フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第四十二話

『キラ君、本当に大丈夫?』

 

「・・・はい。大丈夫です」

 

マリューの心配する声にキラは待機中のストライクのコクピットの中でそう返事を返す。

この選択が正しい事なのか自分には分からない。

今も戦うのは怖い。フレイやカズイ───そしてあの女の子を落としてしまったあの時の事を瞼を閉じれば今も思い出す。

だが、生き残った皆を守るためにはどうしても自分の力が必要だ。

 

「・・・・・」

 

あのお爺さんの言葉が今もキラの中で渦巻く。

 

〘・・・大事にしなさい。そしてもし、苦悩や葛藤している人達が君達の前に現れることがあったら助けてあげなさい。人と人との繋がりが”わかり合う”ということだと私は思うよ〙

 

「わかり合う・・・か」

 

いつかナチュラルとコーディネイターがわかり合える未来がくるのだろうか?

 

「もし、そうなれば───」

 

いいなと考えたその時───

轟音と共に艦内が大きく揺れた。

 

「敵!?」

 

キラはすぐに顔を上げ、アークエンジェルの甲板から見える範囲で敵影を索敵する。

 

「バクゥは何機いるんだ?」

 

ストライクのレーダーを使い、敵の数を数える。

砂漠の中を高速で移動するポイントの数にキラは呟く。

 

「五機か!」

 

バクゥの数が分かったキラはすぐにマリューに知らせた。

 

「マリューさん!バクゥが五機こちらに向かっています!後、空からヘリも!」

 

『分かったわ!総員!対空、対艦、対モビルスーツ戦闘用意!迎撃開始!』

 

その戦闘放送に皆が慌ただしく動き始める。

そして甲板で待機していたキラもこちらへ砲撃しながら向かってくるバクゥにビームライフルの銃口を向け、狙いを定めようとした。

だが───

 

「─────ッ」

 

突然呼吸が荒くなった。

そしてキラはバクゥに向けたビームライフルの引き金を引く為の右手が無意識に震えているのを見て悟った。

 

撃てない

 

ビームライフルを向けた時、どうしてもあの光景が浮かんでしまう。

フレイ達が乗ったシャトルを撃ち抜いたあの光景を───

 

「───ッ!!」

 

キラはすぐにビームライフルの銃口を横へとずらして引き金を引く。

バクゥ達がいる場所とは見当違いの方向へ放たれたビームライフルの熱線はそのまま砂漠に弾痕を開けるだけで追手の牽制にもならなかった。

 

『どうした!坊主!』

 

スカイグラスパーを駆るムウから呼びかけの通信が入る。

 

「はあ、はあ、・・・・うっ!」

 

こみ上げてくる吐き気にキラは必死に耐えながらキラはビームライフルとバルカンでバクゥから発射された多数のミサイルを迎撃する。

 

『どうしたのキラ君!どこか気分でも悪いの!?』

 

『キラ!一体どうしたんだ!?』

 

『大丈夫!?キラ!』

 

「いえ、大丈夫です!」

 

マリューと皆の心配の声にキラはそう答え、ビームライフルをバクゥに再び向ける。───が、どうしてもモビルスーツ相手に引き金が引けない。

 

「どうしてッ!」

 

ボクは決めたはずだ。あの時、皆に許してもらった時から皆を守ると。 

その為に引き金を引く覚悟をした筈なのに───

キラがそう自分に叱責した次の瞬間、ストライクにバクゥから発射されたレールガンの弾頭が直撃する。

 

「うわああああああッ!!」

 

『キラ君!もういいから戻ってきて!』

 

その衝撃にキラは悲鳴を上げる。

そんなマリューの帰還命令が響くがそれどころではない。

とその時、キラの脳内にお爺さんの言葉がふと浮かんだ。

 

「僕は───」

 

〘いいかい?一つ君達に教えてあげよう。とはいっても、あの時のコーディネイターが私に言った言葉を君たちに伝えるだけだがね〙

 

お爺さんと別れる際、僕達に言ってくれた言葉。

 

〘諦めてはいけないよ。自分の中の可能性を信じて突き進めばおのずと道は開ける〙

 

自分自身の可能性を信じて突き進め。

 

「僕は───ッ!!」

 

 

「「「「キラ(君)(坊主)!!」」」」

 

 

皆がキラの名を呼ぶと同時、キラの中から何かが弾けたような気がした。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

「────ッ!なんですか?」

 

アークエンジェルから数キロ離れた場所でケンプファーを操縦していたトリトマは殺気に近い意思を感じとった。

感覚的にはまだ遠い位置にいるにも関わらずここまで殺気が感じられるのは、彼女の感受性能力が高いからだ。

そしてだからこそ彼女は呟く。

 

「今、あんな殺気を洩らしたら正確な位置がバレますよ。相手はそれを分かっているんでしょうか?」

 

この場にフロンタルがいたら彼女にそんな距離から察知出来るのはお前しかいねえよ!と突っ込んでいるであろう。

 

「まあいいです。先発隊が全滅する前に合流しましょう。多分、間に合わないとは思いますが」

 

嫌な予感は凄く当たるから嫌なんですよねと彼女は内心でそうボヤくのであった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「キラ君・・・?」

 

アークエンジェルの艦橋でマリュー・ラミアスは先程のキラの戦いぶりを見て唖然する皆の代わりに声を漏らしていた。

先のバクゥとの戦闘、キラはまさに鬼神を思わせるような戦い方を見せたからだ。

バクゥの頭部に蹴りを入れてからビームライフルでコクピットを撃ち抜く。

ビームサーベルを投擲し、破壊。

ビームサーベルでバクゥを両断。

盾を投げてバクゥに回避行動を取らせてからビームライフルで狙撃。などなど先のキラとは思えない戦い方をしてみせた彼に皆は困惑するしかない。

だが、そんな彼らよりもキラの方が深刻だった。

 

「はあ、はあ、はあ、はあ・・・ッ!」

 

──熱い。身体が焼けるかと思わせるくらいキラの体感温度は高かった。

 

『坊主!大丈夫か!』

 

ムウが心配の声をかけてくる。

が、キラには答えられる余裕はない。

あれだけの命を一瞬で奪ったのだ。前までのキラならともかく、今の彼にはその事実がとても重かった。

そして合間もなく、ストライクのレーダーに敵影が映り込むのが彼の視界に入った。

 

「────ッ!新手!?」

 

キラは敵影が映った方角へ視界を向ける。

夜の砂漠の中、一機のモビルスーツが低空飛行でこちらへと向かって来るのが見えた。

ジンやバクゥ、ましてやディンとも違う。

足にシュツルムファウスト、背中には二丁のバズーカを背負い、ショットガンを構えた青いモビルスーツ。

 

 

 

 

「殺しはしねーです。ただ、無力化はさせます」

 

 

それはフロンタル隊、副隊長トリトマ・レオントッツォが駆るケンプファーだった。




フロンタル、キラ、アスラン、シン、トリトマに質問です。

Q.戦っていて一番怖い相手は誰ですか?


A.フロンタル(トリトマかアスラン)キラ(トリトマ)アスラン(フロンタル)シン(アスランかトリトマ)トリトマ(フロンタルかアスラン)


では、トリトマを選んだフロンタルさん達に質問です。
何故、彼女が一番怖いと思いましたか?

理由。
詰め将棋をしているみたいで二手、三手先を読んでくるから先読みの選択ミスしたら即撃墜されそうになる

弾幕の中を真正面から必要最低限の動きで避けてくる


背中を向けていてもずっとこっちを見ているみたいで怖い


では、本人から一言

私、そこまで化け物じゃねーですよ!?
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