フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
プロフィール シナンジュ
コズミック・イラでフロンタルが再現したシナンジュは核融合炉を使用している為、ユニウス条約に引っかかるのだが、フロンタルが精密な偽装をしている為、最後の最後まで核エンジン搭載機だとバレなかった。
それは何故か?
ニュートロン・ジャマーの効果がない核融合を使用したエンジンに姿勢制御バーニアの為の推進剤やプロペラントタンクを使用した推進偽装、そしてシナンジュには大火力兵装がない+フェイズシフト装甲未搭載の機体なので基本、エンジン部分さえ見られ無ければバレる要素がほぼなかったから。
「今日は皆様にお渡ししたいものがあります」
プラントの最高議会の面々が集まる部屋の中、マルキオ導師がその場にいる議員全員に一枚の書類を配る。
配られたその書類にフロンタルは軽く目を通す。
そしてその資料を見た議員の面々が声を荒げる。
「なんだ!この内容は!」
「これは理事国がプラントに停戦に応じた際の提案です」
議員の怒りの言葉に動じることなく、マルキオ導師はそう言った。
オルバーニ譲歩案。
それは理事国がプラントに対し、ある程度の自治権を認めるけど、その代わりにもう一度管理下に収まってくれというものである。
ぶっちゃけこれで停戦出来るものならやって欲しいもんだが、今の議員は過激派が中心となって動いている為、この譲歩案は絶対に通らない。
つか、ユニウスセブンを潰した時点で私怨やら復讐やらで大炎上している過激派の連中相手に上から目線でこの内容を送ってみ?
そりゃあ誰だってブチギレるわ。
「こんな内容、飲める訳ないだろう!制限のある自治権だけを我々に渡し、もう一度下に付けだと!そんな制限だけの自治権なぞあってないようなものだ!」
それはそう。多分だけど、これ受けたらプラントはジオンと同じ末路を辿ると思う?オリジナルのフロンタルは0096年の時点でジオンが自治権返還の期限がせまっていて、ラプラスの箱を使ってその自治権を伸ばしてその間に宇宙のコロニー同士で連携して地球を孤立させようとしていたしな。
一応、こっちでもやろうと思えば同じ手は使えるけどさ。
「マルキオ導師。いくつか聞きたいことがある」
フロンタルはそんな過激派の彼等を無視し、マルキオ導師に言った。
「はい、なんでしょう?」
その短い返答にフロンタルは問いかける。
「この制限付きの自治権はどれほどの効果がある?その内容次第によっては我々は向こうの傀儡になりかねんのでな。それを聞いておきたい」
「それは・・・」
フロンタルの問いに困惑の声を上げるマルキオ導師。
あ、もしかしてコイツ詳しいこと聞いてねえな?
その反応にフロンタルは察した。
まあ、外交官とか普通は専門のヤツがやるようなことだしな。
この人は連合側である理事国も認めた人格者ではあるんだけれど、あくまで伝道師であって政治家ではない。
こう言ったらアレだけどプラント最高評議会も政治に適正があるとはいえ、基本学者か研究者の奴が殆どなんだけどな!
だから政治適正を持っていても、プラントでまともな政治家やってんの極々一部だけなんよ・・・。
そんな事を内心で愚痴りながらフロンタルは口を開いた。
「答えられないということはその“ある程度”の内容を貴方は知らないとそう解釈させてもらう。”私個人“としてはそのある程度の自治権の内容次第では了承しても構わないと考えているが、今、プラント全体が独立という立場を望んでいる以上、私個人の意見だけでその譲歩案を飲む訳にもいかんのでな。それに───」
フロンタルは一息ついた後、なんのリアクションも起こさないパトリックを見る。
「最終的な決定を下すのは議長になった彼が決めることだ。私ではない」
そう。最終的な決定権を持つのはこの男なのだ。
結果なんぞ見えている。
「戦争を終わらせたいのは我々も同じ気持ちだ。だが、今更こんな案を持ち出した所で我々の意思は変わらない」
俺の意思はガン無視してるけどな。
「この件については否決とする」
だよね。知ってた。
あまりにも予想通りの結果にフロンタルは落胆の溜め息をつくのであった。