フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第六十八話 フロンタルの目的

「・・・・フル・フロンタル」

 

ラクスが自分達の前に立つ男の名を呼ぶ。

そんなラクスに対し、フロンタルは気にすることなく口を開いた。

 

「ラクス・クライン。君には悪いがこれ以上好き勝手動かないでいただきたい。今、パトリック・ザラがしていることは私も許容することは出来ないが、だからと言って君がやろうとしている事を無視することは出来んのでな」

 

そう言うフロンタルに対し、ラクスは言う。

 

「では貴方はこの戦争が続けば良いとおっしゃるおつもりですか?この悲しみしか産まない戦争を終わらせるのが私達の務めではないのですか?」

 

「確かに。その務めは我々がすることだ。が、それは今の君が言える言葉ではない」

 

「それはどう言うことですか?フロンタル議員?」

 

困惑の声を上げるアスランにフロンタルは答える。

 

「それについては君も知っている筈だ。彼女が彼、キラ君に渡したフリーダムにはニュートロン・ジャマーキャンセラーが搭載されている。もし、この機体が連合・・・ブルーコスモスに渡った場合、彼等はまた核を使うだろう。もしそうなったらまたあの惨劇が繰り返される」

 

「・・・・ッ!?」

 

フロンタルの言葉に顔を歪ませるアスランに対し、ラクスは真っ直ぐフロンタルを見据えながら言った。

 

「キラはそんな事をいたしません」

 

「何を根拠に?」

 

フロンタルのその問いにラクスは答える。

 

「キラは優しい方です。誰よりも繊細で優しい人。だから私は信じているのです。彼はそんな事はしない・・・と」

 

「その言葉を信用しろと?」

 

「そう解釈して貰って構いませんわ」

 

そんな彼女の言葉にフロンタルは何も答えなかった。

確かにキラは優しいし、原作知っている俺からして見れば別に信用しても構わないと思ってはいる。

だがなお姫様。現実は君や私が思っているより優しくないって事を教えてやるよ。

 

「話にならんな。悪いがそれで納得しろというのは些か無理というものだ」

 

「では、行動で示せと仰るのですか?」

 

そう言うラクスにフロンタルは答えた。

 

「では、君がこれからやろうとしている事を教えいただきたい。もし、それが納得出来るようなものであれば私も引きましょう」

 

「・・・・分かりました」

 

私を納得させるには話さざる得ない状況を作り、喋らせる。

それが腹の中を探る為の基本だ。

内心笑みを浮かべるフロンタルにラクスは言う。

 

「私はこの戦争を終わらせる為、クーデターを起こすつもりです」

 

「ラクス!?」

 

「・・・ほう」

 

確かにラクスはシーゲルが殺されるまでに反戦のメッセージを飛ばしていたな。

 

「それで?」

 

そう返すフロンタルにラクスは答えた。

 

「この戦争はお互いの過剰な思想によって人類の絶滅戦争へと突き進んでいます。これ以上、戦火を広げない為に元クライン派とオーブ、マルキオ様と連携してこの戦争を終わらせる為の第三勢力として活動するつもりです」

 

「それはオーブも了承済みなのかね?」

 

「はい」

 

その言葉にフロンタルは沈黙で返す。

ウズミが私が提示した三国同盟の参加を断った理由がコレか。

 

「では、クライン嬢。君はこの現状が間違っているとクーデターを起こし、それが成功したとして・・・君はこの世界をどうしたいのか教えていただきたい」

 

「世界を平和にする為に活動を続けますわ」

 

「平和の為に・・・か。それは大層な目標だが具体的にどうやって世界を平和にしていこうと言うのかね?」

 

「話し合いでの平和的な解決を」

 

「その為に貴女は今、生きている人々に死ねと?世界平和を目指すのは結構だが、具体的な着地点を目標にせず、ただ世界平和を目指すだけなら誰にでも出来る。それに人は知性や個性を持つ限り、争いを終わらせることは出来ない」

 

そう言ってフロンタルはラクスに視線を向けて言った。

 

「人の歴史は争いの歴史だ。平和というものは次の戦争の準備期間でしかない。人は貧富の差によって争いを産むと考えているようだが、実際は人の限り無い欲望が争いを産むのだと私は考えている」

 

フロンタルは更に言葉を続けた。

 

「かつてある実験が行われた。楽園実験と言うものでな。生存に最適な環境にネズミを住まわせると、どのような社会が形成されるか観察すると言うものだ」

 

その内容に二人は何も答えない。

黙って内容を聞くというのだろう。

そんな二人にフロンタルは話を続ける。

 

「実験の始めはネズミの数は順調に増えていき、繁栄していった。天敵もいない楽園で食料や貧富の差も関係なく与え続ければ繁栄していく。だが、ネズミ達の中で社会が形成された後は違った」

 

フロンタルはその実験の結末を口にする。

 

「社会が形成された後、食料や貧困に問題無い筈のネズミ達の間で対立する者が現れ、争いが始まった。争いに参加しなかったネズミも存在したが、それも極少数だ。さて、アスラン君。君に聞こう。なぜ、食料も居場所も問題無いくらいにあった筈の楽園でネズミ達は争いを始めたと思う?」

 

「それは・・・・」

 

その問いにアスランは答えられなかった。

何故、平和な楽園でネズミ達が争いを始めたのか。ソレを知らないからだ。

 

「答えはない。種としての生存本能という説はあるが、有力な候補はネズミ達の中で社会が形成されたことで強者が上にたった事で不平等と感じた者が存在したからだと言われている」

 

自然の摂理。野生の本能。

それはネズミも人間も変わらない。

 

「今、我々が立たされている現状もそうだ。能力値が高いコーディネイターが人類の上位に入ってしまったことで本来、あるべき姿であるナチュラルは強制的に弱者に立たされてしまった。我々が戦争をしている根幹に似ていると思わないかね?」

 

「・・・・それは」

 

フロンタルのその言葉に誰も返答する事は出来なかった。

 

「だからこそ私は考えた。人類が滅亡するのをどう阻止すれば良いのかを。そして私は選んだ。西暦・・・弱者と強者が入れ替わる時代を再び作るしかないと」

 

「ですがそれは新しい火種を産む事になります。貧困の中で育つことになる新しい世代が私達に仕返しを目論む事もあるかもしれない。かつて人類が引き起こしたように調和も革新もない世界を貴方はもう一度作ると仰るのですか?」

 

私がやろうとしている事はいわば擬似的なサイド共栄圏だ。正直な話、これが正しいだなんて思っていない。

中立国の赤道連合、コーディネイターの殲滅という過剰な思想に反感や危機感を持つ少数の連合側と連携し、ユーラシア連邦とブルーコスモスを切り離して蚊帳の外へ追いやる。

初期段階はコーディネイターとの能力差が出て色々と問題は発生するだろう。

だが、それは国同士の連携でなんとかしていくしかない。

だからこそ緩衝材になり得る中立国のオーブに入って欲しかった。

ザフトがエネルギーや一部の資源を提供する代わりに地球が食料を分配する。

そしていざこざが起こりそうになれば中立国である赤道連合やオーブが割って入り、納得出来る形で中和させる。

中立国であるオーブには嫌な役回りをさせてしまうが、その代わりとして支援は互いに全力でサポートするというのが私が考えている理想だ。

多分どっかで頓挫するか多少の着地点変更は十分あり得るが。

弱者と強者が入れ替わり続ける謂わば西暦の時代の再現。それが私が描くコズミック・イラの在り方だ。

そしてその三国同盟が実現した時、ユーラシア連邦側は地球の再開発を行わなくてはならなくなる。

そうなればユーラシア連邦とブルーコスモスは内部分裂を引き起こすだろう。

此方三国同盟側はエネルギーも食料も充実しているのに対し、ユーラシア側はエネルギーもない、食料もないとなれば人々は不満を撒き散らし、環境保護だコーディネイターがどうだこうだ言っていられなくなる。

そしてブルーコスモスの活動を抑制させつつ、人々の不満を抱え切れなくなったユーラシア連邦はこちらに戦争をしかけてくるか泣きついてくるかの二択を選ばざるを得なくなる。

ロゴスの方は兵器をユーラシア連邦に売りつけて甘い汁を暫くは吸えると考えるだろうが、利潤確保を目的とする業界団体の彼等からして見れば金を払えなくなる事が分かり切ったユーラシア連邦を早々切り捨てて此方側へと鞍替えするだろう。

あの盟主王ことアズラエルも自分に利益がないと分かればすぐにユーラシア連邦を切り捨て寝返るなりなんなりすることだろう。

その際にあの男が満足するような地位につかせておけばアズラエルも暫くは大人しくなる筈。

最も、たまにあるコーディネイターぶっ殺スイッチが入ったら面倒事にしかならないが。

そしてその段階に入っている頃合いにはムウのように空間認識能力が高いナチュラルやトリトマやアスランのようなコーディネイターが自然と数を増やすだろう。

そうなればそんな彼等を排斥されないように動かなければならない。

だがそれでも不安な点はいくつもある。

正直な話、私がやろうとしていることも貧富の差というものは出てしまう。

つか、成功したら水星の魔女のような世界になっちまう。

そうならないようにしていくつもりだが、周りが自分の事しか考えていない屑共ばかりだと話にならねえ。

そして私が居なくなった後、誰に私の後釜を継がせるか。

デュランダル?改心させて此方側についてくれるなら有り難いが、あの堅物を改心させるのは時間が必要だ。

それに賛同はしないだろうな。一応、アイツはアイツで自分なりに考えてDESTINYプランを発案させた訳だし。

じゃあ、オルフェ?

あのロリババアがいるので論外。

だとしたらラクスしかいないが、それもこの反応だ。良しとは思っていないだろう。

だが、しかしそれが繰り返されるのが人間の歴史だ。

彼女が言っている事も間違ってはいない。いないが、今後の内容があまりにも行き当たりばったり過ぎる。

 

人に可能性を見せるのは先に土台を作ってから。その土台が不完全なまま人々に可能性を見せても、何も変わることはないだろう。あの世界と同じように。

 

「だからこそ政治による積み重ねで私は赤道連合や一部の地球連合の人間からも信用を得た。だが、君がやろうとしていることは煽動だ。革命はいつもインテリが始めるが、夢みたいな目標を持っているから過激な事しかやらない。今、君がしようとしているように」

 

「ですが・・・!それで弾かれた次の世代の人々があまりにも報われません!」

 

「クライン嬢の気持ちはお察しします。ですが良い、悪いという問題ではありません。それが人の世だという事です」

 

「・・・・ッ」

 

そう現実を突きつけるフロンタルにラクスは答えられない。

そしてフロンタルは言う。

 

「それでも・・・君はソレを否と言うのかな?答えを聞かせてもらおう。ラクス・クライン」




フロンタル「現状が最悪過ぎるから一時的に擬似的なサイド共栄圏作るわ。世直し?一旦落ち着かないと出来ねえよ・・・人々に可能性を見せるのも落ち着いてからな」

戦争はどうするの?

小競り合いをやらせておいて大戦争を起こさせないよう誘導する。

なお、世界が世界なのでうまくいかない模様

潜入、及び護衛中のトリトマちゃん
なお、フロンタルや仲間内で破顔する模様


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