フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第七十一話

「いや待ってくださいよ!?なんでザフトが内部分裂しているんですか!?流石におかしいでしょう!?」

 

エルはその内容を聞いてあり得ないと言った様子だった。

 

「それは私も・・・思わなくはなかったが、まさかこのタイミングで引き起こすとは考えていなかった」

 

俺も疑ったもん。なんでこのタイミングで!?って。で、ちょっと調べてみたら地上の方でとんでもない事が起きてたんだわ。

 

「君達は約二ヶ月前の作戦────オペレーション・スピットブレイクの事を覚えているかな」

 

「ええ。第一陣がアラスカへと向かい、罠として使用されたサイクロプスによって全滅した作戦でしたね」

 

「ああ。それと同時にザフトの指揮権が私からパトリックになった後、初めての作戦だ」

 

「ああ、アレがきっかけですか」

 

「・・・?どう言うことでやがりますか?」

 

そんな俺の意図を察したキャプテンはなるほどと分かったように手を合わせた後、首を傾げるトリトマに言った。

 

「オペレーション・スピットブレイクはザフトの総司令がフロンタル隊長からザラ議長に代わった後、実行された作戦です。隊長が総司令の時は今までの作戦に目立った敗戦はありませんでした。ですが、ザラ議長が総司令となった最初の作戦で第一陣とはいえ、全滅という大敗をしています。だから軟禁される前、プラント内の治安が一時的に悪くなっていたでしょう?」

 

「なるほど・・・でもそれは二ヶ月前ですよね?それだったらもっと早くデモやテロなどが起こっていたのではねーですか?」

 

そんな彼女の質問にフロンタルは言う。

 

「いや。それはあくまできっかけの一つだ。問題はこの後起こった数々の件がザフトの分裂を引き起こす引き金になっている」

 

「それは一体?」

 

そう言うキャプテンにフロンタルは答えた。

 

「まずはパナマ攻略戦。私達がラクス・クラインに出向いた数日後に行われたこの作戦はマス・ドライバーの〈ポルタ・パナマ〉を破壊することで連合を宇宙に出させないようにするのが目的だった」

 

マス・ドライバーは連合を宇宙に上げる為の道であり、補給路だ。スピットブレイクで壊滅的な被害を受けたザフトからして見ればこれを潰して連合を地球に留めておくのは悪くない作戦と言ってもいい。

 

「もしやその攻略戦は失敗に終わった形で?」

 

そう言うキャプテンにフロンタルは否定する。

 

「いや、当初の目的であるマス・ドライバー自体は破壊出来た。だが問題はその被害だな」

 

一拍置いてからフロンタルは言う。

 

「パトリックは当初、地上に置かれたザフトの最大戦力であるシャンブロをその作戦に投入しようとしていた。だが、それが上手くいかなかった」

 

「上手くいかなかった?・・・・あ、そういうことでしたか」

 

察したな。キャプテン。

 

「何がそういうことなんです?」

 

質問するトリトマにキャプテンは答えた。

 

「シャンブロは元々フロンタル隊が管理しているモビルアーマーです。整備は勿論、パイロットも私達が出しています。ですが、パナマ攻略戦は我々フロンタル隊が軟禁された後、実行された作戦です」

 

「つまり・・・シャンブロを動かせるような人材が他にいなかった?」

 

「そう言うことになる」

 

シャンブロって宇宙世紀の技術で作った代物だから、うちの部隊以外の人間には操縦や整備のやり方を教えてないのよね。

だから動かそうにしてもシャンブロが動かせないという状態に陥って期待していた戦力が使えない。じゃあ、パナマをどう攻めるの?現存する勢力でやるしかないよねってなってしまった訳だ。

 

「現場は相当荒れたでしょうね」

 

「ああ。一部のザフト兵はシャンブロの操縦方を教えろと脅してきたそうだが、私が許可しない限りは教えることは出来ないと説明したら引き下がるしかなかったそうだ」

 

「貴方に目をつけられたら終わりだと分かっていて、それ以上食いつこうとするのは馬鹿しかいないでしょう」

 

一応、立場では私が上だからな!

 

「シャンブロ抜きで行われたパナマ攻略戦は目的のマス・ドライバーの破壊は出来たが部隊はほぼ壊滅。指揮官が代わってから敗北続きだったザフトでは不満が爆発。それに乗じるようにシーゲルが暗殺され、ラクス・クラインがそれらを民衆やザフトに暴露した訳だ・・・・話しているだけで頭が痛くなってきたのだが」

 

そりゃ内部分裂を引き起こすわ。

パトリックもパトリックで対処の仕方があまりにもガバガバ過ぎる。

 

アホなのか?アホしかいないのか?

 

自分のやったこと全部、自分の首を絞めてんだぜ?

わざとやってる?と疑いたくなった俺の気持ちを考えろや。

 

「これ、収拾はつくんです?」

 

「つくと思うかね?」

 

こんなんつくわけねえだろうが。

しかも問題は他にあるんだよ。

 

「問題はパトリックがヤケを起こしてジェネシスを使用した場合だ。流石にそうなる前になんとかする必要がある」

 

「ジェネシス・・・?なんでやがりますか?それは?」

 

そう聞いてくるトリトマにフロンタルは軽く説明した。

 

「分かりやすく説明するなら人工的にガンマ線バーストを発生させ、照射する兵器だ。言ってしまえば星の超新星爆発のエネルギーを人工的に発生させて指向性を持たせた物と覚えてくれればいい」

 

それ以上はどう説明したらいいか分からん。

 

「えっと・・・とにかくヤバいとしか分からないんですけど・・・」

 

「地球に向けて使ったら最後、地球上生命が絶滅し数万年、もしくは数億年、地球は生物が住めない死の星になると思えばいい」

 

その言葉に開いた口が塞がらないエル。

 

「パトリックがヤケを起こす前に連合を抑えつつ、ジェネシスを破壊、もしくは制圧をしなければならん。だからこそやるしかない。我々が」

 

「なにを・・・?」

 

分かっている。分かっているのだが、一応聞いておきたかった。自分達の思い違いであって欲しいなー、と。

だがフロンタルの口から出た言葉は───

 

「ジェネシスのハイジャック」

 

現実は無情である。

今ここに、袖付き(やることは海賊みたいなもん)が誕生する瞬間であった。




お休み中なトリトマちゃん


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