

 

「ああ。あの裏切り者か。ナチュラルとの共存目指してるあのクソ野郎だろ?今日もあのテロリストの中にオーブの娘がいたからって理由で俺達を攻撃してきたじゃねえか。それにクルーゼ隊が追っていたナチュラルの艦の保護もしているんだろ?あんな奴の言う事、俺は聞きたくなんてないね」

 

「それ以上言うのは止めろ。あの人にはとんでもない噂もあるんだぞ」

 

「二、三年前にあった連合艦隊の壊滅の話か?あれガセだろ?ジン一機で三隻の艦隊と三十以上のあのモビルアーマーモドキを壊滅なんて出来るわけねえだろ。精々一隻落とすのが関の山さ」 

 

そう言いながら鼻で笑う。

どうせ尾ひれが拡大解釈されただけだろう。もし、そんなことが出来るのだとしたら人間をやめている。

 

「でもあの隊長が連れてた子、可愛かったよなぁ。仲良くなったら連絡先くれるかね?」

 

「止めとけ。あの子、聞いた話だとフロンタル隊の副隊長らしいぞ。学生時代、モビルスーツの模擬戦で赤服五人を纏めて叩きのめしたって話だ」

 

「尾ヒレつきまくってんじゃねえか。あの子がそんな実力者には見えねえよ」

 

まだ子供にしか見えないあの子がそんなこと出来る訳がない。

と、そう思った瞬間───

 

パンッ───

 

「───ガッ!?」

 

と、乾いた破裂音と同時、同僚の男が頭から血を流して床に倒れた。

 

「なっ!?おい、大丈夫か!?」

 

慌てて男が駆けよろうとするが、男にも頭から強い衝撃が加わった。

 

あ───?

 

なんで───俺、床に倒れ───

 

それがその男の余りにも呆気ない最期であった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「・・・・うるせーですね」

 

 

外が騒がしい。

隊長の指示でいつでも出撃出来るよう、ケンプファーのコクピットで寝ていたトリトマはノソノソと身体を起こす。

コクピットの外は何やら騒がしいがどうやら隊長の予想は当たったらしい。

 

「・・・やっぱりモビルスーツの中で寝るのは身体が痛くなって仕方ねーです」

 

固くなった身体をゆっくりと伸ばしながら、通信機の電源を入れた。

キャプテンからはあのアークエンジェルとかいう艦とストライクが脱走しそうになったら捕獲しろという話だが、隊長からは逃げようとする素振りがあれば逃がしてやれと言われている。

私が駆り出されるのはその追っ手としてのことらしい。

個人的には逃がしてもいいのかと思わなくもないが、隊長には何か考えがあるのだろう。

それに電話越しではあったが、隊長の声には悪い奴が持つ独特な感じがしなかったので信用してもいい。

まあもっとも、ストライクのパイロットの精神的に脱走に加わるかどうか怪しい所だが。

そんな事を考えた所で通信からキャプテンの声が聞こえてきた。

 

『トリトマさんですか?』

 

「はい。そうですよー」

 

そう返事をしながらトリトマは袋一杯に詰め込まれた携帯食料を漁りながらそう答えつつも、キャプテンに言った。

 

「外の状況はどうでやがりますか?私の方はいつでも出撃出来ますよ」

 

そう言ってカロリーメイトを口に加え、モビルスーツの電源を入れた。

起動画面が映し出されるのと同時、キャプテンから返答が返ってくる。

 

『アークエンジェルの方はこの騒ぎに乗じて現在、海がある東へと向かっています。先行隊のバクゥ数機が現在、ストライクと戦闘中。それ以外は街に潜伏中の明けの砂漠・・・というよりかはブルーコスモスの伏兵の対処に追われています』

 

「なるほど」

 

増援の見込みはなし。

そしてストライクは向こう側にいるらしい。

良くあの精神でモビルスーツに乗ろうと思うのが不思議だが、まああちらにも理由はあるのだろう。それ以上、彼女は考えなかった。

 

「状況はわかりました。では隊長にお伝え下さい。あの新型艦とモビルスーツは私が対処すると」

 

『初めての地上戦ですが大丈夫ですか?』

 

キャプテンの心配する一言に彼女は言う。

 

「やってみますよ。出来なくて何が副隊長ですか」

 

そう短く答え、トリトマはヘルメットを被る。

そして───

 

「ケンプファー。トリトマ、行きます」

 

ケンプファーのモノアイが一際強く輝いた。




フロンタルが開発したモビルスーツについて。

シナンジュやケンプファー、そして後続のモビルスーツはいくつかの武装がフロンタル隊でしか使われないものが存在感する。

その一部を紹介しよう。まずは頭部に装備された六十ミリバルカンである。
フリーダムやジャスティス、デスティニーの自動防御兵装になるバルカンとは違い、二、三倍の大きさを誇るバルカンは規格がフロンタル隊のモビルスーツにしか合わないので中々弾薬の補充が出来ない兵装になっている。
ただ破壊力は凄まじく、バルカンだけでアストレイを撃破出来るらしい。

その二。
ビームライフル

シナンジュ等のモビルスーツのビームライフルはEパック方式を採用した兵装である。
威力だけで見ればストライクやフリーダムのような直接エネルギーを送るタイプが高いが、Eパック方式のビームライフルを持つモビルスーツはバッテリー式よりも継戦能力やモビルスーツのエネルギー効率が良いらしい。

なお、シナンジュのロングレンジビームライフルは他のビームライフルより威力、射程が高く、掃射時間も長い。
しかもグレネードやロケットバズーカも装備出来る多機能である。



ビームマグナム?
あれは出力や威力が高すぎて一部のモビルスーツ以外はエネルギー供給の内線や腕のフレームがやられる
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