フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
「どうしてラクスさんは隊長さんをバックにしなかったんですかね?」
食堂にてエルがそう呟きを漏らす。
そんな彼女に対し、トリトマは言った。
「さぁ?私は知らねーですよ?あんまり頭は良くねーですからラクスさんみたいな人が考えていることなんてわからねーですし」
「でも普通は議員のお仕事で穏健派のトップを仕切ってる隊長さんがバックに入ればラクスさんが平和の為の活動も積極的に出来たんじゃないかって私思ったんですよ。でもラクスさんはソレをしなかったのって何か理由があるんじゃないかって」
そんなの知らねーですと言うトリトマに対し、キャプテンは違った。
エルのそんな疑問にキャプテンは答える。
「まあ、理由はあるでしょうね。あの人は穏健派ではありますが、その前に色々とやっちゃっていますし」
そう言うキャプテンにトリトマは首を傾げて質問した。
「色々とやった・・・ですか?」
「ええ。今では穏健派筆頭になっていますが、あの人が赤い彗星と呼ばれ始めた頃、一度連合の罠に嵌められて初乗りのジンの試験型でドレイク級三隻とネルソン級一隻、後メビウスを三十機近くの規模を一人で沈めていますからね?」
「うわぁ・・・」
罠に嵌めた連合も大概だがフロンタルもフロンタルで大概である。
「恐らくラクスさんは隊長のそういった側面があるのを知っていたから断ったのではないかと私は考えてますよ」
他にもモビルスーツを開発したりザフトの頭を張っていたりと平和とは程遠いこともしていたからというのもあるだろうが。
「しかもフロンタル隊長は凄まじいほど才能がある方です。だからプラントでもその才能を妬ましく思う方も少なくありません。ですからプラントでも周りは敵だらけ。いくら優秀でもそんな人を後ろ盾にしたくないという気持ちもなくはないでしょうね」
「なんというか・・・・隊長さんはそんな状態でよく平気でいられますよね」
そう言うエルに対し、トリトマは言った。
「絶対に平気じゃねーですよ・・・そんなの一人で全部やる事じゃねーです」
「そうですね。でも、弱音を吐く人ではない」
「隊長さんも、もう少し情けなかったら良いのにねー」
「・・・・”昔はもう少し情けない人だった”んですよ」
エルのそんな言葉にトリトマは無意識にそう呟いていた。
「・・・へっ?トリトマちゃん今、なんて?」
そうエルがトリトマに聞こうとしたその時─────
「おはよう。キャプテン、それにトリトマ達も調子はどうかな?」
そう言ってフロンタルが姿を現した。
「あっ、隊長・・・」
最近、執務室にこもりきりだった隊長が顔を出したのだ。食堂にいたクルー達の殆どがフロンタルに視線を向ける。
「しばらく顔を見せていませんでしたが、何かありましたか?」
キャプテンのその言葉にフロンタルは答える。
「ああ。最悪な事が二件ほどな」
「それは一体・・・?」
そう言うキャプテンにフロンタルは口を開いた。
「一件目はシーゲル・クラインが暗殺された。予想はしていたが」
「えっ!?嘘!」
フロンタルの口から出たその言葉に食堂にいたクルー達からどよめきの声が上がる。
「やはりそうでしたか。しかし、予想より早かったですね」
「ああ」
キャプテンのその言葉にフロンタルは仮面越しで目元を押さえる。
シーゲルの暗殺。元々止める義理もないし放置していたのだが、原作よりも一ヶ月ほど早い。
あの男、どっかでヘマしたか?と言いたいくらいにめっちゃあっさりと死んだ。
まあ最初期に俺が情報をリークしてたし、ある程度詰んでた状態だったしな。
まあ、予想外ではあるがそれはどうでもいい。
だが、問題はその次。
「だが、問題はその次だ」
「その次、ですか?」
そう言うキャプテンにフロンタルは苦々しい声音で答えた。
「ああ。オーブが連合の手に落ちたと言いたい所だが、この土壇場でパトリック・ザラに不満を持ったザフトが内部分裂し始めた」
「「「はい?」」」
誰か。誰か私をもう楽にしてくれん?もう収拾つかんよ。面倒なの嫌なんだけど。