フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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夏バテにやられそうになっている作者です

夏やっぱりきつい

アイス食べたいなぁ・・・


第四十八話

オーブ行きの航空便を三席分取り、それまでの間フロンタルは自身のパソコンに送られてくる報告書とにらめっこをしていると、突然キャプテンから声をかけられた。

 

「フロンタル隊長。今、お時間よろしいですか?」

 

「どうした?何か用かね?」

 

目線はそのままに短く返事を返す。

そんなフロンタルに対し、キャプテンは言った。

 

「今回のシーゲル・クラインが穏健派の席を貴方に譲った件です。どうにも腑に落ちなかったものでして」

 

近くの椅子に腰をかけるキャプテンに対し、フロンタルは内心でああ、そのことかと軽く流していた。

 

「あの男は怖くなったのだろう。これ以上、自分で自分の感情を抑えることが出来なくなることをな」

 

「感情を抑える、ですか?」

 

「ああ」

 

最近のシーゲル・クラインは日頃のストレスでかなり感情的になっていた。

あの男のようなタイプは基本大人しい分、激情に身を任せてしまうと、とことんやり過ぎる傾向にある。

それが過去にやらかしたプラントの農業コロニーの開拓と地球圏全域に撃ち込んだニュートロンジャマー、そして地球連合に向けての宣戦布告だ。

うち前者の二つは俺に無断でやったことなんよ?しかも宣戦布告に対しては俺の制止を振り切って過激派の奴等と徒党を組もうとしていたんよ?

そんなことをしようとしていた状態で次の議長選挙にパトリック・ザラが選ばれるのがほぼ確定しているとなると、もはやシーゲル・クラインではストッパーにもならない。

だから常に冷静を保ち続け周りを見ていた俺にその座を渡し、自分はその責任の重責から逃げたのだ。

 

「人の上に立つ者は基本、己自身の私情を捨て人の為、国の為にその身を削らなくてはならないと私は思っている」

 

「ですがそれは・・・・」

 

「ああ。自身の可能性を捨て、人々を生かす為そして彼らの願いを叶える為、己を空にし器になるということだ。だがそれは容易なことではない」

 

それが出来ていたら今のように欲に塗れたクソみたいな世界になっていないだろうよ。

多少はマシにはなっているだろうな。多少はな。

 

「だが、それは人の可能性を閉ざす行為だ。今のプラントのように定められた才能を活かし、それに適した人生を過ごす。それでは人の無限の可能性を育むことも出来ず、飼い慣らされるただの奴隷でしかない。それが今のプラントの状況だ。そんな彼らの中に、それを上回る人間がいたらどうなる?」

 

「それは・・・」

 

人々を導く者としてあろうとしたが、自分には出来ないと悟ってしまった。

それは何故か?

 

“私がいるからだ“。

 

人の上に立つものはこうあるべきと願われた理想の体現者と言えばいいか。

 

正直な話、私も色々とやらかしているのは自覚している。

でもそれはあくまで裏での話だ。

表では俺はとにかくなんでもやった。

 

政治、モビルスーツ開発、医療、遺伝子工学、クローンの寿命の改善・・・出来ること全てに手を出し、私はたった五年で今の地位を得た。

だが、シーゲル・クラインにとってはそれが重荷にもなっていたのかも知れない。

“自分より適正能力が高い人間が自分の部下としている“。ならそれ相応に振る舞わないといけない。

それが負担にもなっていたのだろう。

トリトマももしかしたらそうなっていたかも知れない。

彼女のモビルスーツの操縦技術能力だけみればハインラインや私と同類だ。

私以外の部下になったら彼女は必ず何処かで浮いてしまっていただろう。

 

「その責任という重圧に耐える事がシーゲルには出来なかった。ただそれだけのことだ。今回の件は彼等の心情を察する事が出来なかった私のミスでしかない。こうなってしまった以上、私がやるしか他にないだろう」

 

そう言ってフロンタルは再び報告書に目を向けた。

そしてそんな彼に最後にキャプテンは言った。

 

「では、最後に一つだけ聞かせてください」

 

「なにかね?」

 

「貴方の言う可能性とは?」

 

フル・フロンタルが掲示する可能性。

それをキャプテンは知りたかった。

一人の人間として。

その言葉にフロンタルは報告書を読むのを止め、近くのソファで寝息を立てている彼女を見る。

そして───

 

「人々の善意が示した内なる可能性・・・今はまだそれだけでいい。私のような亡霊ではなく・・・彼等、今を生きる子供達にその可能性を託したいと私は考えている」




作者「モビルスーツ解説コーナー!今回はこの機体!」

フロンタル「ガンダムデルタカイ・・・少しネタバレにはなるがDESTINY編の序盤に彼女が乗る機体だな。開発経緯は本来のものとは違って、こちらの世界でサイコミュは使えるのかどうかの実験機のような扱いだが」

トリトマ「隊長からもらったプレゼントです!結構使いやすいんですよ!」

作者「でも確かデルタカイってヤバイシステム積んでいなかったっけ?」

フロンタル「ああ〘n_i_t_r_o〙・・・nEWTYPE iNJECTION tRACE rEFOMED oLDTYPEのことだな。元々は一般兵でもニュータイプ並みの戦闘能力をもたせる為につくられた技術だ。もっとも強制的に脳の構造をニュータイプのものに書き換える代物なのでまともなパイロットが乗ると、性格が変貌するか廃人化するが」

トリトマ「私はなんともなかったのですが・・・」

作者「?彼女顔を暗いけど、どしたん?」

フロンタル「彼女の近しい人が使われなくなったデルタカイに乗った。それだけのことだ」

作者「おい!それ、ネタバレ!」
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