DOG DAYS 〜The Demise Hero〜   作:セラフィエル

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どうもセラフィエルです。
先日のDOG DAYS"を見た後、姫様が

「次回、最終回⁉︎」

と言った時、思わず思考を放棄してしまうところでした。
そんな⁉︎最終回だなんて⁉︎認めたくない‼︎

いや、ホントに。

第4期、やって欲しいな。
春、夏、秋と来たんだから、冬もやって欲しいな。

いや、ホントに。


第19話 歓喜の後に

左右から迫り来る鎖を跳んで躱す。

着地と同時に地面を蹴り、低姿勢のまま巨人へと駆け出す。

だが、再び鎖が目の前に現れ、僕を薙払おうと唸りを上げる。

 

「「セアァッッ‼︎」」

 

エクレと七海がその鎖を一振りで弾き、道を作る。

これで巨人までの障害物は無くなった。

再度地面を蹴り、一気に跳び上がる。

ガラ空きの巨人の鳩尾に輝力を溜めたパラディオンを力任せに叩き付けた。

 

爆破音が響き渡るが、巨人は身じろぎ一つせずに大鎚を振り降ろす。

 

「ッッ!」

 

それを紙一重で躱し、後ろへ下がると同時に、リコの砲撃とベールの紋章術が次々と巨人の顔面へ打ち込まれる。

 

巨人の足元では騎士団員達が懸命に攻撃を加えるものの擦り傷一つ負えていない。

 

やはり、硬い。

いくら攻撃を加えても、このままじゃ意味がない。

何か打開策を打たなければ疲労が重なるだけだ。

 

目の前では、レオ様のグランヴェールとダルキアン卿の【神狼滅牙】が目にも止まらぬ速さで巨人の頭部を斬りつけるも、あの気味の悪い笑みが消えることはない。

 

むしろ、自分には効かない攻撃をする僕らを嘲笑ってか、さっきより笑みが広がっているようにも見える。

 

「・・・くそッ!」

 

何か、弱点はないのか・・・?

 

厄介なのはあの反則的なまでの防御力だ。

あれさえ何とかすれば・・・。

攻撃を一点に集中させれば、打ち破ることができるか?

いや、紋章砲の全力攻撃を喰らっても無傷だったんだ。

今更一点集中でどうにかなるとは思えない。

 

一体どうすれば・・・。

 

ああダメだ!

考えても何も出てこない!

今は兎に角、アイツを攻撃するしかない!

 

パラディオンを握り締め、巨人へと駆け出す。

前からは攻撃しにくいので、後ろへ回り込む。

 

「輝力武装‼︎【トルネイダー】ッッ‼︎」

 

足元に輝力の炎を纏ったサーフィンボードが現れる。

それに乗って、巨人のうなじ辺りまで一気に飛ばす。

 

途中、鎖や大威力を秘めた大鎚が進行を阻むが、持ち前のコントロールで潜り抜ける。

 

肉薄したところで、うなじに向かって大ジャンプ。

落下しながら紋章を出現させ、右腕に輝力の巨腕を形成する。

 

「喰らえッッ‼︎【炎王剣】ッッ‼︎」

 

紅蓮に燃える灼熱の巨剣をうなじに突き立てる。

だが、強固な皮膚に阻まれ、切っ先すらめり込むことはできない。

 

「まだまだぁぁぁぁッッ‼︎」

 

その皮膚を灼き貫かんと、巨剣がさらに燃え上がり、眩い輝きを放つ。

すると、今までにない違和感が巨剣を通して伝わってきた。

 

何だろう・・・この感じ・・・・・。

 

さらに巨人のうなじの周りに波紋状に黒紫色の輝きが微かに広がった。

 

?・・・今のは・・・

 

そこで、思考が遮られた。

右横から殺意の鎖が迫り来ていたのだ。

 

まずい・・・ッ!

避けきれない!

 

反射的に右腕の巨腕で防ぐも威力を殺し切れず、紙切れのように吹き飛ばされてしまった。

 

地面に激突し、土埃が舞う。

 

「痛ててて・・・。」

 

何とか受け身が取れたので、大きな怪我は無いようだ。

 

「勇者様!ご無事でありますか⁉︎」

 

耳元で僕を心配する声がした。

 

「大丈夫だよ。リコ。」

 

僕を心配そうに見つめるリコの身体は目立った怪我は無いものの、服があちこち破け、血が滲み、その表情には疲弊の色が見えた。

 

「それよりも、リコ。聞きたいことがあるんだ。」

 

「聞きたいこと・・・?何でありましょうか?」

 

さっきの違和感を思い出すように、右手を見つめる。

 

「アイツの肌って金属みたいだけど、さっき攻撃した時、金属と言うよりは、まるで見えない壁に剣を突き立ててる感じだったんだ。それに、見間違いかもしれないけど、僕の輝力のものじゃない光がチラッと見えた気がした。これって・・・どういう事かな・・・?」

 

僕の言葉を聞くと、リコは指を顎に当てて、考え込んだ。

あの感覚は他の部位を攻撃した時には感じなかった。

リコなら、何か分かるかもしれない。

 

「もしかすると・・・いや、間違いないであります・・・これならアイツを倒すことも・・・!」

 

何かに取り憑かれたように巨人を見据えるリコ。

その瞳は微かに揺れていた。

 

バッとこちらを向くと、リコは思いっきり顔を近づけてきた。

 

「勇者様!分かったであります!」

 

「ほ、本当に⁉︎」

 

リコはうんうんと頷くと、再び巨人を見据えた。

 

「おそらくあの魔物は、自分の体の表面に輝力の膜を張っているのであります!それが盾となって今までの自分達の攻撃を相殺していたのでありますよ!うなじだけが、勇者様の言うような反応を示したということは、うなじの膜は脆いのかもしれないであります!そこさえ破壊することができれば・・・!」

 

「アイツを倒す事も・・・できる!」

 

僕が言葉を続けると、リコは目を輝かせた。

そして、僕の脳裏にふとある人物の姿が浮かんだ。

 

「・・・ヴァレリーさんなら・・・その膜を輝力ごと吸収する事も出来るんじゃないかな・・・?」

 

リコがさっきまでの疲弊した顔とは打って変わって、顔を一段と輝かせた。

 

「よし!それじゃリコはこの事をレオ様に伝えて!僕はヴァレリーさんに伝えてくる!」

 

「了解であります!」

 

リコが白衣を翻し、駆けていく。

こうしちゃいられない!

僕も行かないと!

 

身体を起こし、鎖を弾き飛ばしたヴァレリーさんの元へと超特急で駆け付ける。

 

「ヴァレリーさん!」

 

僕の声に反応して、振り向いたヴァレリーさんは一瞬驚いた顔を見せた。

 

「どうした勇者?何かこの状況を何とかする案でも出たか?」

 

「はい!」

 

ヴァレリーさんは目を見開くと、すぐに落ち着いて僕を見た。

 

「・・・詳しく聞かせてもらおうか。」

 

さっきのリコとのやり取りを簡潔に説明すると、ヴァレリーさんはフフッと笑った。

 

「なるほどな。分かった。お前の言う通りやってやろうじゃねぇか。」

 

「ありがとうございます!」

 

礼を言うと共に、再び【トルネイダー】を出現させる。

 

「乗ってください!僕がアイツの元まで送ります!」

 

「おう!」

 

ヴァレリーさんが飛び乗ると同時に、レオ様の声が響き渡る。

 

「総員!魔王を援護せよ‼︎指一本触れさせるでない!」

 

『『『『了解‼︎』』』』

 

【トルネイダー】に火を吹かせ、上昇していく。

 

「しっかり掴まっていて下さい!勇者超特急、GO‼︎」

 

うなじまでの距離を最短コースで駆け抜ける。

僕とヴァレリーさんを叩き落とそうと鎖や大鎚が振るわれるが、皆がそれを懸命に阻止していく。

 

うなじに到着すると、ヴァレリーさんはうなじに飛び降りた。

 

「【魔王紋 暗黒吸生陣】‼︎」

 

赤黒い紋章が出現し、巨人の輝力の膜を吸収していく。

 

「オオオォォォッッッ‼︎」

 

吸収されているのを感じたのか、巨人がヴァレリーさんを落とそうと、猛然と鎖を振るう。

 

「させるかぁッッ‼︎」

 

パラディオンを打ち付け、気合いで弾き飛ばす。

反対側では、ガウルが同じように鎖を防いでいた。

下では巨人を抑えようと、皆が巨人の動きを阻害していた。

 

その時。

 

「勇者ぁぁッッ‼︎」

 

ヴァレリーさんの叫び声に振り向くと、ヴァレリーさんがこちらを見て、頷いた。

輝力の吸収が完了したのだ。

これで、うなじの周りだけ輝力の膜が消えているはず。

 

「ガウル!行くよッ‼︎」

 

「おうッッ‼︎」

 

ガウルと同時に飛び上がる。

そして、紋章を展開し巨腕を、ガウルも両手に淡緑の巨大な爪を形成する。

 

「【剛雷】ッッ‼︎」

 

「【炎王】ッッ‼︎」

 

「「【双獄衝】ォォォッッッ‼︎」」

 

灼熱の拳と雷撃の爪が強靭な皮膚を蹂躙し、赤と緑の波紋が空振のように広がっていく。

爆発と共に巨人の頭部を爆煙が包み込む。

 

地面に着地し、巨人を見上げる。

 

どうだ・・・?

 

巨人は倒れなかった。

だが、煙が晴れたそのうなじには、僅かにヒビが入っていた。

 

「うなじに集中攻撃‼︎このまま押し切るのじゃ‼︎」

 

それを見たレオ様の指示が飛び、次々に色とりどりの紋章砲がうなじへと放たれる。

 

「アアアァァァァッッッッ‼︎」

 

巨人はうなじを守ろうと、腕をうなじに伸ばすが、

 

「させへんでぇぇぇッッ‼︎」

 

「・・・おとなしくしてなさいッ‼︎」

 

「腕を下ろしなさぁぁぁいッ‼︎」

 

ジェノワーズによって阻まれてしまう。

すると、うなじを守ることを諦めたのか、巨人は僕らを蹴散らそうと、鎖や大鎚を振り回し始めた。

だが、巨人の頭上に大きな丸い影が現れる。

 

「お座りなさいなのです‼︎【グランマニエ・ハンマー】ッッ‼︎」

 

巨人の脳天に巨大な棘付き鉄球(モーニングスター)が直撃し、巨人が膝をつく。

 

「オゴッ・・・アァァッッ・・・!」

 

巨人の声が弱々しくなるが、紋章砲は絶え間なく注がれる。

むしろ、今までより一層激しさを増している。

 

このまま倒せるかと思ったその時、巨人が目をカッと見開き、急に立ち上がり、大鎚を振り上げる。

 

だが、振り下ろすより早く薄紫の輝きが巨人のうなじに炸裂した。

 

「【神狼滅牙】ッッ‼︎」

 

ダルキアン卿の剣尖が煌めき、巨人のうなじを抉り削る。

しかし、倒すには至らない。

 

「オオオアアアァァァァッッ‼︎」

 

巨人が火事場の馬鹿力で四つの大鎚を大きく振り上げ、紋章を出現させる。

 

まさか・・・アレをやるつもりか・・・ッ⁉︎

 

巨人を止めようと紋章を出現させたその時、一筋の閃光が奔り、巨人が停止した。

 

「ガ・・・ゴッ・・・」

 

その首元からは向こうの空が見て取れた。

閃光の出元には銃型のメルクリウスを構えたベッキーが肩で息をしながら、立っていた。

 

巨人が地響きを立てて地面に倒れる。

やがて、その身体がボロボロと崩れていき、塵となって風に飛ばされていった。

 

『やった・・・のか・・・?』

 

『やった・・・やったんだ・・・!』

 

『勝った‼︎勝ったぞ‼︎』

 

辺りに歓声が満ち溢れる。

今までの緊張した空気から、喜びの空気へと移り変わる。

周りでは騎士団員達がハイタッチしたり、抱き合ったり、涙を流す者もいた。

 

やった・・・勝ったんだ・・・。

 

自然と笑みが零れる。

 

これで・・・元通りの平和な日常に戻れるんだ・・・。

 

膝から崩れ落ちそうになるのを堪え、とどめを刺したベッキーの方を向き・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

戦慄した。

 

 

 

 

 

 

 

こちらを向く笑顔のベッキーの背後に現れた黒い影。

それが良くないものだということは一瞬で分かった。

 

「ベッ・・・‼︎」

 

僕がベッキーの名を呼び終わらずにそいつの鋭い蹴りがベッキーの横腹に叩き込まれた。

 

軽々と飛ばされるベッキーの身体。

さっきまで喜んでいた周りの人達は異変に気付き、静まり返った。

 

「ベッキーーーッ‼︎」

 

その静寂の中で僕の叫び声が響き渡る。

 

急いでベッキーの元に駆け付け、ぐったりとしたベッキーの身体を抱きかかえる。

 

「ベッキー!しっかりして!ベッキー!」

 

必死に呼びかけるも閉じられた瞼は開かなかった。

 

「心配すんな人間。殺しちゃぁいねぇぇぇよ。」

 

金属を擦り合わせたような不気味な声が聞こえる。

その声の主は赤銅色の金属質の皮膚に、細長い手足。

四つの眼球は紅に光り、前に突き出た頭部の剥き出しの歯は巨人以上にニタニタと笑っていて、人というよりはロボットに似ている。

 

新手の魔物。

おそらく独立奇行型。

 

でも・・・なぜ・・・⁉︎

 

辺りに再び緊迫した空気か張り詰める。

 

『嘘だろ・・・まだ終わってないのかよ・・・』

 

『聞いてないぞ・・・もう一体いるなんて・・・』

 

魔物はゆっくりと空を仰ぎ、僕らを見る。

その身体から溢れ出す禍々しい殺意は巨人の魔物のそれよりも遥かに重く、鋭かった。

 

「盛り上がっていた所悪いなぁ。だけどな、まぁだ終わっちゃぁいねぇぇんだよぉ。」

 

魔物が両手を広げる。

 

「さぁ、余興の続きを始めようぜ。人間共。」

 

僕らに差した光は新たな闇に飲み込まれていく。




ヴァレリーの技の【魔王紋 暗黒吸生陣】。
これ、公式にもあるのですが、この『きゅうせい』の部分が、どういう漢字を書くのか分からないので、自分なりにしてみました。

もし、本当の漢字を知っている方がいましたら、ぜひ教えて下さい。
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