フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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今日、特別番 フリーダムを見に行きます!


第六十六話

「あのー・・・一ついいですか?フロンタル隊長」

 

「どうした?エル」

 

怖ず怖ずとしながら手を上げる彼女にフロンタルはそう言う。

そして彼女は言った。

 

「ラクス様の元に向かうと行ってましたけれど、どう行くんです?一応、私達は監視されているんですよ?」

 

「ああ、その事か」

 

彼女の疑問にフロンタルはああ、と呟いてからエルに言う。

 

「この建物の下には外に繋がる抜け道があってな。それを使う」

 

「へっ?地下通路?」

 

予想にしていなかったその答えにエルもトリトマも目を丸くする。

 

「そんなのがあるなんて私、知らねーですよ?」

 

「知らないのも無理はない」

 

そんなの知らないという彼女にフロンタルは苦笑しながら彼女に言った。

 

「その扉があるのは私の部屋だ。私以外、その抜け道があることすら知らないだろう」

 

どうやら隊長の部屋にあるらしい。

というか、隊長の部屋自体、入る人なんてそもそもいないので知らなくて当然だった。

 

「・・・ん?と、言うことは・・・」

 

エルの頭に疑問が浮かぶ。

隊長の部屋に基本誰も入らない。

今日、トリトマちゃんは隊長の部屋に入れる。

つまり、隊長の趣味が分かる。

 

その答えに辿り着いたエルはトリトマの肩をガシッと掴んだ。

 

「ちょっ!?何するんですか!?エルさん!?」

 

そう叫ぶトリトマをエルは無視し、そのまま彼女の耳元に自身の口元を近づける。

そしてフロンタルに聞こえないよう、トリトマに言った。

 

「・・・・これはチャンスだよトリトマちゃん」

 

「な、何がですか・・・?」

 

困惑の声を出すトリトマにエルは真剣な表情で彼女を見る。

 

「だってさ、これからトリトマちゃんは隊長の部屋に入れるんだよ?誰も入ったことのない隊長の部屋にさ!なら、そこで隊長の趣味とか何か分かるんじゃない?そうなればトリトマちゃん、隊長が気を持ってくれるかもしれないんだよ?」

 

「・・・・・!」

 

おい、馬鹿辞めろ。純粋な彼女に変な知識を持たせるんじゃない。

彼女の頭の上で揺れていた髪がピーンと伸びた気がする・・・ような気がしないような・・・

フロンタルはトリトマのアホ毛がそのように見え、過労による幻覚ではないかと疑い、自身の目元を押さえた。

そんな彼等をキャプテンは外側で見守るように眺めていた。

そして────

 

「エルさん、私頑張ります!」

 

「うんうん、その意気だよ!」

 

「・・・・何がその意気なのだ?」

 

「彼女達にしか分からないことですよ」

 

「そうか・・・」

 

そんなやり取りをする四人であった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「ここから先が私の部屋になる」

 

館の奥────そこにフロンタルの部屋がある。

その場所に位置する場所は巨大なドーム状の屋根がある場所であり、フロンタル曰く、自分の部屋は二階まであるらしい。

どんな部屋だ!と言いたくなるが、それは建築者の設計に文句を言わねばなるまいとフロンタルは答えていた。

ガチャリと開けられる扉にトリトマはドキドキしながらゆっくりと足を部屋の中へと進める。

そして目の前の光景にトリトマは声も出すことが出来なかった。

 

「─────────」

 

彼女の視界に映るもの。それは六枚に連なる巨大なタペストリーだった。

優しい顔をする二人の女性と周りには沢山の動物が描かれており、特に目を惹くのは空想の生物である一角獣───ユニコーンと獅子であった。

言葉が出てこない彼女にフロンタルは言う。

 

「これは今もフランスに現存している貴婦人と一角獣のタペストリーのレプリカだ。この全てには人間でいう六感・・・六つの感覚を示したものとされる。「味覚」「聴覚」「視覚」「嗅覚」「触覚」、そして────」

 

「・・・・“私のたった一つの望み“───」

 

「なに?」

 

彼女の口から零れ落ちたその言葉にフロンタルは思わず振り返る。

何故ならその言葉は彼やカーディアス・ビストしか言わなかった言葉だったからだ。

振り返ったフロンタルの視線の先───トリトマの様子は明らかに可笑しかった。

目から何時もの明るい様子は消え失せ、代わりに死人のような虚無を見るような目でその絵を見ている。

そして彼女の口からはあり得ない名前が出てきた。

 

「あの人を・・・“シャア“は・・・私が・・・止めないと」

 

その言葉にフロンタルは思わず目を見開いた。

だが、それと同時に───

 

───ほう───

 

フロンタルは自身の内から声が響くのを感じ取るのと同時、自身が内側へと引っ張られるような感覚に襲われる。

 

ヤベェ!?このままだと意識が持ってかれる!?

 

即座にそう判断したフロンタルはすぐに行動に示した。

 

「トリトマ、しっかりしろ!」

 

彼女の肩を掴み、フロンタルはそう叫ぶ。

そんなフロンタルの声が聞こえたのか、すぐに反応があった。

 

「・・・たい、ちょう?」

 

一瞬、目を瞬かせる彼女だったが、フロンタルが自分の肩に手を置いているのが分かると、すぐに顔を真っ赤にし、叫ぶ。

 

「たたたたたっ!?隊長!?何してやがるんですかッ!?」

 

何時もの彼女に戻ったのと同時───フロンタルの中から外に出ようとしていた気配はすぐに鳴りを潜める。

安心もしていられない状況だが、フロンタルはトリトマに言った。

 

「君が、私が何度も呼びかけたのに返事をしなかったからだ。どうした?体調でも悪いのかね?」

 

「あー・・・いえ、体調は問題ねーです。ただ・・・ちょっとあの絵を見ていたらトリップしていたというかなんと言うか・・・」

 

どう説明したらいいか分からないというような表情でトリトマはフロンタルから顔を逸らす。

 

「そうか。体調が悪かったらいつでもいいなさい。後、私はこれから着替えに入る。私が出るまで部屋の外で待機だ」

 

「はい・・・すみません」

 

「謝らなくていい」

 

そうやり取りをし、フロンタルは扉を閉める。

そして壁に背を預け、はぁ・・・と大きな溜め息をつく。

 

戦い方がアムロに似ていたという時点で気づくべきだった。

最初は気のせいだろうと思い、様子見をしていたが、彼女の口からシャアの名前が出た時点でほぼ確定だ。

 

彼女は“自分と同じ存在“だ。

 

 

フル・フロンタルという空っぽの器の中、シャアの怨念が入ってしまった自分のように彼女の中には恐らくあの男がいる。恐らく複数人、シャアに関係している奴等がメインだ。

 

だが、彼女自身の自我がはっきりと存在しているあたり、恐らくだがアムロや他の人達は彼女を乗っ取ってまで出てこようとはしてこないだろう。

 

だが問題はこっちの方だ。

 

コイツ、トリトマの中にアムロがいたと分かった瞬間、俺の身体を乗っ取りにきやがった。

しかもやり方からしてこのフロンタル、小説版のヤバい方だ。

クルーゼと同類かそれ以上のコイツをこのコズミック・イラで開放させるのはマズイ。

 

下手すればガチで人類滅亡まで一直線でいく。

 

この特大の爆弾を放置するのはあり得ない。

人類滅亡を回避しつつ、平和路線に突っ切っていくとしたら──

 

DESTINY編で土台を固めて、私が亡霊に乗っ取られるまでに“私が死亡しなければならない“。

 

それがフロンタルが出した最善策だった。





【挿絵表示】


今回はシナンジュ!

個人的には人を描くよりロボットとかの方が書きやすいです

何故かって?
直線的な部分が多いからさ!
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