DOG DAYS 〜The Demise Hero〜 作:セラフィエル
2015年1月からDOG DAYS第3期ついにスタートですね。
というわけでDOG DAYSの小説を書いてみました。
気に入ってくれたら嬉しい限りです。
文才ありませんがよろしくお願いします。
空が紅い。
まるで大量の血をぶち撒けたかのように。
月が黒い。
まるで全てを無に還すかのように。
二つの巨大な三日月が、大地を黒く紅く照らしている。
その大地には生き物どころか、空気すら無いかのように静まり返っていた。そこはかつて栄華を極めた立派な都だったのだ。多くの人が行き交い、賑わっていた。
それも今はもう見る影も無く荒れ果てている。その残骸は嘆き悲しんでいるかのようだ。これまでの悲劇を。これからの惨劇を。
その時、黒いバグのような『それ』が現れた。
「嗚呼、ようやくここまで来たんだね。」
幾重にも重なっているように聞こえる声には微かな哀愁が漂っていた。
「もうすぐだ、もうすぐ始まる。後は役者が揃うのみ。」
月に向かって手を延ばす。
「ここまでおいで、少年。僕は待っているよ。君が来るその時を。」
そして、一陣の風が吹き、その姿は霞となって紅い空に消えていった。
瞼を通して、陽の光が目を刺激する。睡眠を邪魔された意識に追い打ちをかけるようにけたたましいアラームが聞こえる。寝ることを諦め、ゆっくりと体を起こす。そして、小さくため息をついた。普通の人ならば、まだ眠りたいとか、よく寝た〜などと思うはずだろう。
だが、この少年が毎朝思うことは決まっている。
・・・あぁ、また一日が始まる・・・。
「はぁ・・・」
もう一度、さっきより少し大きめのため息をついて、黒神和斗は無気力にベッドから降りた。
洗面台の鏡に写る自分の顔を見る。若干癖のついたやや長めの黒髪、少しやつれた頬、目の下にはくっきりと隈がある。他の人が見ると病気ではないかと思われそうな顔である。
別にこの顔にコンプレックスを感じているわけではない。
俺も以前は普通の顔だった。だが、最近になってこんな病人のような顔になってしまったのだ。
「チッ・・・。」
軽く舌打ちをする。サッと顔を洗い、台所へ行く。
そこには既に母親が朝食を食べていた。
「おはよう、和斗。」
「・・・おはよう。」
挨拶をして、椅子に座る。トーストを手に取り、少し頬張る。バターの仄かな甘みが、トーストのカリカリの表面から溢れて、口の中を満たす。美味しいはずなのに今の俺には雑巾を噛み締めているようだった。
「大丈夫?死んだような顔してるけど。」
「・・・大丈夫。」
素っ気なく答える。なぜなら、次に母親が言う台詞が容易に予想できたからだ。
「ならいいの。勉強に支障をきたすといけないからね。」
「・・・そうだな。」
勉強・・・か。この人は、俺が小さい頃からこんな調子だ。長男ということもあり、俺は昔から勉強を頑張ってきた。テストで良い点数を取ると、母親は喜んでくれたので幼い俺は頑張って勉強した。・・・様々なものを犠牲にして。おかげで、そこそこ上位の高校に入ることができた。
母親はそれでも満足していないようだが。
「どうしたの?勉強するの嫌なの?」
俺の思案を察知したのか、母親が不機嫌に聞いてくる。
俺が少しでも勉強に対して不満を感じると、毎回この調子だ。いい加減呆れてくる。気づいていないのだろうか?
息子をこんな顔にしているものが勉強だということを。
「ううん、嫌じゃないよ。」
目を伏せながら答える。ここで、「嫌じゃババア!!」なんて答えた暁には、腕の一本は持っていかれるだろう。
この母親ならやりかねない。
「そっ、なら今日も勉強頑張ってね。」
「ああ・・・」
さっさと朝食を済ませ、鞄を持ち、玄関へ向かう。そこでふと思い出す。
「そういえば、今日から他の学校の生徒が来るんだっけな。」
確か、紀の川インター・・・ナントカカントカという学校の生徒達が一週間うちの高校に来るらしい。何でも国際交流がうんたらかんたらと担任が言っていた気がする。
まぁ、行ってみりゃわかるだろ。
玄関を開けると、突き刺すような日の光が目を襲った。咄嗟に手をかざし、少しずつ目を慣らす。手を降ろすと、眼前には、俺の気持ちとは打って変わって、吸い込まれるような青空が広がっていた。
「「「「死に曝せクソがあああああッッ!!!」」」」
和斗が教室のドアを開けると、そんな怒号が耳を叩いた。
教室の中では、男子生徒達が一人の男子生徒を取り囲んでリンチしていた。・・・まあ、何故転がされてボコボコにされてるのかは大体見当はつくが、とりあえず近くにいる生徒に聞いてみた。
「今回はどんな理由だ?」
「んっと、藤原君が三股かけてるって言ったら・・・」
「ああ、まあそんな事だろうと思った。」
つまり、アイツは男子生徒達の嫉妬と怨嗟に晒されているというわけか。そういえば、ここ毎日この光景をみている気がする。一体何回こいつらを怒らせれば気が済むんだ。
すると、処刑は済んだのか狂気にまみれていた男子生徒達がブツブツ文句を言いながら自分の席に戻って行った。
『あの野郎、次言ったら生きて帰さねぇ。』
『次はクラス全員で垂直落下式ジャーマンスープレックスリレーだ。』
『いや、生爪剥がしてからの無限タイキックだろ。』
・・・もう既に次の処刑方法まで整いつつある。それでも懲りないのだから、それはそれで凄いと思う(悪い意味で)。
なんて思っていると、
「やあ黒神君。おはよう。」
とやたらに軽快な声をかけられた。
関わりたくねぇと思いつつも声を返す。
「ああ、おはよう。」
そこには歯を輝かせながら、吐き気を催すような笑顔の藤原 聖耶がいた。こいつがさっきリンチに遭っていたクソ野郎である。あれだけボコボコにされていたのに顔には埃一つ着いていない。本人曰く、顔だけは何があっても死守するらしい。その分、アゴから下を見ると思わず目を逸らしてしまいたくなるほど悲惨なことになっている。そんな事も気にしないかのように藤原は話を続ける。
「いやぁ、まったく醜いねぇ、彼らは。この僕に嫉妬するなんて。男の嫉妬なんてただ汚らしいだけなのに。」
おめぇの方が醜いわ!とツッコミたいのを我慢して、話を聞く。
「まぁ、仕方ないか。彼らとは違って僕はパーフェクトだものね!」
他から聞くとただのナルシストかもしれないが、パーフェクトであることは事実なのだ。コイツは頭脳明晰、成績優秀、運動神経抜群、おまけにお金持ちときた。コイツが三股をかけていることも本当だろう。ただ一つ欠点を挙げるとすれば・・・
「いくら僕がモテるからって暴力を振るうなんて、彼らはクズだね。いや、クズ以下の存在だ。僕のこの美しい顔が汚れてしまったらどうするんだ。」
間違いなくこの性格だろう。その性格さえ無ければ本物のパーフェクトなのに、勿体無い。
(まぁ、俺には関係ないか。)
延々と一人演説をしている藤原をスルーし、自分の席に座る。その時、担任の教師が入って来て、ピークに達していた藤原の演説も中断された。
「・・・で、・・・だから・・・気をつけて・・・」
途切れ途切れに担任の声が聞こえてくる。ボーッと窓の外を眺めながら、担任の話を聞き流す。どうせ自分にはあまり関係の無い事なのだから聞くだけ無駄だろう。
ああ、つまらん。早く終わってしまえばいいのに。
「それじゃあ、今日から一週間この学校に来ていただく紀の川インターナショナルハイスクールの生徒を紹介します。」
周波数の合わない意識に、その言葉だけが何故かはっきりと聞こえた。ガラッと教室のドアが開けられ、八人の生徒が入って来た。
「じゃ、右端の君からどうぞ。」
「ハイ、ワタシは・・・」
あ、ダメだ。また意識が飛びかけてる。なんとか意識を引き戻すと、既に二人目が自己紹介していた。
「俺の・・まえは・・・趣味・・」
ああ、ダメだ、眠い・・・。
その時、三人目の生徒が目に入った。黄色い髪に青い目、背丈は俺より少し低いぐらいか。随分と美少年だなおい。
その生徒が口を開く。
「はじめまして、シンク・イズミです!趣味はアスレチックとか、スポーツ全般です!よろしくお願いしまーす!」
周囲がにわかにざわつく。なに?アイツ有名なの?
微かな嫌悪感を抱きながら、シンク・イズミを見る。その時、イズミと目が合った。イズミはニコッと笑って前を見た。
・・・アイツがどんな野郎か知らねーけど、俺には関係ないよな。
そう思いつつ、頭を腕に置き、目を閉じる。
何故かまぶたの裏にイズミの顔が焼き付いて離れなかった。
いかがでしたか?
しばらくは、和斗の葛藤を書こうと思います。
それにしても、聖耶、何でお前の台詞が多いんだ。
いいえ、すいません。聖耶は悪くありません。私が悪いんです。(・・;)
この続きも是非読んでいただければ幸いです。