フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED   作:鉄血

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第七十四話

『私達は何処へ行きたかったのでしょうか?何が欲しかったのでしょうか?戦場で今日も愛する人達が死んでいきます。私達は一体いつまで、こんな悲しみの中で過ごさなくてはならないのでしょうか。戦いを終わらせることが・・・』

 

『ラクス・クラインの言葉に惑わされてはなりません。彼女は地球軍と通じ、軍の重要機密を売り渡した反逆者なのです。戦いなど誰も望みません。だが、では何故このような事態となったのでしょうか?思い出していただきたい。自らが生み出したものでありながら、進化したその能力を妬んだナチュラル達が、我等コーディネイターへ行ってきた迫害の数々を!にもかかわらず、我等の生み出した技術は強欲に欲し、創設母体であるプラント理事国家から連綿と送りつけられてきた、身勝手で理不尽な要求の数々を』

 

『それに反旗を翻した我々に、答えとして放たれたユニウスセブンへのあの一発の核ミサイルを!この戦争、我々はなんとしても勝利せねばならないのです!敗北すれば過去より尚暗い未来しかありません!』

 

『地球の人々と私達は同胞です。コーディネイターは決して進化した違うものではないのです。婚姻統制を行っても尚、生まれてこぬ子供達。既に未来を創れぬ私達のどこが進化した種だと言うのでしょうか?』

 

『悪意に満ちた情報に惑わされてはなりません。我等はもはやナチュラルとは違う新たな一つの種なのです。現状を抱える様々な問題もいずれは我々の叡知が必ず解決する』

 

『戦いを止め、道を探しましょう』

 

『求めたものは何だったのでしょう。幸福とは何でしょうか?このように戦いの日々を送ることこそ愛する人々を失っても尚、戦い続けるその未来に間違いなく待つものなのでしょうか』

 

「・・・何時までこんな不毛な言い争いをするんすかね?」

 

《ナスカ級高速戦艦》───〘ムサカ〙の艦橋で何時までも続く放送に操舵士の男性がそうぼやく。

その質問にフロンタルは答える。

 

「旧クライン派が動き続ける限りこの放送は続くだろう。ザラもこの放送を止めようと動いているようだが、ザフトの分裂や民衆の暴動の制圧で上手くいっていないようだ。我々がこうしているのもザラの対応が遅れているからこそ出来ている」

 

「ホイホイと脱出出来ましたもんね。ですが我々もこれでザラ派でいう反逆者っすよ?これからどうするんすか?」

 

此方を見る彼にフロンタルは言う。

 

「まずはL4のコロニー群へと向かう。恐らくだがクライン派もそこで潜伏しているだろう」

 

「L4のコロニー群?」

 

聞き覚えのない場所に首を傾げる彼にフロンタルは答えた。

 

「過去にバイオテロが起きたコロニー群だ。今は廃棄され使われていないが、コロニーの施設自体はまだ生きている」

 

「じゃあクライン派と合流して同盟でも結ぶんですか?」

 

少し離れた席に座るエルはそう言うと、フロンタルは首を振った。

 

「いや。クライン派は囮になってもらう。まだ彼等にはやってもらいたい事があるのでな」

 

「やってもらいたいこと?」

 

首を傾げる彼女はフロンタルにそのやってもらいたいことを聞こうとしたその時───

 

艦全体にアラートが鳴り響いた。

 

「「・・・・ッ!」」

 

艦橋にいた船員がすぐに持ち場へとつく。

そしてすぐにエルが報告を上げた。

 

「艦の前方に接近する艦隊あり!数は三!この反応は・・・司法局が保有する《ナスカ級高速戦艦》の模様!」

 

「意外と早かったですね」

 

「私が動いたと知ってザラも焦ったのだろう。司法局を動かしてでも私を葬るつもりなのだろうな」

 

余裕そうな雰囲気のフロンタルにキャプテン は言う。

 

「部隊を出しますか?」

 

「いや、出さなくていい」

 

そう言いながらフロンタルは身を翻した。

 

「私が出る。シナンジュで出るぞ」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「艦長・・・これでよろしかったのでしょうか?」

 

ナスカ級高速戦艦の中、司令塔となる艦橋で男は艦長にそう言いながら男の顔を見る。

 

「良いに決まっている。あの赤い彗星も我々プラントを裏切ったのだ。我々を裏切り、ナチュラルへとつく。そのような判断をした時点で我々の敵だ!」

 

「・・・・・」

 

艦長はそう言っているが、男にはそうは思えなかった。

一度だけ、あの人にあった事がある。

遠目で見ただけだったが、あの人ならこの歪んだ体制を元に戻してくれるのではないかと男は期待していた。

そして少しずつではあるが街の治安は良くなっていき、我々、司法局が出る事は少なくなっていった。

だが、パトリック・ザラが議長となってからは毎日のように司法局が動かされている。

正直な話、自分はあの人と敵対したくないし、もう殺したくない。

だが、パトリック・ザラが議長でいる限り我々の汚れ仕事は続いていくだろう。

そんな摩耗していく精神の中で男は見た。

 

たった一機で向かってくる赤い機体を───

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「流石はハインラインだ。良くこの機体を再現してくれた。悪くない」

 

シナンジュのコクピットの中、フロンタルは笑みを浮かべながらレバーを握る。

 

「だがコクピット周りがやはりジャスティスのものである以上、少々反応が悪い。戦闘データも少ないからか操作系が硬いな。だが、それは後でどうとでもなるか」

 

そう呟きながらフロンタルは前方から向かってくるモビルスーツ群を見て言った。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「さて、君達には大規模戦闘が始まる前にシナンジュの性能確認に付き合ってもらおう」

 

その言葉と同時、フロンタルが乗るシナンジュが宇宙を駆けた。

 




その頃の艦橋内

キャプテン「そう言えば・・・あの人、パイロットスーツを着ていました?」

エル「あー・・・どうでしたっけ?私、見てないです」

トリトマ「キャプテンさん!エルさん!隊長を見てねーでやがりますか!?」

キャプテン「さっき一人で出撃しましたよ?」

トリトマ「あの人はまたぁぁぁぁぁッ!」

キャプテン、エル(あっ・・・あの人、また着て行ってないな)

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