フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED 作:鉄血
「ご協力に感謝します。ムルタ・アズラエル理事殿。貴方とは一度、こうして話をしてみたかった」
ヴェサリウス強襲艦《ムサカ》の艦橋でフロンタルはモニターに映るアズラエルにそう言葉を投げながらモニター前に立つ。
『僕も一度貴方とは話してみたいとは思ってましたけどネ。ただ、こうも簡単にコレクションを壊してくれたら気分は悪くなりますヨ』
そう言って指をトントンと叩きながらアズラエルはフロンタルを見るが、そんなアズラエルにフロンタルは軽く肩を竦める。
「とは言っても、最初にそちらが私を捕縛しようとした時点で話し合いの余地はなかっただろう。ただ一方的に条約や取引内容を決められては私も困るのでね」
そう言いながらフロンタルはラクスとカガリに視線を向け、口を開く。
「今回、君達とこうして話し合いの場を設けさせてもらったのは他でもない。単刀直入に言おう。私は地球連合やオーブと同盟関係を持ちたいと思っている」
『ほう?』
『なに?』
フロンタルのその言葉にアズラエルとカガリは意外そうな声を上げる。
そんな中、バルトフェルドが会話に割り込んできた。
『俺も聞きたい所だ。クライン嬢の世界を平和にする為に行動するというのは立派な考えだが、どうも詳細を話したがらない。それで赤い彗星と呼ばれるお前さんの考えも聞きたい。元、クライン派だったお前さんの、ね』
その言葉にフロンタルは暫しの間、沈黙する。
「・・・・いいでしょう」
そして短く返答し、フロンタルは仮面を外す。
フロンタルの素顔を知らなかった者達は皆驚愕で息を呑むがそれに気にすることなく、話を進めた。
「私達、プラントが欲しているのはまず自治権の確立です。連合はこれを決して認めません。認めた瞬間に、主従が逆転してしまう事を恐れているからです」
「理由は明白です。現在の地球圏の生活は前時代によってエネルギー枯渇の危機に侵され、経済活動もコロニーからの財政徴収があるからこそ回っている。地球という惑星単体では、もはや150億もの人間の口も賄えないのが実情です。それは貴方も理解していることでしょう。アズラエル理事」
『・・・・そうですネ。貴方方が地球に撃ち込んだニュートロン・ジャマーで主要エネルギー生産源だった原子力が使えなくなりましたから。まあ、ユニウスセブンの報復がこの程度で済んだのはまだマシだったとは思ってますヨ』
そう返事を返すアズラエルにフロンタルは更に話を続ける。
「対してプラントやその他のコロニー群は食料問題を除けば地球を切り離しても十分に自活する事が出来る。連合側が農業プラントであったユニウスセブンを核によって破壊したのはその食料問題をプラント側が連合に確認を取らず、勝手に生産し始めたのがことの始まりであり、それと同時に食料問題を解決したプラントが自活してしまうのを恐れての事でしょう」
ただでさえ地球はニュートロン・ジャマーの件抜きにしてもエネルギー問題を抱えているにも関わらず、食料の輸出という形で抑制していたコロニーの経済問題を勝手に自分の所有物を使って解決されては連合側からして見ればたまったものではない。もし、食料を生産したいのならそのコロニーごと買い取って向こうにもメリットを与えれば良かったものをシーゲル・クラインは無断でやったのだ。
それで自活出来るまで事が進んでしまえば、連合もいつ侵略してくるか分からないプラントに疑心を秘めるようになる。だからこそ、連合は先手を打ったとフロンタルは言っているのだ。
「そして一番の問題がコーディネイターとナチュラルとの間で出来てしまった能力の差です。この問題に関しては私もどうするべきかとずっと考えていました」
フロンタルのその言葉に皆が沈黙する。
コーディネイターが優れた業績を上げる事が多く、更には第二世代コーディネイターは能力継承が確認された影響もあり、ナチュラル間で反コーディネイター感情が非常に強くなっていた。
「コーディネイターの優れた能力を羨み、妬む者は多い。それがきっかけで反コーディネイター派のブルーコスモスが散発的なテロ活動を起こすのも理解は出来る。アズラエル理事も今の座に座っているのはとてつもない努力の成果があってこそだ。尊敬に値する」
『当然です。私はこれでも盟主の立場に立つ者ですから』
フロンタルのおだてにアズラエルはさも当然という風に答える。が、どこか嬉しそうだ。
「だからこそ、ブルーコスモスを率いる貴方にお願いしたい事がある。盟主と名高い貴方に」
『それはどのようなお願いで?見返りもちゃんと用意してあるんでしょうネ?』
その問いにフロンタルは答えた。
「無論。まずプラントが欲しいのは自治権の確立と一国家として認めてもらうこと。見返りとして地球に打ち込まれたニュートロン・ジャマーの無力化及び、プラントのインフラ及び医療技術の提供というのはどうかな?この戦争が終わってからという後払いになってしまうが」
『それが嘘という可能性は?』
「この場で契約内容と私直々のサインを書いても良い」
即答するフロンタルにアズラエルは無言になる。
そして暫しの沈黙の後、アズラエルは口を開いた。
『・・・いいでしょう。その提案、呑みますヨ』
その返事にフロンタルを除いた皆が驚愕の声を上げた。
『アズラエル様!?』
『ニュートロン・ジャマーの無力化は前々から考えていたことですからネ。ソレを向こうから無力化してくれるならありがたい事ですヨ。それにプラントの医療技術提供もしてくれるのなら受けない手はありません。それだけでも十分、利益もありますしネ』
アズラエルはモニターに映るフロンタルに再び目を向け、口を開く。
『それで話がうやむやになっていたけれど、コーディネイターとナチュラルとの溝についてはどうするつもりなのか、君は考えているのかな?』
「その件に関しては時間が解決する」
『と、言うと?』
その返事にフロンタルは答えた。
「コーディネイターは遺伝子を人工的に弄った結果、生物として大切な物・・・ようは繁殖能力がかなり低い。どのみち種として生存する道を選ぶ必要があるのならナチュラルの存在が必ず必要になる。もし、その間で不満が爆発するようであれば適度に発散出来るだけの小競り合い出来る戦争の場を作って争わせればいい。そうすれば貴方の“裏事情も得をする“だろう?』
その言葉にアズラエルは深く踏み込む事はしなかった。
ただ、この男は首輪をつけても危険過ぎる。
そんなアズラエルにフロンタルは気にすることなく、ラクスとカガリに視線を向ける。
「さて、ラクス・クライン及びカガリ・ユラ・アスハ。君達の考えを聞かせて欲しい」
【挿絵表示】
仮面を外したフロンタルさん
次回、ラクス、及びカガリへの問答。
第一次ビクトリア攻防戦について
フロンタルさんはこれについては猛反発。
なんでかって?そもそもの話、やっていることがジオンと同じで連合の本拠地である地球に侵攻してもデメリットの方がデカイと分かっていたから。
じゃあ、なんで防げなかったの?
ユニウスセブン爆破されて頭に血が登っていたパトリックとシーゲルに押し切られた。